作者:Elika


公園を抜けて、なだらかな坂を登る。
その頂にある、気をつけて見なければわからないほど小さな石碑だけが、ここは古墳だと記している。
太古の昔、星霜の彼方……かつてここにいた人々はいったいどんな暮らしをしていたのだろうか。

古墳は、位の高い人物を埋葬する墓だったと記憶している。
有名な高松塚古墳や大仙古墳のような立派古墳に埋葬されている人は、さぞかし栄華を極めただろう。
しかし、この小さな墓標の下に眠る古代人はどうだったのだろうか。
お世辞にも派手といえない、むしろ目立たなさ過ぎて地元の人間でも知らないようなこの墓の下に眠っているのは、いったいどのような人だったのだろうか……。

思いを馳せ、空を見上げる。

大昔、空は青かっただろう。
そして空は今も青く、我々の上にある。
変わらないものなどありはしないが、もしここの主が空を見上げていたのだとしたら────。

今、その時と同じ空を見ているのだろうか。

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最終更新:2010年10月21日 17:29