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悪の矜持


作者:wikiの人◆SlKc0xXkyI


登場人物

怪人スベスベマンジュウガニ……主人公。怪人の中では落ちこぼれ。(以下カニ)
怪人ヤスデ男……足いっぱい。すげー速い。(以下ヤスデ)
怪人サーベルスッポン……サーベルタイガーとスッポンの合成怪人。エリート。(以下スポ)
ポンチョ仮面……正義の味方。メキシコ出身ではありません。(以下仮面)
大総統……偉い人。

戦闘員の皆さん……命に値段はありません。



【シーン1】

大総統「……怪人スベスベマンジュウガニよ。首尾はどうだ?」
 カニ「申し訳ございません、大総統!
    後一歩のところで、またしてもポンチョ仮面の邪魔が……!」
大総統「言い訳などよい。我らが組織の鉄の掟、忘れたとは言わせぬぞ」
 カニ「……任務に失敗した者には、死の制裁が待つ」
大総統「うむ。貴様はこれで三度目の失敗、あと二回の失敗で制裁だ」
 カニ「つ、次こそは必ず! 忌々しいポンチョ仮面を倒してみせましょう!」
大総統「貴様には素晴らしい毒の力があるのだから、それを有効に使え。
    ゴニオトキシン、サキシトキシン、ネオサキシトキシン、テトロドトキシン。
    いずれも強力な毒だ。いかにポンチョ仮面とて、これだけの毒には耐えられまい」
 カニ「はっ! 奴の首筋へと、我が毒を叩き込んでみませす!」
大総統「期待しておるぞ、怪人スベスベマンジュウガニよ。
    では行くがいい! 汝に闇の祝福あれ!」


【シーン2】

ヤスデ「いよう、スベスベマンジュウガニ。調子はどうだ?」
 カニ「ヤスデ男さん……それが、また失敗で」
ヤスデ「気にするなって。俺も若い頃は、よく失敗したもんさ」
 カニ「たしかヤスデ男さんは、今年で三歳のベテランですもんね……。
    私が失敗するのはどうしてなのか、分かったりしませんか?」
ヤスデ「そうだなー、ポンチョ仮面の野郎が強いのは仕方ない。
    だけどお前は、自分のフィールドで戦う努力をしているか?
    お前はカニの怪人なんだから、水中戦に持ち込まないと意味がない」
 カニ「……すみません。私、カナヅチなんです」
ヤスデ「…………ま、まあ、次は頑張れ。な?」
 カニ「はい! ヤスデ男さんも、ポンチョ仮面には注意してくださいね」
ヤスデ「俺は平気だって。あの野郎の足じゃ、俺には追いつけない。
    さーて、日課のダンゴ虫集めにでも行くかなー。
    DADADAダンゴ虫~♪」

カニ「……いいよなぁ、陸戦型の怪人は」
スポ「何をぼやいているのですか、スベスベマンジュウガニさん」
カニ「ああっ! あ、あなたは……新型の合成怪人、サーベルスッポンさん!」
スポ「何か悩みがあるようでしたら、私が相談にお乗りしますよ?」
カニ「い、いえ……これは、私の問題ですから」
スポ「……たしか、任務に失敗したそうですね」
カニ「どうしてそれを!?」
スポ「私は幹部候補ですから、嫌でも情報は耳に入るのですよ。
   それはともかく……どうです? 不安でしたら、次は私と共同作戦をしませんか」
カニ「共同作戦……!? バカな、怪人は一度に一体の大原則を覆す気ですか!?」
スポ「それは昔の話ですよ。今は――時代が違うのです」
カニ「ですが……」
スポ「アナタも、失敗ばかりというのは困るでしょう?」
カニ「……はい」


【シーン3】

戦闘員「サーベルスッポン様! 子供達の誘拐は成功です!」
 スポ「ご苦労様です。ポンチョ仮面の動きはどうです?」
戦闘員「罠と分かっていながら、子供達を救出するためこちらに向かっています。
    あと数分で、奴の自転車はこちらに到着するでしょう」
 スポ「なるほど、分かりました。アナタは子供達の見張りに戻りなさい」
戦闘員「了解しました!」
 カニ「……サーベルスッポンさん」
 スポ「おや、どうしました? うかない顔で」
 カニ「いくら作戦とはいえ、無関係の子供を誘拐するなんて……」
 スポ「はぁ……だからアナタは失敗ばかりなのですよ。
    心を鬼にして、利用できるものは全て利用するのです」
 カニ「しかし! 私達は悪でも、守るべき一線があるんじゃないですか!?」
 スポ「何を寝ぼけた事を……そんなに嫌なのでしたら、本部へ戻ったらどうです」
 カニ「…………っ」
戦闘員「サーベルスッポン様! スベスベマンジュウガニ様!
    奴です、ポンチョ仮面が来ました!」
 スポ「おや、もうですか。予想より速いですね……。
    では戦闘員の皆さん、奴が姿を見せたら一斉に襲いかかってください」
 カニ「ダメです! そんな事をしても、意味なんかありません!」
 スポ「アナタは黙っていなさい。私のやり方というものを、見せてあげましょう」

 仮面「そこまでだ! 子供達を解放しろ!」
 スポ「来ましたね、ポンチョ仮面。ここがアナタの墓場ですよ」
 仮面「ふん、使い古された安いセリフだな。
    ……ん? そこにいるのは……キサマ、怪人スベスベマンジュウガニか!」
 カニ「この前はキサマの勝ちだった……だが、今日は負けん!」
 仮面「また泡を吹かされたいようだな……」
 スポ「お喋りはここまでです。さあ、行きなさい戦闘員の皆さん!」
戦闘員「イー!」
   「ヒャッハー!」
    など、こんな感じで突撃。
 仮面「舐めるな! 必殺、サボテンミキサー!!」
戦闘員「うわーダメだー」わりと棒読みでやられセリフをたくさん。
 仮面「さあ怪人達! 次はキサマらの番だ!」
 スポ「おっと、これを見てもまだそんな事を言えますか?」
 仮面「っ! そのスイッチ、まさか……!」
 スポ「子供達に仕掛けた爆弾のスイッチです。
    死なせたくなければ、抵抗はしない事です」
 仮面「くっ……卑怯者め!」
 スポ「なんとでも言いなさい。我々はアナタを倒せればそれでいいのですよ」
 仮面「スベスベマンジュウガニ! キサマも……こんな外道だったというのか!?」
 スポ「黙りなさい! さあ、スベスベマンジュウガニさん……任せましたよ」
 カニ「……はい。
    ポンチョ仮面――キサマは私の毒牙で、苦しむ間もなく死ぬがいい」
 仮面「よせ、考え直せ! こんな勝ち方で、キサマはいいのか!」
 カニ「私は……私は、もう失敗できんのだ!!」

効果音-噛み付き音。特撮系で。

 仮面「ぐっ……」

効果音-倒れる音。

 スポ「ふふ、やりましたねスベスベマンジュウガニさん!
    アナタの毒を受けては、ポンチョ仮面もお陀仏でしょう」
 カニ「ええ……もう息は止まっていますよ」
 スポ「ではせっかくですし、その仮面を剥がして素顔を晒しましょうか」
 カニ「お願いします。私の手はハサミなので……」
 スポ「おや、それは仕方ありませんね……いいでしょう、私がやればいいのですから」
 カニ「…………」
 スポ「さあ、ポンチョ仮面……その素顔、見せていただきますよ」
 仮面「――見せるわけにはいかないな」
 スポ「なっ……!?」
 仮面「覚悟しろ外道! 必殺、サボテンミキサー!!」
 スポ「ぐわぁぁぁぁぁぁぁぁ!?」
 仮面「……ふん、悪は滅んだか」
 スポ「ぐぅ……な、何故です……!?
    アナタは確かに、毒で死んだ筈なのに……!」
 カニ「……私の毒は、体内で作り出されるものではない。
    サーベルスッポンさん――今の私は、無毒なんですよ」
 スポ「バ、バカな……そんな、ことが……」
 仮面「……だが何故だ。何故キサマは、奴を裏切った?」
 カニ「たとえ悪だろうと、越えてはならない一線がある。
    私の矜持は、それを踏み越える奴を許せなかった……それだけの話だ」
 仮面「だがいいのか? 裏切り者となったキサマに、帰る場所はないぞ」
 カニ「構うものか。元より私は、悪党に向いていなかったのだ。
    組織の中で、怪人として生まれ落ち……他の選択肢など、どこにもない。
    あるのは大総統の駒としてのみ存在を許される、くだらない人生だけだ。
    ……帰る場所があったとして、そんなものに意味はあるか?」
 仮面「スベスベマンジュウガニ……」
 カニ「笑うがいい、ポンチョ仮面。
    キサマの敵は悪にも正義にもなれず、ましてや人でもないハンパ者だ。
    正義の味方であるキサマには――私の心など、決して分からぬだろう」
 仮面「……そうだとして。
    では、キサマを何を望むというのだ、スベスベマンジュウガニ」
 カニ「意味を。この人生にも意味が与えられる事を、ただ望む。
    どこにも帰れず、このままでは裏切り者として死を待つのみ。
    ならばその前に、ポンチョ仮面――キサマの手で、私を楽にしてくれ」
 仮面「……いいのか、それで」
 カニ「いいも悪いもない――これだけなのだ、私は。
    この人生において、自ら選び決める事ができるのは、これだけなのだ。
    ポンチョ仮面よ……どうか、迷わず私を殺してくれ」
 仮面「キサマは……本当にそれでいいのか!」
 カニ「嫌だと言ったところで、何がどうなるものでもない。
    だから迷うな、ポンチョ仮面よ。
    そして願わくば――私がいた事を、どうか忘れないでくれ」
 仮面「……くそっ。やればいいんだな!?」
 カニ「ああ、一撃で頼む」
 仮面「分かった――さらばだ、怪人スベスベマンジュウガニ!
    もし生まれる変わる事があるのなら、次は人間として生まれろ!!」
 カニ「……さらばだ、ポンチョ仮面」
 仮面「必殺! サボテンミキサァァァァ―――!!」


終わり。
正直すまん。