その未来のために彼は悪となる


磯部:オタク。
藤澤:オタク。
岩井:オタク。

磯01「春が訪れた。それは同時に、受験戦争の訪れであったのかもしれない。
   嗚呼、高校三年生――そんな歌があったような気もする、高校三年生になって最初のHR。
   担任が配った進路調査票を前に、隣の席で岩井が呻いていた」

岩01「あ~~~も~~~、働きたくないっつーか、金だけガバガバ欲しいですゴッド」

磯02「ダメ人間がいた。他に言葉はいらないってぐらいのダメ人間が。
   就職どころか進学も考えちゃいない、生粋のダメ人間がいた。
   どうしたものかと、岩井とは反対の方にいる藤澤に目をやった」

藤01「義体が現実になるまで、後何年ですかシロー先生。
   ヒャッホー将来の進路は電脳化だーッ」

磯03「こっちにもダメ人間。ダメ人間サンドイッチの俺。
   これがオセロなら引っくり返って、俺もダメ人間になるのかもしれない。
   だけど現実なので、俺は自らの進路調査票に力強く書き込んだ。
   ――第一希望、空から少女が降ってくる。
   後日、当然のごとく担任に怒られた俺達は、将来について話し合う事にした」


岩02「ぶっちゃけさ、世の中は金なわけですよ。金、金、金!
   ゲイツの野郎を見てごらーん? 金に物言わせて、ゲーム機まで作っちゃってるじゃないの!」
藤02「しかしゲイツは天才だった。だから金を稼ぐ事ができたんじゃないのか?」
岩03「ケーッ。確かに天才でもね、奴は所詮メリケンヤンキーなのサ。
   XBOXの品揃えを見てご覧なさい?
   DOAとアイマスぐらいしか、思春期日本男子の欲望を満たしてくれない!
   ゲイツの野郎は自分の趣味を押し付ける、とんでもないオナニー野郎なのサーッ」
磯04「いや、つーかゲイツはどうでもいいだろ?」
藤03「ああ、その通りだ磯部。俺達が考えるべきは、いかに労せずして稼ぐかだ」
磯05「で、進学するの? それとも就職?」
藤04「無論、どちらもお断りだ。進学も就職も、苦労ばかりではないか。
   それではダメだ、話にならない。分かり切った話だろう?」
岩04「お、おお、なんか余裕あるな!? さては妙案が!」
藤05「まずは条件から考えよう。
   我々に必要なのは進学でも、ましてや就職でもない。
   一切の労力を払わず、寝ているだけで大金が転がり込む――そんなシステムだ」
磯06「ギャンブルか?」
藤06「却下。あまりにもバカげている、胴元をこれ以上肥え太らせる気か」
岩05「株取引!」
藤07「確実性に欠ける、却下だ」
磯07「特許はどうだ?」
藤08「そんな頭脳があれば苦労も望むところだな」
岩06「じゃ、どうするっていうんだよ!?」
藤09「結論から言えば――俺達のような社会のゴミ、死んだ方がいいんじゃないのか?」
岩07「……うん、そうだね? お前が死んじゃえッ!」
磯08「そもそも藤澤に期待したのが間違いだったんだ。
   高校が義務教育の延長みたいなものじゃなかったら、間違いなく引き篭もってる男なのに」
藤10「相変わらず率直かつ白状だなお前らは。
   さすがに俺も死にたくはない、かといって働きたくもない。
   こんな最低の条件から大金を稼ぎ出す、夢のような方法があるとすればどうだ?」
岩08「あるのか!?」
藤11「あればいいなぁと、毎晩のように思っている」
岩09「ダメじゃん! 死ねヨ!!」
藤12「うるせーッ、お前が死ねお前が! 人に死ねと言うような奴が死ねばいいんデスー!」
岩10「小学生かテメェ!? ったく、どうすんだ磯辺。
   藤澤はコレだし、進路はお先真っ暗だしよ!」
磯09「ま、現実を受け入れろって事だろうな。
   仕方ないから、俺は推薦で大学に行くよ」
岩11「…………why?」
磯10「この前の全国模試で上位に入ったからな。
   国公立は無理かもしれないが、私大ならいくらでもラブコールしてくれる筈だ」
岩12「え、エー……藤澤サーン、なんか次元違うヨこのヒトー?」
藤13「クク……クハハハ! そうかそうか、お前はそういう奴だったな磯部。
   いいだろう、それがお前の選んだ道ならば好きにするがいい。
   青春を共に過ごした友人である俺は、引き篭もりのニートになろうではないか!
   そうなる事で、お前のメモリーに暗い汚点を残してやる!
   アーハッハッハッハッハッハ!!」
岩13「いやー!? 藤澤がぶっ壊れたー!?
   おい、帰ってこい、帰ってこい藤澤ー!!」


唐突に終わる。
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最終更新:2010年10月18日 03:29