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おはなし日和:しろくろ


作者:なまもの ◆H5bGZZRe0.


たらんらんたたん


イジワル少年:やーいやーい。めくらウサギー。
ウサギ:…
イジワル少年:どうしたんだよ。くやしかったら殴ってもいいんだぜ?俺が見えればの話だけどな。
ウサギ:…
イジワル少年:チェッ!つまんねぇの。


ウサギ:赤い目をしたウサギさん。私のオメメは闇ばかり。今日も明日も見えなくて、泣けど泣けども闇ばかり。


ウサギ:ただいま…
母:おかえりなさいウサギちゃん。あなたの帰りが遅いから、豆のスープは冷めてしまったわ。
父:おかえりなさいウサギちゃん。お前の帰りが遅いから、父さん母さん心配したぞ。
ウサギ:ねぇお母さん。どうして私の目は見えないの?
母:それはね、あなたが小さな赤ん坊の頃、自分の目を潰してしまったからよ。だからお母さんのせいじゃないわ。
ウサギ:ねぇお父さん。どうして目が見えないとイジメられるの?
父:それはね、目が見えないと他の人にぶつかって、痛い思いをさせるからだよ。
ウサギ:そうなんだ。そうなんだ。ごめんなさい。ごめんなさい。
母:いいわ、いいわよウサギちゃん。それより早くご飯を食べて寝なさい。
ウサギ:はい、お母さん…


アス:幾千の昇る日を見て、幾千の沈む日を見て僕は人を手に入れた。人の心は脆いけど、お日様綺麗に写るんだ。


ウサギ:行ってきます。お母さん。
母:ウサギちゃん。人に迷惑かけちゃだめよ。
ウサギ:はい、お母さん。行ってきます。
(間)
イジワル少年:また来たのか、めくらのうさぎめ。
ウサギ:私もお勉強したいもの。
イジワル少年:うるさい、うるさーい。お前なんかこうだ。
(石を投げられてる感じ)
ウサギ:痛い、痛いよ。やめて、やめてよ。
イジワル少年:はやく何処かに行け。消えてしまえ。
ウサギ:うわーん。

(狭い路地裏に逃げ込む。雨が降る)

ウサギ:…ヒック…ヒック。どうして…どうして私はうさぎなの。どうして私は目が見えないの?
ウサギ:…ヒック…ヒック。…あれ?雨が止んだの?私の体は濡れてない。だけど音はシトシトピチャン。
アス:それはね、お嬢さん。僕が君の上に真っ赤な傘を差しているからだよ。
ウサギ:あなたはだぁれ?
アス:僕はアス。人の心を持つ悪魔。
ウサギ:悪魔さんが何の御用?私の体は皮ばかり。食べてもおいしくないのよ?
アス:君を食べたりしないよ。僕は人の心を持つ悪魔。かわいい女の子が濡れていたら、可哀想に思うのさ。
ウサギ:私のお顔は可愛いの?私はオメメが見えないの。
アス:君はとっても可愛いよ。それはもう食べちゃいたいくらい。
ウサギ:やっぱり私を食べる気なのね!
アス:冗談さ。ほら、もう雨は止んだよ。こんな狭い所からは早く出た方がいい。
ウサギ:あのね、あのね悪魔さん。明日もここに居てくれる?私とお友達になってくれる。
アス:ああ、いいとも。それじゃあさようなら。
ウサギ:はい、さようなら。


アス:それから僕らは同じだけの時を同じ分だけ過ごした
ウサギ:いつも決まった路地裏で、いつも決まった時間まで
アス:時には泣きながら君は来た
ウサギ:そんな時、あなたはとても優しかった
アス:いつまでも続けばいいと思っていた
ウサギ:いつまでも続くと思っていた
アス:だけど僕は優しすぎて
ウサギ:そして私は弱虫だった


ウサギ:ねえ悪魔さん。今日のお天気はどう?
アス:とても良く晴れているよ。こんなに綺麗な青空は久しぶりだ。
ウサギ:そう…私も見たいな…青空。
アス:…そんなに見たいかい?
ウサギ:うん。目が見えたら、もうイジメられないし、青空も見える。それに…
アス:それに?
ウサギ:ううん。なんでもないの。私は私の世界に色が欲しいだけなの。
アス:それなら今日の夜、こっそりここにおいで。僕の魔法で君の目を治してあげよう。
ウサギ:本当?
アス:僕は嘘を付いたことないだろ?
ウサギ:うん。
アス:だから信じて。
ウサギ:わかったわ。楽しみにしてるね。
アス:ああ、だから今はさようなら。
ウサギ:はい、さようなら。


アス:僕は醜い。姿も、心も。もっと早く目を治すことが出来た。もっと早く…
だけどそれをしなかった。楽しかったから。彼女の幸福より僕の幸福を欲した。
僕は醜い。でも、それも今日で終わり。楽しかった時間も今日で終わり。
彼女にこの姿を見られて嫌われるくらいなら。僕から消えよう。彼女の目を治して…そして消えよう。


ウサギ:こんばんは、悪魔さん。
アス:こんばんは、今日の月はとても綺麗だ。もうすぐ君にもこの綺麗な満月が見えるようになるよ。
ウサギ:うれしいな。これで、やっと…
アス:それじゃあいくよ…
(魔法をかける音)
ウサギ:何か暖かい…
アス:そうかい?
ウサギ:優しい感じ
アス:…
ウサギ:どうしたの?
アス:この魔法をかけ終わったら、君とお別れしなくちゃならない。
ウサギ:…!!どうして!?
アス:君に僕の姿を見られる訳にはいかない。
ウサギ:それならいいわ!目が見えないままでいい!
アス:ダメだよ…
ウサギ:いや!いや!いやいやいや!!
アス:お別れだ…
ウサギ:イヤ…!!


アス:幾千もの後悔を抱え、幾千もの涙を流し、僕の心は死んでいった。


鳥:やあアス久しぶり。
アス:やあトリさん…
鳥:元気が無いね。どうしたんだい?朝日が綺麗に見えた日はあんなに良い笑顔をしていたのに。
アス:大切な人と別れたからさ。
鳥:どうして別れたりしたんだい?
アス:僕が醜いからさ。
鳥:君は鏡を見たことはあるかい?
アス:あるよ。とても醜い僕が写ってて二度と見る気はしなかった。
鳥:…昔ね、とても綺麗なエルフが小高い丘で歌ってたんだ。
愛は愛する人を輝かせ、恋は自分を輝かせる。その輝きを失わぬよう、私は今日も愛し、恋する
ってね。
アス:…どういうこと?
鳥:あ、子供たちのご飯の時間だ。それじゃあさよなら。アス
アス:え…さ、さようなら。


猫:ようアス。久しぶりじゃねぇか。
アス:猫さん。こんにちは。
猫:どうした。元気ねぇな。
アス:…ねぇ、猫さんは恋したり、愛したりした事はある?
猫:なんでぇ…急に。…そりゃあるだろ。
アス:どんな感じだったの!?
猫:おいおい。どうしたってんだ。食いつきガ良すぎだろ。
アス:いや…少しね。
猫:ははん。お前さんもイッチョ前にねぇ…。まぁ猫と悪魔の恋愛なんて勝手が違いすぎて参考にならねぇと思うが
アス:それでもいいんだ。僕は…僕が知りたい。
猫:はぁん。変わってんなお前。…猫の恋愛はな、惚れた女を孕ませた奴が勝ち、そういうルールの下で行われるゲームみてぇなもんだ
アス:はらま…
猫:より多く子孫を残すために手段を厭わない。惚れた女が俺に惚れて無くても関係ねぇ。犯すまでだ…。
アス:それは楽しいの?
猫:楽しいか…。楽しくはねぇよ。俺だって出来れば人間みたいな恋愛がしてぇさ
アス:なら僕の魔法で猫さんを人間に…
猫:それは遠慮するわ。くだらねぇ柵に囲われるのは勘弁だからな。あるべきまま、楽しく変えたほうが本当の楽しいが見つかりそうだしな。
アス:あるべきまま…楽しく変える…
猫:それと自分に正直に、だな。勝手に他人の幸せを定義する暇があったら。そいつのために花でもかってやったほうがマシってもんだ。
自分の思いを捻じ曲げるくらいなら行動しろ。まぁ俺はそのせいでいつも女に逃げられるんだがな。
アス:僕は…僕は…
猫:おっと、これからデートの時間だ。それじゃあな。大いに悩め。それが人の心を持った事の鎖だ。
アス:ありがとう、猫さん。さようなら。


星:あれ?アス久しぶり。
アス:あ、星さん。久しぶりです。
星:まだそんな悲しい顔をしているの?
アス:え?
星:幾千か前の満月の日。そんな顔して僕の前を通ったじゃないか。あのときは挨拶しても君は気付かなかったけど
アス:ごめん。その日は多分…
星:ほらほら、また悲しい顔する。
アス:…ねぇ星さん。星さんは遠くの物が見えるんだよね。
星:うん。たとえ世界の裏側でも。
アス:なら…お願いしたいことがあるんだ。
星:いいよ。お安い御用さ。さぁ何が見たいんだい?
アス:ある女の子を…もう女の子じゃないかもしれないけど、肌が白くて、サラサラの髪で、良い香りがして…
星:うーん。多分この子かな?お月様に写すよ?
アス:え!あ…、そんなことしたら!
星:大丈夫、君と僕にしか見えないから。じゃあ写すよ?
アス:ふぅ…。あ…。
星:この子かい?
アス:うん、忘れもしないよ。この子だ。僕の…僕の愛したウサギちゃん。
星:へー愛したかー。愛…愛!?
アス:あれ?誰だろう、あの男。
星:手…握られてるね。あ、笑った。
アス:あ…あは…あはは。
星:アス?
アス:あははははははははは。よかった!彼女は幸せになれたんだ。よかった。本当によかった!
星:アス…
アス:星さん。もういいよ、消して。
星:うん。
アス:それじゃあ…僕はもう行くよ。
星:何処へ?今にも死にそうな顔引きずって、何処に行こうって言うんだ。
アス:何処かへ…いくさ。綺麗な日も、月も見えないところへ。さようなら。
星:ダメだよ!アス!
アス:さようなら。


イタズラ少年だった青年:ウサギ、俺はお前が好きだ!
ウサギ:ありがとう、嬉しいわ。
青年:それなら…
ウサギ:でも、私には愛している人がいるの。とても素敵な人。とても大切な人。私の中で一番好きな色の人。
青年:誰なんだそれは!今何処にいるんだ!
ウサギ:分からないわ。だから探しにいこうと思うの。
青年:そんな!今何処にいるのかも分からない奴の事なんか忘れて、俺と…
ウサギ:ダメよ。私はあの人じゃなきゃ…ダメなの。だからごめんなさい。
青年:…は!あの頃お前を虐めていた報いかな…はは
ウサギ:そんなのじゃないわ。ただ、私があの人を大好きなだけ。
青年:…いつ、探しに行くんだい?
ウサギ:明日にでも。お気に入りの真っ赤な傘を持って。
青年:そうか。いってらっしゃい。
ウサギ:行ってきます。


アス:幾千の山を越えて
ウサギ:幾千の川を渡り
アス:僕は逃げた
ウサギ:私は探した
アス:愛する人から
ウサギ:愛する人を
アス:怖かった。真実があまりにも暗すぎて
ウサギ:辛かった。気付いた時には遅すぎて
アス:だから僕は逃げるんだ
ウサギ:だから私は探すんだ
アス:君から
ウサギ:貴方を


ウサギ:鳥さん。心優しい悪魔さんを見なかった?
鳥:ああアスなら西の町へ向かったよ。

ウサギ:ネコさん。心優しい悪魔さんを見なかった?
猫:アスなら北の山に向かったぜ。

ウサギ:星さん。心優しい悪魔さんを見なかった?
星:君は…君は!君しかアスを救えないんだ。アスを…アスを助けてあげて!
ウサギ:星さん。アスはどこに行ってしまったの?
星:待って、今、月に写すから!
ウサギ:あ…ああ…アス!アス!
星:無駄だよ!コレに話しかけても向こうには聞こえない。
ウサギ:あそこに写ってるのは何処なの?
星:多分東の森の中だよ
ウサギ:ありがとう
星:お願い、アスを助けてあげて!


アス:寒いなぁ。いつだったかな。とても暖かかった気がする。こんなに暗くて寒い場所は嫌だよ…
でも僕の魔法は治癒にしか使えないし、今は使う気力も無い。ああ、僕は何をしているんだろう。
アス:あ、雨だ…冷たいな、寒いな、でも、今はこのまま濡れていたい。自分の涙に気付かぬように。
ウサギ:見つけた。
アス:え?…あれ?雨が止んだのかな。でも水の糸はちゃんと見えてる…
ウサギ:それはね、悪魔さん。私が貴方の上に真っ赤な傘を差してるからだよ。
アス:あ…ああ…あああ
ウサギ:会いたかった。会いたかった会いたかった会いたかった!!
アス:うぅうう…
ウサギ:泣かないで。もう私を一人にしないで。
アス:(小さく頷き囁く様に)…うん
ウサギ:その腕で私を包んで。もう寒い思いをさせないで。
アス:…うん
ウサギ:あの時言えなかった。
アス:僕も言えなかった。
ウサギ&アス:愛してる。







俺:みんな死ねばいいのに


あとがき

中途半端な長さなので、短くしても長くしてもいいです。
大まかな流れさえあってればいいです。もしよかったら 
使ってください。
最後のは多分手違いです