※上記の広告は60日以上更新のないWIKIに表示されています。更新することで広告が下部へ移動します。

絵のうまくなる


作者:名無し ( ID: dZCsQySj0 )



【絵のうまくなる】

 少女は桜の木のそばで休んでいた。
 ちょっとつかれて一休み。そんなところだった。

 次の日少女はやってきた。スキップしながらやってきた。
 スケッチブックを持っていた。
 今日は桜の根元を描いた。

 その次の日もやってきた。
 絵の具と筆を持っていた。
 今度は色も鮮やかに、桜の木の絵を描き出した。
 桜の大樹が嬉しそうに、さらさらさらと、音を立てる。

 毎日毎日描くうちに、少女のその絵が上手になった。
 桜の木の枝その花その葉、描けば描くほど上手になった。

 少女のその絵が目に留まる。画家の先生の目に留まる。
 「この絵を描いてはいけないよ。」画家の先生はそういった。
 「どうしてなの。」と少女は問うた。

 「僕の描いた絵と似ているからさ。」画家の先生はそういった。
 少女の絵を絵を眺めてみれば、なるほどたしかによく似てる。
 少女が上手になるほどに、画家のその絵に似てきてる。

 それでも少女は描き続ける。真似したのではないんだと。
 少女は毎日絵を描いた。一生懸命絵を描いた。

 画家の先生がやってきて、少女の筆を取り上げる。
 「その一筆を、入れてはいけない。」画家の先生はそういった。
 「どうして描いてはいけないの。」少女は画家にそう問うた。

 「僕のこの絵と同じだからさ。」画家の先生はそういった。
 少女のその絵を眺めてみれば、なるほど確かにそっくりだ。
 あと一筆を加えたならば、画家の描いた絵と瓜二つ。
 桜の枝が、ざわついている。

 少女は次の日やってきた。新しい筆を買ってきた。
 桜の大樹は嬉しそう。

 少女が一筆入れたとき、桜の木が静かになった。

 桜の大樹はざわついた。
 そのすぐ後に、少女の母がやってきた。少女の名前を呼んでいる。
 桜の大樹はざわついた。
 少女はその絵を放り出し、駆け足で家に帰っていった。

 桜の大樹はざわついている。
 桜の大樹はざわついている。

 桜の大樹はざわついている。

 桜の大樹は静かになった。