作者:Elika


ここなら、ゆっくり落ち着いて話せそうですね。
はは、変ですよね。二人きりなのに、二人きりじゃないみたいで。
雑踏の中のほうが落ち着く、って人もいますけど……どうやら、違うみたいです。

日本には、四季があります。
風が気持ちいい春と、太陽が一番がんばってる夏。
今日みたいに過ごしやすくて、少し悲しげな秋と、冬。
──いえ、悲しいのは、あなたのせいじゃなくて。
舞い散る木の葉と、色彩を徐々に失っていく日常が、なんとはなしにそう思わせるんだと思います。
……あぁ、だめですね。どうしても、小難しい話になってしまいます。
こういうとき、普通はどんなことをお話するんでしょうか。

え、一番好きな季節ですか?
……そう、ですね……冬、かもしれません。
寒いだけだと思われがちですけど、ほら、こたつだってありますし。
あれはいいものです。あたたかいですから。
それに──こうして、手をつないだとき……。

心の底から、思うんです。
あなたの温もりが、あなたが、本当にいとおしい、と。

タグ:

朗読
+ タグ編集
  • タグ:
  • 朗読

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleの プライバシーポリシー利用規約 が適用されます。

最終更新:2010年10月21日 17:40