男:喫茶店の雇われ店長。ぶっきらぼうだがコーヒーを淹れる腕には定評があり、常連もいる。
女:喫茶店のオーナーの娘。社会勉強にと頼み込んで喫茶店で働いている。


男01「お嬢さん、すまないけど店を開けてくれますかね」
女01「だからその"お嬢さん"というのはやめてくださいと何度も言っているではないですか」
男02「……そう言われましてもね。こちとら、オーナーに頼みこまれてあなたの遊びに付き合ってるようなもんですから」
女02「遊びって何ですか!私は真剣に、ちゃんと働きたくてここにいるんですよ?ですから、呼び名は改めていただきたいのです」
男03「あー……じゃあ、見習い?」
女03「な……っ!どうして名前を呼ぶとかそういう風にできないんですか」
男04「……あんたの仕事内容じゃ、見習いが関の山だろ」
女04「それはあなたが仕事を任せてくれないから……」
男05「任せられるような仕事ぶりを見せてから言え。食器洗わせれば皿を割る、カップを割る。掃除させれば客に向かって埃巻き上げる。営業妨害って言っても過言じゃねえぞ」
女05「それは……すみませんでした。けど、レジ打ちくらいさせてくれたっていいはずでしょう?」
男06「お前計算苦手じゃん。打ち間違えて変な額になってても気が付かないだろ」
女06「それは、あなたが伝票を読みやすく書いてくれればいい話でしょう」
男07「大体な、お前さっきから俺のこと"あなた"って呼んでるがな。一応雇用関係にあるんだから俺のことは"店長"とか呼ぶべきだろ。そもそもお前の意識が雇われ者じゃねえんだよ」
男08「それに……割ったカップを親の金で弁償しようとするやつに、金のことなんか任せられねえよ」
女07「……店長さんの、言う通りですね。私はまだまだ気構えが足りていなかったようです」
男09「まあ、そうしょげるなよ。食器割る回数も減ってきたし、掃除の件は注意したら直ったしな。……俺の方もちょっと言いすぎた」
女08「でも……迷惑なんでしょう?私が無理を言って、ここに置かせてもらっていること」
男10「……まあ、まだ任せられることは多くないがな。あんたの笑顔が見たいって客も、まあ少数ながら、存在してはいるようだから」
女09「……え?」
男11「だから、別に迷惑じゃねえって言ってんだよ。……わかれよ」
女10「……店長、耳が赤いですよ?」(少しして、ふふ、と笑う※男12のうるせえ!の後くらい)
男12「うるせえ!……あ、くそ笑うな……!」

(カラン、とベルの音)

女11「(明るく)いらっしゃいませ!」