題名:剣客無双時代 第2話
   作者:うっすい。


~剣客無双時代~第2話


~登場人物~

柳生十兵衛(♂)34歳:
「やぎゅうじゅうべえ」
刀:大典太光世(おおでんたみつよ)
流派:柳生新陰流(やぎゅうしんかげりゅう)
強者(つわもの)を求め全国行脚する剣客
強者を見つけると死合う事しか考えなくなる
豪快な殺気を放つがそれとは裏腹に繊細な洞察力も持っている
元現人神護衛指南役筆頭

沖田総司(♀)19歳:
「おきたそうし」
刀:加州清光(かしゅうきよみつ)
  大和守安定(やまとのかみやすさだ)
流派:北辰一刀流(ほくしんいっとうりゅう)
   天然理心流(てんねんりしんりゅう)
剣の腕を磨き続け剣豪と呼ばれるようになる。
日課は山森の温泉での湯浴みである

チヨ爺or婆(不問)?歳:
沖田総司と柳生十兵衛のお世話係
不和の国の忍であったが国が滅び、世話係として今も働いている
優しさの中にも剛直なまでの信念を持っている

遠山景元(♂)38歳:
「とおやまかげもと」
野安(ノア)を纏めている奉行
流派:北信一刀流(ほくしんいっとうりゅう)
情に深いが怒ると見境が無くなる

半兵衛(♂)29歳:
「はんべえ」
野安の筆頭同心
普段の性格は穏やか
仕事の事になると厳しく真面目
お時と言う娘がいて娘想いな父でもある

お時 (♀) 9歳:
「おとき」
半兵衛の娘で優しい心の持ち主
赤ん坊の時に捨てられていたが半兵衛に拾われる

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~役表~

柳生十兵衛 (♂):
沖田総司  (♀):     (被り:お時)
遠山景元  (♂):
半兵衛   (♂):
チヨ爺or婆(不問):
お時    (♀):
同心A   (♂):
同心B   (♂):      
読み手  (不問):     (被り:チヨ)

★「読み手」と「チヨ」は被り推奨。
★「お時」と「沖田総司」は被り推奨。
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        『現人神(アラヒトガミ)であるはずの天皇は、
        
        自らは神では無く人であると
         
        世に知らしめ、死に、幕府や、政府、現人神の
        
        下(もと)に動いていた者全てが下克上に晒される。
            
        そう・・・。
             
        秩序が崩壊し、俗世は力が支配する
         
        世へと変わり果てていた。
            
        力が全てを支配し、力強き者が栄華を誇れる。
         
        力無き者は虐殺、陵辱といった様々な苦しみを強いられ、
         
        弱き者は奪われる事が当然になっていた。
          
        ある者は強者(ツワモノ)の下につき、ある者は強者を破り、
             
        腕に覚えのある者達は我先にと競って腕を磨き、自分の強さを
             
        誇示する。
         
        至る所で争いが起こり、互いの命を奪い、奪われる、
            
            悪鬼・羅刹のはびこる・・・そんな現世(うつしよ)。』

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001読み手  各して、柳生十兵衛との激しい闘争を終え、死した佐々木小次郎、
        
        沖田総司のその胸中は如何に変わり、何を得、何を知り、

        何を忘れ、何を捨てたのか・・・

        果たして、総司が目の当りにした生死の狭間で視えた物とは?

        そして、沖田総司を巻き込みつつ運命の歯車が廻り始めた・・・。

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002読み手 沖田邸居間にて

003総司  「んー・・・・・・はぁ~。」

004チヨ  「総司様、何か最近そわそわとしていますな。」

005総司  「ああ……ちょっと、な。」

006チヨ  「十兵衛殿と何かあったのですかな?」

007総司  「十兵衛?十兵衛は関係無い。」
        
       「十兵衛の事はもうどうでもいいのだ。」
        
       「・・・怪我も、いい具合に治ってきている。」
       
       「だが、まだだ。」

       「今はまだ言えん・・・、時が来れば話す・・・・。」

008十兵衛 「チヨ殿にも言えぬ事なのか?」

009総司  「そうだな・・・まだ言えぬ。」

010十兵衛 「うぬ、お主にも考えがあっての事であろう、
        
        いらぬ詮索をした、すまぬ。」

       「・・・・・・・・・・。」

       「チヨ殿と沖田に聞いてほしい事があるのぢゃ。」

       「儂はまた剣客として旅に出ようと思うとる。」

011総司  「やはりそうか・・・。」

       「で、いつ発つ?」

012十兵衛 「この傷が完治すれば直ぐにでも・・・かのう?」

       「チヨ殿には本当に世話になった、有難い限りぢゃ。」
 
013チヨ  「いえいえ、十兵衛殿には薪割り等の手助けをしてもらいました故、

        大変、助かりましたですぢゃ。」

014十兵衛 「いやいや、儂が好きで、躰が訛らぬ様に

        鍛え直していただけぢゃから、気する事ではない。」

       「沖田はどうするのぢゃ?」

       「・・・どうやら腹は決まっている様ぢゃのう。」

015十兵衛 「まぁまだ儂もまだまだ此処で厄介になるでな、

        宜しく頼むぞい。」

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016読み手 沖田邸庭にて

017総司  「でやぁ!せぃっ!はぁぁあ!!」

018チヨ  「総司様、御朝食の時刻ですぞ。」
        
019総司  「わかった!」

020チヨ  「最近、総司様の稽古が激しさを増している様な・・・?」

021十兵衛 「勘違いではないぞい。」

022チヨ  「ふわぁっ!?気配を絶って後ろから声をお掛けにならないで
        
        下さいまし!」

023十兵衛 「がっはっはっは!すまぬすまぬ!許されよ。」

024チヨ  「まったく!老人は大切にするものですぞ!?」

       「十兵衛殿だけ御朝食抜きで宜しいのですな!?」

025十兵衛 「!、すまぬと申しておるではないか!汗)」

026総司  「全く、子供地味た事をしおって・・・。」 

027チヨ  「では、これからはもうその様な真似せぬようにお願いしますぞ?」

028十兵衛 「相分かった!もぅ二度とせぬから飯抜きは勘弁してくれい。」

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029読み手 沖田邸居間にて

030十兵衛 「ん?お膳が2つ?」

031総司  「はははははは!」    

032チヨ  「ささ、総司様、御朝食で御座いますよ。」

033総司  「頂きます。」
   
034十兵衛 「・・・・・・・・・儂の飯はどこかのう?」

035チヨ  「御座いませぬ・・・。」

036十兵衛 「そっ!そんなせっ生な事を申してくれるな・・・・。」

037チヨ  「一食ぐらい抜いても死には致しませぬ。」

       「今のうちに薪割りをお願い致しますぞえ。」
 
038十兵衛 「そ・・・そんな・・・orz」

039総司  「御馳走様でした。」

040十兵衛 「そう言えば沖田は湯浴みの時刻ぢゃのう。」

       「では、儂も湯浴みに行ってくるかのう。」

041チヨ  「十兵衛殿!何を言いますかぁ!!」

042総司  「では、湯浴みにいってくるぞ。」

043チヨ  「そもそも十兵衛殿は総司様が気にしないからとは言え、

        混浴などはこのチヨが許しませぬぞい!」

       「いいですか?今、総司様は女である事を受け入れ、複雑な心境!
     
        それを察するも、殿方の勤めでは在りませぬか!?」

044十兵衛 「・・・・・・・・すまぬ、冗談なのじゃが・・・。。」

045チヨ  「十兵衛殿は恩を仇で返すおつもりですか!?」

       「傷の手当をして差し上げ、瀕死の重症から救って下さったは

        総司様ですぞ!」

        このチヨ、命を賭して十兵衛殿を亡き者にいたしまするぞ!」

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046読み手 山林の温泉にて             

047総司M 「そろそろ邸に戻り瞑想をし、一刻も早く迷いを捨てなければ・・・。」

048総司  「俺は、もっと、もっと!もっと!!強くならねば!」

049総司M 「・・・強さの先に視える物を見つける為にも。」

       「さて、邸に帰るとするか・・・・。」 

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050読み手 山林の獣道にて

051総司  「ん!?何奴だ!」

052半兵衛 「私は野安(のあ)の筆頭同心、半兵衛と申す者だ!」

       「貴様、ベニと言う者を知っておるであろう?」

052総司  「ん?そんな奴は知らぬ。」

053半兵衛 「なんだと!?」

054総司  「俺はその様な人物は知らないと言うておる。」

055半兵衛 「知らぬとは言わせぬぞ!!」

       「住んでいる場所も、身体的特徴も全て聞き込み通りだ!」

       「その者の名は沖田総司!貴様だ!」
        
056同心A 「御用だ!」

057同心B 「大人しくお縄に付けい!」

058同心A 「覚悟しろ・・・。」         

059総司  「俺にはそんな記憶はない!何かの間違えであろう。」

060半兵衛 「なんだと?では他に誰が殺ったと言うのだ!?」

061総司  「十兵衛の仕業だ、あやつは容赦ないからな。」

062半兵衛 「十兵衛?そやつに用はない」

       「沖田総司!お主を野安の治安を乱し、
        
        更には町内での殺人の罪でお主をお縄にする。」

       「神妙にお縄に付けぃ!!」

063十兵衛 「ぬう?・・・何をしているのぢゃ?」

064総司  「さぁな、そこの同心達が俺に野安の治安を乱し、

        更には町内での殺人の罪で俺をお縄にする・・・だそうだ。」

       「半兵衛とやら、俺は逃げも隠れもせん。」

065十兵衛 「ん?なんかあったんか?」

066半兵衛 「そこのお主も沖田の仲間か?」

067同心B 「お主も大人しくお縄に付けい!」 

068同心A 「抵抗しても無駄だ!今回はお奉行様、直々の命だからな!」

069十兵衛 「何の事を言ってるんぢゃ?何の話か全くわからぬわ。」

       「儂に解る様に説明して貰えぬかの?」

070総司  「こんな所で立ち話もなんだ、俺の邸(やしき)で話そうではないか。」

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071読み手 沖田邸玄関にて

072総司  「さぁ着いたぞ。」

073半兵衛 「はぁはぁはぁ・・・。」

074十兵衛 「同心ともあろう者達がだらし無いのう。」 
       
075半兵衛 「う、うるさい!貴様らが速すぎるだけだ!」
  
076同心A 「半兵衛様どういたしましょう。」

077半兵衛 「おい!お前は屯所に戻って報告をしてくるんだ!」

078同心B 「はい!」 

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079読み手 沖田邸居間にて

080チヨ  「どうぞ、粗茶ですが・・・。」

081半兵衛 「貴様は、ベニ様を知っている筈だぞ!」
          
       「本当に知らぬと申すのだな!?」  

       「この事はお奉行様に報告するから覚えとけよ。」

       「屯所に戻るぞ!」

082同心A 「はい!」

082十兵衛M「・・・その様な名の者は全く記憶に無いのう・・・。」

       「今まで闘ってきた強者(つわもの)の名は、忘れぬのぢゃがのぅ。」

083半兵衛 「今日はもう遅くなった、私は一旦屯所に帰る!」

       「ん!?そうそう、逃げるんじゃあないぞ?」
  
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084読み手 某屯所内にて

085半兵衛 「おい、お主ら先の件、お奉行様にはお伝えしたか?」

086同心A  「はい!奉行所まで行き、お奉行様に直接お伝えいたしました。」  

087半兵衛 「よし・・・ご苦労だった。」

088同心B 「半兵衛様その件について話し合いたいと

        お奉行様からお話がありました。」

       「明朝、奉行所に来るようにと仰せつかって参りました。」

089半兵衛 「む?分かった。」 

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090読み手 半兵衛の長屋にて

091半兵衛 「お時、待たせて済まなかったな・・・。」

              「今日は遠出で帰りが遅くなってしまった、寂しくはなかったか?」

092お時  「うん!大丈夫!」

093半兵衛 「すっかり遅くなってしまったが飯にするか!」

094お時  「はぁ~い!」

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095読み手 お時の過去・・・。 

        若い頃の、まだ筆頭同心になる前の半兵衛が、

        河原の傍を歩いている時
        
        赤子の鳴き声が聞こえた気がした・・・。
        
        辺りを見回すと、河原の端で布に包まれている赤子を見つける。

        そこには手紙と、僅かばかりの金子も包まれていた。

        名は「お時」と言い、産まれたてだが自分で育てられない

        事情があり、どうぞ優しい方に拾われる事を祈ります。

        と言う内容の手紙だった。

        哀れと思った半兵衛は自分で拾い

        娘として育てる事を誓いを立て今に至る。

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096読み手 奉行所三ノ間にて
                                            
097景元   「半兵衛よ、我が妹を殺した奴等はどぅしたっ!?」

        「この野安(のあ)の町の治安を統括する儂の妹を殺した奴等だぞ!?」

098半兵衛  「ご安心下さい。」

099景元   「なぬ?お主の配下の同心からは報告は受けているが、

         逃げ出されていたらどうするのじゃ!」

100半兵衛  「居場所は解っていますし、ベニ様を斬った覚えが無いと申しております

         故に逃げは致すまい・・・と。」

101景元   「ぬううう!何をそんな呑気な事を言っている場合か!」

102半兵衛  「おっお奉行様!落ち着いて下さいませ!!」

103景元   「儂の妹を斬り殺しておるのだぞ!?」

        「捕まえて散々拷問をした挙句に生きたまま、さらし首にして

         鴉の餌にしても儂の腹の虫は納まらぬわ!」

        「半兵衛!今すぐに同心20名を連れて行き、奉行所まで
      
         引きずってでも儂の前に連れてこい!!」

        「抵抗すれば殺しても構わん!わかったな!?」

104半兵衛  「・・・っは!ご承知いたしました!」

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105読み手 沖田邸周辺にて

106男全員   「御用だ!御用だ!御用だ!!御用だっ!」                
107チヨ   「はてさて、この様な辺鄙な処へどの様な御用ですかな?」

108半兵衛  「沖田総司!並びに柳生十兵衛に告ぐ!」

         野安での殺人容疑でお縄にする!」

        「抵抗すれば、命を奪っても良いと言う命を受けている!」

        「速やかに出てこい!」
 
109十兵衛  「なんじゃぁ・・・うるさいのぅ・・・」

110総司   「本当にうるさいやつらだな。」

111半兵衛  「さぁ!大人しくお縄に付けぃ!」

        「お前達!奴等をお縄にしろ!」

112同心B  「はい!」

113同心A  「っは!」

114同心B  「さぁ!」

115同心A  「神妙にお縄につけぃ!     
   
116総司   「十兵衛よ、同心達を斬るなよ?」

117十兵衛  「なんぢゃ面倒くさいのう・・・・。

118男全員  「御用だ!御用だ!御用だ!!御用だっ!」

119十兵衛  「ふん!ふん!ふん!でや!」

120同心A   「ぐは!ぬう!かは!ぬあああ!」

121半兵衛  「なん・・・だと・・・。」

122総司   「せい!せあ!であ!ぜい!」

123同心B  「がは!ぐう!かふ!ぐあああ!」

124半兵衛  「20名いた同心があっという間に全滅・・・。」

        「しかも1名も死者を出さずにだ・・・と!?」

125同心A  「ぐぅぅぅ・・・・。」

126同心B  「ぬぅぅ・・・・。」 

127総司   「さぁ、奉行所まで行こうか。」

128半兵衛  「・・・へ?」

129十兵衛  「なんじゃ?聞こえなんだか?奉行所へいくぞい。」

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130読み手 奉行所審問所にて

131半兵衛  「お奉行様ぁ!」

132景元   「おお!つれt・・・・!?」

        「コレはど言う事だ!?半兵衛!」

133半兵衛  「っは!恐れながら申し上げます!」

        「この両名は20名の同心を殺さずに倒し、己の意思で此処まで

         来たのでございます!」

134景元   「なんじゃと?信じられぬ!・・・だが半兵衛が申すのだ、

         嘘ではあるまい。」

        「しかしここに来たのはあさはかだったのう!

         皆の者!曲者じゃ!出合え出合えぇぃ!」

135総司   「(小声)十兵衛、殺すなよ?」

136十兵衛  「まったくもって面倒くさいのう・・・・。」

137読み手   ドタドタドタドタッと、同心達の沢山の足音と共に夥しい

         役人が雪崩込んで来た。

138同心A  「おぉぉぉぉ!」

139同心B  「ぬぉぉぉ!」 

140景元   「引っ捕えい!」

141男全員  「おぉーっ!」

        「でやああぁぁぁぁぁぁ!」 

142読み手   闘争の末、死者を一人も出さずに、半兵衛と景元を残し、

         全てを打ち倒した総司と十兵衛である。

143景元   「なっ!?」

144読み手   景元は腰が抜け、そこから動けずに恐怖に震えていた。

         明らかに怯えているのが分かる。 

         総司が近づけば後退りして必死の形相を浮かべる。

145同心B  「ぐぅぅ・・・。」

146同心A  「っく、くそぅ・・・。」

147同心B  「我々・・・では手・・も足も出・・・なかった。」

148同心A  「強・・すぎ・・・る。」   

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149読み手 奉行所私室にて

150総司   「さて、どうしてこうなったか教えてもらおうか?」

151景元   「貴様らが我が妹を斬ったからではないか!」

152総司   「妹?」

153十兵衛  「妹ぢゃと?」 

154景元   「そうじゃ!我が妹であるベニを!」

155総司   「言われもない罪で牢屋に入れられる訳か?」

        「ベニとやらがお主の妹であろうと、俺達はそんな奴は知らぬ。」 

156景元   「何度言わせれば気が済む!?儂の妹のベニは貴様に斬られたのだ!!」

157十兵衛  「そう言えば・・・この町で儂が斬ったのやも知れぬな。」

        「が、我らは襲われたのぢゃ、斬り捨てても文句を

         言われる筋合いわないぞい?」

        「お奉行様とやら、それとも儂と死合う(しおう)てみるかの?」

158景元   「っく、なんだと!しかし今は死合いをしている場合ではない!」    

        「今は、勾引しの事件が多発しとると言うに!」

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159読み手 半兵衛の長屋にて

160お時   「あ、父上が帰ってくる前に、ご飯の支度をしとかなきゃネ!」

        「さぁーて、今日は朝早かったから沢山、作らなきゃ!」

        「さぁ!がんばろー!おーっ!」

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161読み手 路地裏にて
         
        お時に静かに忍び寄る怪しげな影達。

        そんな事とは露知らず、夕食作りに一生懸命なお時である。

        影の一人が合図をすると       

        霞の如く姿が見えなくなった。

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162読み手 半兵衛の長屋への帰り道にて

163総司  「何も持て成しなどしなくともよいのだぞ?」

164十兵衛 「お主も長屋住まいならば、そこまで裕福とは思えぬのぢゃが?」

165半兵衛 「逢わせたい子がいるのだ。」      

166総司  「子供?男か?女か?」

167半兵衛 「女子(おなご)だ。」

       「まだ九つなのだが、家事を全てこなす女子だ。」

       「私、自慢の娘だ!」 
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168読み手 屯所への帰り道にて

169同心B 「今だにベニ様を斬ったとは言わないらしいぞ?

170同心A 「その様だな・・・。」

171同心B 「ご立腹時のお奉行は見境が無くなるからなぁ・・・。」 

172同心A 「お奉行様がご立腹だと私は恐ろしくてたまらん・・・。」

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173お時  「早く父上、帰って来ないかなっ」

       「今日はお夕飯作り、頑張ったからな~!」
       
       「早く父上帰ってこないかなぁー。」

       「うふふっ」

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174読み手 半兵衛長屋前にて

        影達は一旦、入口の前に集まると同時に

        入口から音もなく侵入、お時を気絶させ

        速やかにお時を連れ去って行った。

        ついに、沖田総司を巻き込む運命の歯車が廻る胎動を始めた・・・。
       
        現し世の中で、とうとう動き出した歯車、 

        沖田総司の、運命は動き出し始めたばかりである・・・
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★第1話の比率は3:1:4 です!こちらもよろしく!
★第3話の比率は2:2:2 です!よしくねw

 

 

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最終更新:2013年12月20日 08:47