『れっつごー、ぽえむだばかやろー』


例えば、そう。
仮に、霧に包まれた一本道を歩いていたとしよう。
周りには誰もいない。
何もない。
何も見えない。
何も聞こえない。

ハロー、ハロー、誰かいませんかー?

はいイマセン。返事無し。答え無し。
っかー、俺様チョーさびしー。
目の前は白!
右見て白!
左見ろ白!
見上げれば白!
背中の方もどうせ、白!
白!白!白!
ダーーーッシュ!!
赤信号、独りで渡れば、恐るるに足らぬわぁ!
白いけどな!ズビシッ!括弧ツッコミ。ここで笑ってー。

はい、しーん。

ちなみに足もとは茶色。土の色。
横幅だいたい1メートル。
それがずーっとまっすぐ伸びてる。
そのほかは、白!
だったら、とりあえず茶色い道の上を歩くだろ?
お前もそうだろ?

けどさ、これがまた何分何日何ヶ月歩いても一向に終わりが見えないんだわ。
俺もう飽きちゃった。
つーかぶっちゃけ怖くなっちゃった。
何?ひょっとしてマジで俺のほか誰もいねえの?

おーい!誰かー!誰か、誰かいませんかー!助けてくださーい!!

はい、しーん。
もうね。なんかね。

晴れろ霧!失せろ雲!消えろ白!つーか死ね、白!白!死ね!死ね!白!死ね!白死ね!

とか何とかやってたら本当に霧が晴れてきました。
やるじゃん、世界。
霧が晴れて、……そこに見えたのは、……見渡す限り無数に広がる、

……分かれ道。

はっと振り返ると後ろの方も、ひぃ、ふぅ、みぃ、たくさんの分かれ道だよ。
ダメじゃん、世界。世界クソじゃん。
そりゃ終わらねーわ。どこにも辿りつかねーわ。
正解ルートどれだよ。むしろ目の前に正しい道はあるのかよ。
仕方ないからとりあえず歩くけどさ。
で、どれ?どの道を選ぶよ?

とりあえず、まあ、目の前の道、まっすぐ。

……1分経過ー。
……1日経過ー。
……あー、1ヶ月くらい、たぶん経過ー。
あー、周り茶色いなー。道、道、道、道、道、道、道、道、道。茶色い道。あっちもどっちも。
変わんねー。変わんねー。周りじゅう白かった頃と何も変わんねー。

やってられっか!

振り返って、ダーッシュ。
ダッシュ。ダダーッシュ!
俺思うんだけどさ、さっきさ、他の道よりちょーっとキレイめな道があった気がするんだよね。
何かキラッキラしててさ、いやもちろん少しだけ、そこはかとなく、さりげに?
たぶんあれがさ、正しい正解のトゥルーエンドに至るハッピーなルートなんだよ、絶対。
ああ、ちくしょー、だんだんそんな気がしてきた。
いや絶対そうだ。間違いない。あれだった。

……で、どれだよ、それ。

はぁ。
もう俺、自分が今どこに立ってるのかもわかんね。
いや、最初っからわかんなかったんだけどさ。
もう行き先わかんね。
来た道わかんね。
戻る道わかんね。
帰る道わかんね。
わっかんね。
俺を中心に360度クモの巣みたいにぶわーっと茶色い道が広がってる。
誰かいませんかー、たって、どこにも誰もいないことはとっくにわかりきってる。
かくなる上は。
それでも何故か歩き続けなきゃいけない以上は。
テキトーに選んでみるしか無いんじゃない?

ど・れ・に・し・よ・う・か・な・か・み・さ・ま・の・い・う・と・お・り

この道か。
……いや待て、こっちの道の方が心持ち明るい気がする。
5ミリくらい道幅も広いし、比較的平らで、歩きやすい気がする。
こいつはグレイト。ガチで。間違いない。
この道を行けば間違いない。俺が保証する。
今なら10年保証付きだバカヤロー。

歩こう。
いざ行こう。
さしあたっては、俺が気まぐれを起こすその日まで。