占いの館 - 声劇つくっちゃおうぜ

次のお客様はアータね？そこにお座りなさい。
それでどんな相談がアルね？

ほうほう、ご亭主が。はあはあ、浮気！ふむふむ、事業にも失敗？失敗続きの上に先物取引……あーあー。
ああ別れたの、ああ、ずいぶん前の事なのネ？五年前、そう。
それで？　再婚を考えてるの…なるほど。
お子さんが今度小学校…片親じゃ不便になるんじゃないかって。そう。

アータ、そういう理由で再婚なんかしちゃいけないわネ。
なんで？なんでって聞く？
アータねえ、今子供のため、って言ったでしょう、ネ？
アンタ自身はどうなの？結婚したいの？
それから考えなきゃだめヨ。考える基点が間違えてるのヨ。
今のあなたの相談に子供の事は要る情報なノ？　違うでしょう。
あなた伏せておいていい情報よそこは。
理由を聞かれてホイホイ「子供」を使うっていうのがアタシゃ今一信用できないのネ。わかる？
もしアータが結婚生活うまくいかなくなったら、子供のせいにするんじゃないのか？

ひどい？ひどいこと言ってるか？　アタシゃきつい事言うがね、アータを思いやってるのネ。わかるだろ？
子はかすがいって言うがね、かすがいってのは知らず繋ぎとめるからかすがいなんだ。
目に見えてくっつけ役にさせるもんじゃない。アータは今それをしようとしていたんだよ。
逆にもし結婚生活がうまくいったとしても、アータは子供がいたおかげだ、なんて思わないだろう、ネ？
人はいいことは自分のおかげ、悪いこたぁ他人のせいって思っちゃうんだ、コリャ。ねえ？
そっから考えて、アタシゃ子供のための再婚っていうならいい返事はできないネ。
アータがその人と結婚したいか、アータのことだけ考えてみな。
そして、アータが決めた事に、子供やら親戚やらが反対するか賛成するか、それはまた次の話だ。

わかったね？　わかった、ああそう、じゃあまた何か相談したくなったらおいでな。