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『ナナせんせいのしゅうまつ』

奈々(なな) :絵描きの姉さん。言葉遣いが中性的。
耕太(こうた):学生。軽く方言混じり。
有紗(ありさ):タバコ片手のけだるい姉さん。
※百合オチです。


奈々(M)「暑い夏の日、こんな夢を見た。」

 暑い日差しの照る土手。帽子をかぶった女がスケッチブックを抱えている。そこに、涼しい格好の学生が通りがかる。

耕太「ナナせんせい。今日も書いてンですか」
奈々「やあ。うん…今日も天気が良いね」
耕太「暑いのに よくやりますね」
奈々「若いのに老人のような事を言う。君、時間は大丈夫? よけりゃ隣、お座ンなさい」

 土手に座る二人

奈々「しかし君もあれだ、暑いのによく来るね」
耕太「はあ、まあ暇ですから」
奈々「そうか、今は夏か」
耕太「ええ、夏のお休みなんです」
奈々「けれど君、男で絵に興味があるとは、珍しいんじゃないか」
耕太「はあ。先生の絵は、俺の母ちゃの書く絵によく似ておられるのですよ」
奈々「はあ、君の母さは、絵描きか」
耕太「らしいです。物置の奥に、古ィカンバスがいっぱいこう立てかけてありましてね、もうせん埃被ってますが
   その絵がね、似てるんです、とても。色遣いなんか、すごく」
奈々「うん、うん…君は、いくつになる」
耕太「十と二です、もうすぐ三」
奈々「三か……うん、そんなら、君の母さんと私は、きっと同じ頃の生まれだ。その頃ね、こんなのが流行ったのだよ」
耕太「そうなんですか、それで。失礼ながら俺はナナせんせいはもっとお若いと思っていました」
奈々「そうか、そうか……若くみられるのは、嬉しいな」
耕太「そうですか? 俺なんか、『まだ小学生?』なんて言われると腹ァ立って仕方ありませんが」
奈々「は、は、はは……」


 アパートの一室

奈々「ただいま」
有紗「奈々ちゃんなの?」
奈々「ええ、今戻りました」
有紗「お帰りなさい、どこに行ってたの?」
奈々「ちょっと、色々あって遅くなりました」
有紗「あら真っ黒。ずいぶん日焼けして来たのね。また外で延々と描いてたんでしょう」
奈々「はあ。夕焼けをスケッチしてたんです。
   そしたら、なんだか変な所に出てしまいまして、帰るまでだいぶ時間がかかってしまいました」
有紗「そうだと思った。今日も帰って来ないようだったら警察にお願いしようかとも考えたのよ。帰って来てくれてよかった」
奈々「御迷惑をおかけします、ヒモの分際で」
有紗「(笑い)…やめてよ。それで、何の絵を書こうとしてたの?」
奈々「終末の絵です」
有紗「…それって怖い絵なの?」
奈々「どうでしょうね」
有紗「なに、秘密なの?」
奈々「ええ」
有紗「ま、見せてもらってもわかんないか。奈々ちゃん、いつも何書いてるかわかんないの書くんだもん。」
奈々「わたしのは抽象画ですよ」
有紗「奈々ちゃん上手いんだから、きちんとした絵を見たいなあ」
奈々「エー…」


奈々「ねえ有紗さん。愛していますよ」
有紗「ぷっ…なぁに、どうしたの?」
奈々「言いたくなったから言ったまでです。愛してますよ」
有紗「…おかしな人」


奈々M「彼と語らった年月まで、あと11年。
     わたしはその11年で、愛しい人に愛想を尽かし、愛を知り、彼を設けるまでに至るのだろうか。
     そんな事を考えた。」


お題:初恋 メドゥーサ 来週