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絆創膏」(2010/11/14 (日) 01:48:34) の最新版変更点

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***絆創膏 作者:酎ハイ ◆cKsrSOpyZk キャスト()内は台詞数:  男(32)  女(33) ナレーションというか回想は、──で始まってます。男のキャストさんで。            ──それは、秋のことだった。 男01「もし、キミがよければ………俺と、付き合って頂けませんかっ!?」 女01「……えっ!?わ、私!?あ、あなたとっ!?」 男02「…そう!」 ──初めは、罰ゲームだった。 ゲームに負けた奴は、クラスの意中の女の子に告白する─── よくある、その手の罰ゲーム。 当然俺は負け、罰ゲームに至った。 早く終わらせたい俺は、適当にクラスの中の一番可愛い女の子を指名し、適当に告白した。 対象は、セミロングの少し栗毛の女の子。 左手には、いつもクマの絵柄の絆創膏を貼っている。 華やかではなく、いたって普通。しかしいつも可愛く笑っている。 クラスの雰囲気を和ませているうちの一人だ。 適当にフラれて終わればいいんだろ?それが奴らの目的なんだろ?そう思ってた。 しかし、結果は─── 女03「……こんな、わたしで良ければ…」 男03「えっ!?」 女04「だって、私…ずっと…ずっと…」 男04「え、もしかして…俺のこと、好きだったとか…んなははは!そんなわけn…」 女05「好きだった!」 男05「ええっ!?」 ──適当ではなかった──── ──その日の午後、僕たちは街に出た。 罰ゲームを仕掛けたやつらも、呆気に取られるくらいの失敗パターン。 ──だが、俺からしたら、成功パターンなのかもしれない。 男06「あ、あの…どっか、行きたいとことか…ある?」 女06「と、特に…」 男07「あ、そう…」 女07「ごめんね…」 ──会話がぎこちない。 相手は知らないが、俺は初めての経験。何を話題にしたらいいか… …ん?そういえば、いつも絆創膏を貼ってたよな、これを話題にしてみるか… 男08「そういえばさ…いつも絆創膏してるよね!そんな怪我が多いの?」 女08「!?…そ、そう!そそっかしくて!あはは!!」 男09「そーいえば、体育の授業もいっつも転んだりしてるよね~!」 女09「そ、そーなのよ!なんか足がもつれたりして、大変なのよ~」 男10「実は、おばさん…なんじゃないの!?」 女10「失礼ね!私はそんな年じゃないよ~!」 ──などということがきっかけで、他愛のない話をし、その場は盛り上がり、終了した。 初々しい時代から三ヶ月、会話にも慣れ、相手のことをもう少し知りたいな、という時── 男11「じゃ、俺はここで…」 女11「…あ、あの…これからキミの家に、遊びに行ってもいいかな?」 男12「え?俺の?…今日はオヤジもオフクロも仕事に行ってて帰りが遅くなるし、ロクな持て成しができないけど?」 女12「それが…それでいい…それでもいい!」 男13「ん、それじゃいいよ。おいで。」 女13「うん♪」 ──平然と装ってはいたが、実は内心ドキドキだった。 女14「おじゃましまーす!」 男14「勝手にくつろいでね~ あ、飲み物は紅茶しかないけど、いい?」 女15「うん」 男15「はい、どーぞ~」 女16「いただきま~す!あっつ!」 男16「慌てないで…あれ、今日は右手にも絆創膏?」 ──そういうと、さっ、と隠す仕草をする。 女17「そ、そうなの!今日も階段で転んじゃって…たははw」 男17「気をつけろよ、まったくw」 ──そうこうしているうちに日も暮れ…時計の針は、午後8時。 男18「ん、もうこんな時間か…」 女18「まだ!まだ遊んでいたい!帰りたくない!」 男19「ま、こっちはうれしいけど、あまり両親を心配させちゃ…」 女19「多分、大丈夫。きっと。」 ──ゲームしたり、腹ごしらえしたり、帰れ、帰らないのやり取りをしているうち… とうとう時計の針は、午後11時を回ってしまった。 男20「もうやばいよ…どうするの?」 女20「帰りたくない。それにまだ、大事なこと、教えてない…」 男21「大事な…こと?」 女21「うん…私の、大事なこと……………………ねぇ……………知ってほしいの………」 ──ついに来ましたかー!そう思っていると、いきなり彼女は立ち上がり、 胸のネクタイを外し、シャツを脱ぎ始めた… 男22「え!?ちょっと、ここで!?」 女22「…うん…」 男23「いやいやいや!俺の部屋があるから、そこへ…」 女23「明るいところのほうが、いいから…」 ──そういい終えると、彼女は服を脱ぎ始め、下ろす。 …そこには、絹のような肌の彼女の姿が…あるはずだった。 男24「え…」 女24「これが私の、大事なコト…」 ──全身に、無数の傷、痣、火傷の跡── こっちのは最近の傷なのか、まだ赤い色の傷が見えている。そして、青い痣も… 男25「こ、これは…もしかして…」 女25「そう……虐待……性的のも含めて…私は虐待を受けて…」 男26「これって、その、児童相談所とかには…」 女26「言えるわけないじゃない!言ったらさらに虐待を受ける!直っても直っても、次から次へと!」 男27「んじゃ、あの絆創膏は…」 女27「そう。この傷を隠すため…よく転ぶのも、この傷を誤魔化すため…」 女28「あの時、あなたが告白してくれて、本当にうれしかった!    それから、ずっと悩んでた。ずっと考えてた。    本当のコトを言っても大丈夫な人なのかって。    今日、あなたに言ったのは、これまでで大丈夫だと思ったから。    これを見ても、感じても、まだ好きって言ってくれる? 男28「俺…」 女29「…無理…だよね…当然…だよね…」 ──いつも笑っている彼女。しかし、心折れそうな現実。 テレビなどでは話題にしてても、その現実を見たことは、いままでなかった。 しかし、ここにある。クマの絆創膏の下の傷は、紛れもなく、現実のもの。 男29「誰が無理って言ったよ!」 女30「…えっ!」 男30「こんな可愛い、きれいな肌の子を苛めやがって!俺が文句言ってやるよ!」 女31「そんなことしたら、私がますます…」 男31「児童相談所に通報すれば、警察が介入し、法の下に親と子を別居させてくれる。    そうしたら、お前は俺んと子にくればいい。親父もオフクロも、歓迎するさ」 女32「…うん!!うん!!!」 ──さっきまで悲しい涙で溢れていたが、一気に嬉し涙に変わった。 そして、これ以上ないってくらいの、とびっきりの笑顔を俺にくれた。 ──後日、早速児童相談所に行った俺らと俺の両親は、係員と警察に事情を話した。 警察も事態を重く見て、親子別居させてくれた。身元引受人は、俺の両親。 彼女の両親もこれに納得し、署名をした。 こうして、彼女との同居が始まった。 男32「本当によかったのかな… 結果的に、俺らがご両親と離れ離れにさせちゃったけど…」 女33「うん!よかったよ!ありがとう!大好き!!」 ──こう言うと、ホッペに軽くキスをしてくれた。 ──それから数年。相手の両親もすっかり改心し、彼女とも打ち解け、無事親子は元に戻った。 …いや、元に戻ったどころか、増えるかもしれない。 ──俺の手には、封筒に入れられた一つの書類があった。 その封筒は、彼女と俺との間を繋いでくれた、クマの絆創膏で封をしてある。 このクマ、今度はもっと凄いものを繋いでくれるに違いない。

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