「ミュージックウォー・序」の編集履歴(バックアップ)一覧はこちら

ミュージックウォー・序」(2010/10/17 (日) 13:56:59) の最新版変更点

追加された行は緑色になります。

削除された行は赤色になります。

**ミュージックウォー・序 作者:タウト ◆oXFOdNeHtA あるバーで歌っていた男が殺された。 音楽を愛し、そして敬意を払っていた男だった。 道端で口笛を吹いた少年が殺された。 音楽コンクールに出場する前日のことだった。 料理教室で鼻歌を歌った女が殺された。 新婚で、食卓のメニューを増やそうと通い始めた所だった。 町は、世界は荒れ荒み静かになった。だが、みなの心は大音声(だいおんじょう)で泣いている。 泣き続けている。 なんでだって? 知りたいか。この物語を。 (SE:どしゃぶりの雨。▲~▲までずっと) ▲ (SE:けたたましくドアを叩く音) 男「おい! あけろ! いるのは分かってんだ!」 (SE:けたたましくドアを叩く音) 男「ったく……おい、やれ」 (SE:銃声) (SE:扉のきしむ音。ギイイイ) (SE:床板を歩く音) 爺「止まれ」 男「いるじゃねえか、ジイサンよぉ。手を煩わせるな」 爺「……お前等を招き入れた覚えはない」 男「モウロクしたかジイサン。拒む拒まないに関わらず、こちとらアンタらしょっぴく理由はいくらでもあるんだぜ」 爺「はやく立ち去れ」 (SE:男が床板を歩く) 男「ジジイ! 分かったらさっさと吐きやがれ!!」 爺「知らん!」 (SE:孫が床板小走り) 孫「じいちゃんから手をはなせー!」 爺「こっこら! 出てくるなと言ったじゃろ!」 男「なんだ、このガキ! 糞! はなさねえか!」 孫「じいちゃんから手をはなせよおー」 爺「はやく向こうに行きなさい!」 男「うるせえっ」 孫「うわっ」 (SE:孫は蹴られて壁にたたきつけられる。モノが散乱) 爺「ああっ! 貴様子供に手を上げるとは!」 男「黙れジジイ。オレァもう勘弁してやらねえ。今ここで吐くか、それとも死ぬか! 選べ!」 爺「知らんと言ったら知らん!」 男「シラきったって、こっちは分かってるんだ。テメーんとこの地域から勝手に流してるってコトをな! 言え! どいつがやってる!」 爺「おお、大丈夫か?」 孫「う……うう」 男「ふぅ。分かった。こうしよう。あんたが吐けば、そのガキは助けてやる」 爺「ふざけるなっ!」 男「おいおい、早くしねえと、もしかしたら骨折れてるかもしんねえぞ。けっこう思いっきり蹴ったからなぁ」 孫「い……たいよ。じいちゃん……」 爺「おお……そんな」 男「で、万が一折れた骨が臓器にでも刺さってたら、こりゃもう持たないだろうな。でも。ジイサン、あんたが吐けばそのガキは助けてやる」 爺「……くっ」 (SE:複数の足音) 男「なんだてめーら!」 隠れていた民1「長!」 隠れていた民2「はやく治療してやらないと!」 男「っと、みなさん仲良くお集まりですか。やっぱりここがきな臭いと思ってた」 爺「お前達まで!」 隠れていた民3「早く! オレたちは覚悟はできてます!」 男「……泣けるねぇ」 爺「……分かった。この子を治療してやってくれ。ただし条件はこちらがつける」 男「そりゃあダメだ。場所吐いてもらわなきゃ――」 爺「ワシの命をくれてやる。それで終わりにしろ。やっていたのはこのワシじゃ。ワシが死ねばお前等の問題も解決じゃろ」 隠れていた民1「長! そんな」 爺「黙っていろ! これが最善なんじゃ!」 (SE:雷の音) ▲ まだ知りたいか? ……(溜息)正直な所。ここから先、オレは話せない。 いや、続きを知らないからじゃない。結末は知っているが、覚えていないんだ。 オレが幼い頃の記憶さ。 じいちゃんは、オレを、町のみんなを庇って、あの男に殺された。 あの男は、オレの敵だ。 あの男は、世界を滅ぼした悪の組織の幹部だ。 その組織の名は、カスラック。 カスラックのせいでこの世から音楽が消えた。 みな抵抗したものは殺された。 オレはあの男に復讐を必ず果たす。そしてこの世に、自由だった音楽を取り戻してみせる。 そう。 これはオレの物語だ。 聞く気はあるか? (SE:扉がしまる音)
**ミュージックウォー・序 作者:タウト ◆oXFOdNeHtA あるバーで歌っていた男が殺された。 音楽を愛し、そして敬意を払っていた男だった。 道端で口笛を吹いた少年が殺された。 音楽コンクールに出場する前日のことだった。 料理教室で鼻歌を歌った女が殺された。 新婚で、食卓のメニューを増やそうと通い始めた所だった。 町は、世界は荒れ荒み静かになった。だが、みなの心は大音声(だいおんじょう)で泣いている。 泣き続けている。 なんでだって? 知りたいか。この物語を。 (SE:どしゃぶりの雨。▲~▲までずっと) ▲ (SE:けたたましくドアを叩く音) 男「おい! あけろ! いるのは分かってんだ!」 (SE:けたたましくドアを叩く音) 男「ったく……おい、やれ」 (SE:銃声) (SE:扉のきしむ音。ギイイイ) (SE:床板を歩く音) 爺「止まれ」 男「いるじゃねえか、ジイサンよぉ。手を煩わせるな」 爺「……お前等を招き入れた覚えはない」 男「モウロクしたかジイサン。拒む拒まないに関わらず、こちとらアンタらしょっぴく理由はいくらでもあるんだぜ」 爺「はやく立ち去れ」 (SE:男が床板を歩く) 男「ジジイ! 分かったらさっさと吐きやがれ!!」 爺「知らん!」 (SE:孫が床板小走り) 孫「じいちゃんから手をはなせー!」 爺「こっこら! 出てくるなと言ったじゃろ!」 男「なんだ、このガキ! 糞! はなさねえか!」 孫「じいちゃんから手をはなせよおー」 爺「はやく向こうに行きなさい!」 男「うるせえっ」 孫「うわっ」 (SE:孫は蹴られて壁にたたきつけられる。モノが散乱) 爺「ああっ! 貴様子供に手を上げるとは!」 男「黙れジジイ。オレァもう勘弁してやらねえ。今ここで吐くか、それとも死ぬか! 選べ!」 爺「知らんと言ったら知らん!」 男「シラきったって、こっちは分かってるんだ。テメーんとこの地域から勝手に流してるってコトをな! 言え! どいつがやってる!」 爺「おお、大丈夫か?」 孫「う……うう」 男「ふぅ。分かった。こうしよう。あんたが吐けば、そのガキは助けてやる」 爺「ふざけるなっ!」 男「おいおい、早くしねえと、もしかしたら骨折れてるかもしんねえぞ。けっこう思いっきり蹴ったからなぁ」 孫「い……たいよ。じいちゃん……」 爺「おお……そんな」 男「で、万が一折れた骨が臓器にでも刺さってたら、こりゃもう持たないだろうな。でも。ジイサン、あんたが吐けばそのガキは助けてやる」 爺「……くっ」 (SE:複数の足音) 男「なんだてめーら!」 隠れていた民1「長!」 隠れていた民2「はやく治療してやらないと!」 男「っと、みなさん仲良くお集まりですか。やっぱりここがきな臭いと思ってた」 爺「お前達まで!」 隠れていた民3「早く! オレたちは覚悟はできてます!」 男「……泣けるねぇ」 爺「……分かった。この子を治療してやってくれ。ただし条件はこちらがつける」 男「そりゃあダメだ。場所吐いてもらわなきゃ――」 爺「ワシの命をくれてやる。それで終わりにしろ。やっていたのはこのワシじゃ。ワシが死ねばお前等の問題も解決じゃろ」 隠れていた民1「長! そんな」 爺「黙っていろ! これが最善なんじゃ!」 (SE:雷の音) ▲ まだ知りたいか? ……(溜息)正直な所。ここから先、オレは話せない。 いや、続きを知らないからじゃない。結末は知っているが、覚えていないんだ。 オレが幼い頃の記憶さ。 じいちゃんは、オレを、町のみんなを庇って、あの男に殺された。 あの男は、オレの敵だ。 あの男は、世界を滅ぼした悪の組織の幹部だ。 その組織の名は、カスラック。 カスラックのせいでこの世から音楽が消えた。 みな抵抗したものは殺された。 オレはあの男に復讐を必ず果たす。そしてこの世に、自由だった音楽を取り戻してみせる。 そう。 これはオレの物語だ。 聞く気はあるか? (SE:扉がしまる音)

表示オプション

横に並べて表示:
変化行の前後のみ表示: