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***ある女の電話 作者:タウト ◆oXFOdNeHtA (SE:雨の音) A01「ねえちょっと! ちょっと誰か! 誰かいないの!? 誰かきてよ! んもう、なんでこんな時に……」 B01「どうかしました?」 A02「ああ、よかった。どうしても電話しなきゃいけないの、よければ電話を使わせてくれないかしら!?」 B02「……いいわ。5分よ」 A03「ありがとう! 感謝するわ」 (電話をする) A04「はいもしもし……ええそうです。はい……ええ。ええ。それじゃ今から行きます。」 A05「あっちょっと待って。いえあの、その、今車が故障しちゃって……その……」 (SE:雨の音、やや強めに) A06「今バイパスで車が故障して立ち往生してるんです! すいません、雨が酷くて聞き取りにくくて……」 A07「え? そんな嘘なんて……ええ。そうです。……待って! あの人、夫には娘を渡さないで!」 A08「必ず迎えに行きますから! ちょっと。ちょっと聞いてちょうだい。」 A09「いい? 娘を夫に絶対に引き合わせないで。」 A10「もしそんな事したら、必ずあなたは後悔するわよ。」 A11「ああ、ごめんなさい。ごめんなさい、そういう意味じゃないの。」 A12「でもいい? 絶対に渡さないで。危険なの、あの人は。」 A13「知ってるでしょ、あの人は昨日刑務所から出てきたのよ?」 A14「裁判所からも接近禁止命令が出てるんだから。」 A15「もし夫が来たら、警察をすぐに呼んで。何をするか分からない人だから。」 A16「本当よ……ええ……ええ。そう、警察を呼んで……ありがとう。本当にありがとう。」 A17「ああ、娘にはこの事は言わないで。怖がらせたくないの。必ず行きます。」 A18「はい。ええ。あ、娘にかわってくれませんか? え? 寝てる? そう……。分かったわ。いえ大丈夫。」 A19「起きたらママがすぐに迎えに行くと言ってたって。そう伝えて。それから愛してる、と。ええ、それじゃあ」 B03「大丈夫?」 A20「……ああごめんなさい平気よ、電話本当にありがとう」 B04「いえ、それはいいのよ。でも少し疲れてるみたいね。ちょっとでも横になったら?」 A21「ダメ! それはダメ! 休んでる暇なんてないの! 早く行かなきゃ娘が!」 B05「でもそんな状態じゃ――」 A22「うるさいっ! ほっといてよ! 私は行かなきゃならないの!!」 B06「ちょっと!」 A23「離して! 誰か! 誰か助けて!!」 (SE:モノがいくつか床に落ちる音。ガラスではない) B07「鎮静剤! それからスタッフ呼んで! 舌かまないように挟むものを!」 A24「はなせーーっ! はなせこの野郎!!」 B08「いいあなたそっち押さえて。早くベッドに固定して。いくわよ、せーのっ」 (SE:ベッドにのせる音) A25「はなせっつってんだろこの野郎!!(さるぐつわをされているので聞き取りづらい感じ)」 B09「腕も固定して! 点滴は? 早く投与して!」 A26「やめろーーーーッ! 娘が待ってるの! ……娘が、娘が私を待ってるから……あの人には渡しちゃ……(同じくさるぐつわ状態)」 B10「(溜息)……落ち着いたわね……え? この患者? あなた最近来たから知らないのね」 B11「そうなの。元夫に娘さんを殺されて、それがショックで精神に異常を……。かわいそうよね」 B12「ウチに来る前はもっと酷かったの。でもさっきみたいに、たまに付き合ってあげるのよ。彼女の見る夢に」 A27「ママよ……おそくなってごめんね。ブルーベリーパイ焼いてあげましょう、好きでしょう」 B13「ええ、大好きよ」 B14「……いつも同じよ。きっと後悔してるのね。娘さんを守れなかった事。だからせめて……」 【コメント】 A、Bともに女です。それ以外は指定は特にありません。
***ある女の電話 作者:タウト ◆oXFOdNeHtA (SE:雨の音) A01「ねえちょっと! ちょっと誰か! 誰かいないの!? 誰かきてよ! んもう、なんでこんな時に……」 B01「どうかしました?」 A02「ああ、よかった。どうしても電話しなきゃいけないの、よければ電話を使わせてくれないかしら!?」 B02「……いいわ。5分よ」 A03「ありがとう! 感謝するわ」 (電話をする) A04「はいもしもし……ええそうです。はい……ええ。ええ。それじゃ今から行きます。」 A05「あっちょっと待って。いえあの、その、今車が故障しちゃって……その……」 (SE:雨の音、やや強めに) A06「今バイパスで車が故障して立ち往生してるんです! すいません、雨が酷くて聞き取りにくくて……」 A07「え? そんな嘘なんて……ええ。そうです。……待って! あの人、夫には娘を渡さないで!」 A08「必ず迎えに行きますから! ちょっと。ちょっと聞いてちょうだい。」 A09「いい? 娘を夫に絶対に引き合わせないで。」 A10「もしそんな事したら、必ずあなたは後悔するわよ。」 A11「ああ、ごめんなさい。ごめんなさい、そういう意味じゃないの。」 A12「でもいい? 絶対に渡さないで。危険なの、あの人は。」 A13「知ってるでしょ、あの人は昨日刑務所から出てきたのよ?」 A14「裁判所からも接近禁止命令が出てるんだから。」 A15「もし夫が来たら、警察をすぐに呼んで。何をするか分からない人だから。」 A16「本当よ……ええ……ええ。そう、警察を呼んで……ありがとう。本当にありがとう。」 A17「ああ、娘にはこの事は言わないで。怖がらせたくないの。必ず行きます。」 A18「はい。ええ。あ、娘にかわってくれませんか? え? 寝てる? そう……。分かったわ。いえ大丈夫。」 A19「起きたらママがすぐに迎えに行くと言ってたって。そう伝えて。それから愛してる、と。ええ、それじゃあ」 B03「大丈夫?」 A20「……ああごめんなさい平気よ、電話本当にありがとう」 B04「いえ、それはいいのよ。でも少し疲れてるみたいね。ちょっとでも横になったら?」 A21「ダメ! それはダメ! 休んでる暇なんてないの! 早く行かなきゃ娘が!」 B05「でもそんな状態じゃ――」 A22「うるさいっ! ほっといてよ! 私は行かなきゃならないの!!」 B06「ちょっと!」 A23「離して! 誰か! 誰か助けて!!」 (SE:モノがいくつか床に落ちる音。ガラスではない) B07「鎮静剤! それからスタッフ呼んで! 舌かまないように挟むものを!」 A24「はなせーーっ! はなせこの野郎!!」 B08「いいあなたそっち押さえて。早くベッドに固定して。いくわよ、せーのっ」 (SE:ベッドにのせる音) A25「はなせっつってんだろこの野郎!!(さるぐつわをされているので聞き取りづらい感じ)」 B09「腕も固定して! 点滴は? 早く投与して!」 A26「やめろーーーーッ! 娘が待ってるの! ……娘が、娘が私を待ってるから……あの人には渡しちゃ……(同じくさるぐつわ状態)」 B10「(溜息)……落ち着いたわね……え? この患者? あなた最近来たから知らないのね」 B11「そうなの。元夫に娘さんを殺されて、それがショックで精神に異常を……。かわいそうよね」 B12「ウチに来る前はもっと酷かったの。でもさっきみたいに、たまに付き合ってあげるのよ。彼女の見る夢に」 A27「ママよ……おそくなってごめんね。ブルーベリーパイ焼いてあげましょう、好きでしょう」 B13「ええ、大好きよ」 B14「……いつも同じよ。きっと後悔してるのね。娘さんを守れなかった事。だからせめて……」 【コメント】 A、Bともに女です。それ以外は指定は特にありません。

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