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『求道者』 ああ、鍋が食べたい。チゲ鍋がいい。 大きな昆布を一枚鍋に敷いて、水からじんわりとダシを取っていくんだ。 煮干を2,3匹入れるのが我が家流。頭もハラワタも取らず2つに割って鍋に放り込む。 ほのかな魚介の風味が具材の味を引き出してくれる。苦味?生臭み? チゲ鍋の濃厚なうまみの前ではそんなもの無力だよ。 具材は、そうだな、まずキムチ、木綿豆腐、豚バラと肩ロース。 ふっくらと煮えたタラも捨てがたいが、それは冬の楽しみに取っておこう。 それからネギ、しいたけ、えのき、しめじ。……悪いか、好物なんだ。 大根。大ぶりに切ったものはとてもジューシーだ。 もやし。単純にうまい。 それと、ああそうだ、葛きりも入れよう。あのもちっとした食感は素晴らしい。 具材を切り終えた頃にはダシも取れていることだろう。 醤油と酒、コクを出すため練りゴマを加える。甘さと辛さを出すためコチュジャンを入れてもい い。ここまでやればあとの仕事は全てキムチが受け持ってくれる。 たっぷりと具材を鍋に詰め込み蓋を閉めてひと煮立ち。グツグツと煮えてきたら胡麻油をさっと回し入れて完成だ。 蓋を開けた瞬間のゴマとキムチの匂いがたまらない。白い湯気に気分が高揚する。 さあ、今俺は煮えたぎる赤いスープの中に箸を突っ込み、無心で食べる、食べる。 辛い。甘い。酸っぱい。旨い。暑い。窓を開けろ。ビールを持って来い。シャツを脱げ。 汗など気にするな。食え。飲め。笑え。それ、飯も炊いてあるぞ。 まだだ。具材を追加しろ。腹が裂けるまで食べつくせ。食べつくせ。 食ったか?まだだ。これより雑炊を始める。余った飯は全て放り込め。炊飯器ごと放り込め。 卵を割れ。溶け。注げ。混ぜろ。遅い!何ちんたらやってるんだ。蓋を閉めろ。火を消せ。 貪れ。腹が破れるまで貪り食え。むしろ飲み込むんだ。喉で味わえ。胃で味わえ。 鍋の底が見えてきたか?米の一粒も残さず食べきったか? よろしい。10分休憩。その後冷たいシャワーで汗を流すといい。それが至福というものだ。 ……ああ、チゲ鍋が食いたい。
『求道者』 ああ、鍋が食べたい。チゲ鍋がいい。 大きな昆布を一枚鍋に敷いて、水からじんわりとダシを取っていくんだ。 煮干を2,3匹入れるのが我が家流。頭もハラワタも取らず2つに割って鍋に放り込む。 ほのかな魚介の風味が具材の味を引き出してくれる。苦味?生臭み? チゲ鍋の濃厚なうまみの前ではそんなもの無力だよ。 具材は、そうだな、まずキムチ、木綿豆腐、豚バラと肩ロース。 ふっくらと煮えたタラも捨てがたいが、それは冬の楽しみに取っておこう。 それからネギ、しいたけ、えのき、しめじ。……悪いか、好物なんだ。 大根。大ぶりに切ったものはとてもジューシーだ。 もやし。単純にうまい。 それと、ああそうだ、葛きりも入れよう。あのもちっとした食感は素晴らしい。 具材を切り終えた頃にはダシも取れていることだろう。 醤油と酒、コクを出すため練りゴマを加える。甘さと辛さを出すためコチュジャンを入れてもいい。ここまでやればあとの仕事は全てキムチが受け持ってくれる。 たっぷりと具材を鍋に詰め込み蓋を閉めてひと煮立ち。グツグツと煮えてきたら胡麻油をさっと回し入れて完成だ。 蓋を開けた瞬間のゴマとキムチの匂いがたまらない。白い湯気に気分が高揚する。 さあ、今俺は煮えたぎる赤いスープの中に箸を突っ込み、無心で食べる、食べる。 辛い。甘い。酸っぱい。旨い。暑い。窓を開けろ。ビールを持って来い。シャツを脱げ。 汗など気にするな。食え。飲め。笑え。それ、飯も炊いてあるぞ。 まだだ。具材を追加しろ。腹が裂けるまで食べつくせ。食べつくせ。 食ったか?まだだ。これより雑炊を始める。余った飯は全て放り込め。炊飯器ごと放り込め。 卵を割れ。溶け。注げ。混ぜろ。遅い!何ちんたらやってるんだ。蓋を閉めろ。火を消せ。 貪れ。腹が破れるまで貪り食え。むしろ飲み込むんだ。喉で味わえ。胃で味わえ。 鍋の底が見えてきたか?米の一粒も残さず食べきったか? よろしい。10分休憩。その後冷たいシャワーで汗を流すといい。それが至福というものだ。 ……ああ、チゲ鍋が食いたい。

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