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カバンの持ち主」(2010/10/19 (火) 03:56:06) の最新版変更点

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**カバンの持ち主 作者:wikiの人◆SlKc0xXkyI 男:ケチな泥棒 オッサン:どんくさそうなオッサン 男01「ん? 俺が何してるのかって?    そうだな、その質問に答えるために、始まりから教えてやるよ。    いつだったか、俺はカバンを盗んだのよ。    タクシー乗り場を通りがかった時、どんくさそうなオッサンがいてさ。    そいつが大事そうにカバンを抱えてたわけ。    俺はピーンときたね。あのカバンには金目の物が入ってる!    で、タクシーが来て、オッサンがそれに乗ろうとした時だ。    ずっと抱えてたカバンを、オッサンはつい片手で持っちまったのさ。    盗るなら今しかない! 俺はカバンを引っ手繰って、一目散に走ってやった!    今でこそケチな泥棒だが、昔は陸上やってたからな。誰も捕まえられやしない。    でもよ、驚いたのはそっからだ。    なんとオッサン、すげぇ形相で追いかけてきやがる!    死に物狂いってのはああいうのだって理解したね。    何せオッサン、本気で走ってる俺に追いつきやがったんだから!」 オ01「(息を乱して)お、おい、返せ! それは大切な物なんだ!    金か、金がいるのか? 金なら払う、いくらだ!?    いくらでも払うから、それを返してくれーッ!!」 男02「うおっ……腕を掴むんじゃねぇよボケッ!!」 SE:打撃 オ02「ぐぶっ! う、うぅ……い、痛い、血が出てる……歯が折れた……。    酷い奴だ、なんて酷い奴なんだ……。    でもいい、許す。何をしても許そう。    だからそれを、大切なんだ、返してくれ」 男03「お、おお……」 男04「なんつーか不気味だったね。    思いっきり顔面殴ってやったんだぜ?    歯も折れて、口からだらだら血を流してるのに、許すってなんだよ。    もうカバン返せとか言ってる場合じゃないだろ、どう考えても。    だが、そこで俺は確信した!    オッサンがそんな風になるぐらい、カバンの中身には価値があるってな!」 男05「あー、あのな、オッサンよぅ。    このカバン、俺のなんだ。分かるだろ?    あんたのカバンだって言うなら、証拠を出してくれ」 オ03「証拠……? 何を……何を言ってるんだ、君は……」 男06「いや! オッサンの気持ちはよく分かる!    カバンを盗られたんだろ? 酷い奴がいるもんだよな、許せねえ!    だけどこのカバンは俺の物なんだ。    似てるカバンとか、よくあるよな。そういうのだ。    オッサンには同情するが、人のカバンを自分の物にするのはいけねぇな」 オ04「あ、ああ……君は、言うのか……?    そのカバンが……中身が、自分の物だと……言うのか」 男07「ああ、そうだとも! このカバンも、中身も! 全部俺の物だ!!    何か文句あるか!?」 オ05「いや、ない……ないよ、ちっともない……。    そうかそうか……そうだったな、それは君のカバンだった……。    カバンも、中身も。何もかも君の物だったね……」 男08「ぶつぶつと呟いて、オッサンはふら付きながら引き返して行く。    さすがに取り返すのは無理だって、やっと理解したみてぇだな。    俺は勝ち誇ったように笑い、カバンに目を落とした。    どんなお宝が入ってるのか、早いとこ確かめてみなくちゃな!」 男09「さーて、何が出るかな、っと。    …………ひっ、あああああああああああああああああ!?」 間 男10「で、俺は今日もタクシー乗り場に立ってるわけさ。    あのオッサンと同じように、このカバンの新しい持ち主を見つけるためにな。    あ? カバンの中身は、結局何かって?    教えてもいいんだが――あんた、ハンバーグが食えなくなる覚悟はあるかい?」 終わり  
**カバンの持ち主 作者:wikiの人◆SlKc0xXkyI 男:ケチな泥棒 オッサン:どんくさそうなオッサン 男01「ん? 俺が何してるのかって?    そうだな、その質問に答えるために、始まりから教えてやるよ。    いつだったか、俺はカバンを盗んだのよ。    タクシー乗り場を通りがかった時、どんくさそうなオッサンがいてさ。    そいつが大事そうにカバンを抱えてたわけ。    俺はピーンときたね。あのカバンには金目の物が入ってる!    で、タクシーが来て、オッサンがそれに乗ろうとした時だ。    ずっと抱えてたカバンを、オッサンはつい片手で持っちまったのさ。    盗るなら今しかない! 俺はカバンを引っ手繰って、一目散に走ってやった!    今でこそケチな泥棒だが、昔は陸上やってたからな。誰も捕まえられやしない。    でもよ、驚いたのはそっからだ。    なんとオッサン、すげぇ形相で追いかけてきやがる!    死に物狂いってのはああいうのだって理解したね。    何せオッサン、本気で走ってる俺に追いつきやがったんだから!」 オ01「(息を乱して)お、おい、返せ! それは大切な物なんだ!    金か、金がいるのか? 金なら払う、いくらだ!?    いくらでも払うから、それを返してくれーッ!!」 男02「うおっ……腕を掴むんじゃねぇよボケッ!!」 SE:打撃 オ02「ぐぶっ! う、うぅ……い、痛い、血が出てる……歯が折れた……。    酷い奴だ、なんて酷い奴なんだ……。    でもいい、許す。何をしても許そう。    だからそれを、大切なんだ、返してくれ」 男03「お、おお……」 男04「なんつーか不気味だったね。    思いっきり顔面殴ってやったんだぜ?    歯も折れて、口からだらだら血を流してるのに、許すってなんだよ。    もうカバン返せとか言ってる場合じゃないだろ、どう考えても。    だが、そこで俺は確信した!    オッサンがそんな風になるぐらい、カバンの中身には価値があるってな!」 男05「あー、あのな、オッサンよぅ。    このカバン、俺のなんだ。分かるだろ?    あんたのカバンだって言うなら、証拠を出してくれ」 オ03「証拠……? 何を……何を言ってるんだ、君は……」 男06「いや! オッサンの気持ちはよく分かる!    カバンを盗られたんだろ? 酷い奴がいるもんだよな、許せねえ!    だけどこのカバンは俺の物なんだ。    似てるカバンとか、よくあるよな。そういうのだ。    オッサンには同情するが、人のカバンを自分の物にするのはいけねぇな」 オ04「あ、ああ……君は、言うのか……?    そのカバンが……中身が、自分の物だと……言うのか」 男07「ああ、そうだとも! このカバンも、中身も! 全部俺の物だ!!    何か文句あるか!?」 オ05「いや、ない……ないよ、ちっともない……。    そうかそうか……そうだったな、それは君のカバンだった……。    カバンも、中身も。何もかも君の物だったね……」 男08「ぶつぶつと呟いて、オッサンはふら付きながら引き返して行く。    さすがに取り返すのは無理だって、やっと理解したみてぇだな。    俺は勝ち誇ったように笑い、カバンに目を落とした。    どんなお宝が入ってるのか、早いとこ確かめてみなくちゃな!」 男09「さーて、何が出るかな、っと。    …………ひっ、あああああああああああああああああ!?」 間 男10「で、俺は今日もタクシー乗り場に立ってるわけさ。    あのオッサンと同じように、このカバンの新しい持ち主を見つけるためにな。    あ? カバンの中身は、結局何かって?    教えてもいいんだが――あんた、ハンバーグが食えなくなる覚悟はあるかい?」 終わり  

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