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ルノアール、或いはオフィーリアの微笑み」(2010/10/17 (日) 22:47:32) の最新版変更点

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作者:Elika 篠田01「清海先生は、まるで絵画のような人でした」 望月01「あら、篠田さん?早いわね」 篠田02「あ……お、おはようございます清海先生」 望月02「ふぅん……今日は模写?」 篠田03「は、はい……レヴィの、オフィーリアを」 望月03「悲劇のヒロインね。いい題材だわ」 篠田04「でも、なかなかうまくいかなくて……」 望月04「そうね……ここ」 篠田05「そういって清海先生は、木炭を持った私の手をとってカンバスに走らせた」 篠田06「あっ……」 望月05「ここのラインを、こうして……ほら、わかるかしら?」 篠田07「は…………はい……」 望月06「ふふ、どうしたの?顔が赤いわよ?熱でもあるの?」 篠田08「いえっ!その……な、なんでも……ない、です……」 望月07「そう……それは、恋する乙女の瞳ね」 篠田09「ん……っふ…………っ?!」 篠田10「清海先生の、まっすぐで、サラサラで、長い髪のにおいがした」 望月08「……もうすぐ、予鈴がなるわね。続きは──放課後に、ね」 篠田11「続き……続きって、なんだろう。なんの続きなんだろう」 篠田12「頭の中で、ぐるぐると考えがまわる」 篠田13「気がついたら──約束の、放課後になっていた」 望月09「篠田さん……いい子ね」 篠田14「あっ……あの……清海、先生……」 望月10「篠田さんは、レヴィが好きなの?」 篠田15「いえ、その……つい最近まで、知りませんでした」 望月11「じゃあ、どうしてこのオフィーリアを?」 篠田16「先月、美術部の活動で、市営美術館に行ったときに見かけて……」 望月12「そういえばあの時、オフィーリアの前にずっといたわね……」 篠田17「その……あの……せっ……先生に、似てるな、って……思って……」 望月13「オフィーリアが?私に?」 篠田18「は……はい……」 望月14「そう……ふふ、こんなに美人じゃないわよ、私」 篠田19「そんなことないです!!清海先生は……清海先生は、私の、憧れです」 望月15「ふぅん……ねぇ、篠田さん。ちょっと、そこに腰掛けてみてくれない?」 篠田20「え……?今、ですか?」 望月16「ええ。横を向いて……そう、顔だけこちらに……もうちょっと、ええ、そのくらいでいいわ」 篠田21「清海先生は、カンバスをイーゼルに立てかけて、木炭を走らせた」 望月17「あなたはね……ルノアールの、イレーヌ嬢に似ているわ」 篠田22「木炭がこすれる軽い音の中、清海先生はゆっくりと語りだした」 望月18「ルノアールはね……少女を描かせたら天才なの」 望月19「熟しきらない、無垢な輝きを──カンバスに、映し出す天才よ」 望月20「ルノアールが好んで少女を描いた気持ちが、私にはよく分かるわ……」 望月21「だって──こんなに美しいんだもの」 篠田23「清海先生が、イーゼルごとカンバスを私に向けた」 望月22「あなたよ、篠田さん……ふふ、きれいでしょう?」 篠田24「ぁ…………これが、私……」 望月23「そうよ。イレーヌ嬢なんかよりももっと、ずっと……魅力的よ、篠田さん」 篠田25「清海……先生ぇ……」 望月24「この髪も……頬も。首筋も、腰も。あなたのすべてをカンバスに映したわ」 篠田26「あぁっ…………先生、先生っ……」 望月25「ねぇ、篠田さん……この絵のあなたは私のものだけれど……今、私の腕に抱かれているあなたは、誰のものかしらね?」 篠田27「わ……私は……」 望月26「私のものになりなさい。身も心も、すべて。どんな美術品よりも、あなたをかわいがってあげるから」 篠田28「はい……清海、先生……」 篠田29「清海先生は、まるで絵画のように微笑みました」 篠田30「私は……その微笑の甘い鎖に、喜んでつながれるのでした」  
作者:Elika 篠田01「清海先生は、まるで絵画のような人でした」 望月01「あら、篠田さん?早いわね」 篠田02「あ……お、おはようございます清海先生」 望月02「ふぅん……今日は模写?」 篠田03「は、はい……レヴィの、オフィーリアを」 望月03「悲劇のヒロインね。いい題材だわ」 篠田04「でも、なかなかうまくいかなくて……」 望月04「そうね……ここ」 篠田05「そういって清海先生は、木炭を持った私の手をとってカンバスに走らせた」 篠田06「あっ……」 望月05「ここのラインを、こうして……ほら、わかるかしら?」 篠田07「は…………はい……」 望月06「ふふ、どうしたの?顔が赤いわよ?熱でもあるの?」 篠田08「いえっ!その……な、なんでも……ない、です……」 望月07「そう……それは、恋する乙女の瞳ね」 篠田09「ん……っふ…………っ?!」 篠田10「清海先生の、まっすぐで、サラサラで、長い髪のにおいがした」 望月08「……もうすぐ、予鈴がなるわね。続きは──放課後に、ね」 篠田11「続き……続きって、なんだろう。なんの続きなんだろう」 篠田12「頭の中で、ぐるぐると考えがまわる」 篠田13「気がついたら──約束の、放課後になっていた」 望月09「篠田さん……いい子ね」 篠田14「あっ……あの……清海、先生……」 望月10「篠田さんは、レヴィが好きなの?」 篠田15「いえ、その……つい最近まで、知りませんでした」 望月11「じゃあ、どうしてこのオフィーリアを?」 篠田16「先月、美術部の活動で、市営美術館に行ったときに見かけて……」 望月12「そういえばあの時、オフィーリアの前にずっといたわね……」 篠田17「その……あの……せっ……先生に、似てるな、って……思って……」 望月13「オフィーリアが?私に?」 篠田18「は……はい……」 望月14「そう……ふふ、こんなに美人じゃないわよ、私」 篠田19「そんなことないです!!清海先生は……清海先生は、私の、憧れです」 望月15「ふぅん……ねぇ、篠田さん。ちょっと、そこに腰掛けてみてくれない?」 篠田20「え……?今、ですか?」 望月16「ええ。横を向いて……そう、顔だけこちらに……もうちょっと、ええ、そのくらいでいいわ」 篠田21「清海先生は、カンバスをイーゼルに立てかけて、木炭を走らせた」 望月17「あなたはね……ルノアールの、イレーヌ嬢に似ているわ」 篠田22「木炭がこすれる軽い音の中、清海先生はゆっくりと語りだした」 望月18「ルノアールはね……少女を描かせたら天才なの」 望月19「熟しきらない、無垢な輝きを──カンバスに、映し出す天才よ」 望月20「ルノアールが好んで少女を描いた気持ちが、私にはよく分かるわ……」 望月21「だって──こんなに美しいんだもの」 篠田23「清海先生が、イーゼルごとカンバスを私に向けた」 望月22「あなたよ、篠田さん……ふふ、きれいでしょう?」 篠田24「ぁ…………これが、私……」 望月23「そうよ。イレーヌ嬢なんかよりももっと、ずっと……魅力的よ、篠田さん」 篠田25「清海……先生ぇ……」 望月24「この髪も……頬も。首筋も、腰も。あなたのすべてをカンバスに映したわ」 篠田26「あぁっ…………先生、先生っ……」 望月25「ねぇ、篠田さん……この絵のあなたは私のものだけれど……今、私の腕に抱かれているあなたは、誰のものかしらね?」 篠田27「わ……私は……」 望月26「私のものになりなさい。身も心も、すべて。どんな美術品よりも、あなたをかわいがってあげるから」 篠田28「はい……清海、先生……」 篠田29「清海先生は、まるで絵画のように微笑みました」 篠田30「私は……その微笑の甘い鎖に、喜んでつながれるのでした」  

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