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こいするかりんとう(ひらがなver.)」(2011/03/09 (水) 22:21:14) の最新版変更点

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『こいするかりんとう』(ひらがなver.)  みどりちゃんのおばあちゃんのうちには いつもかかさず おいしい おかしがあります。  なので、きんじょのこどもたちが まいにち あそびにきます。やさしいおばあちゃんは み んなに おかしをふるまうのですが、いつもきまって かりんとうだけが、だれにもたべられず に のこってしまいます。 「みんな もったいないわねえ。みためは そっけないけれど、かりんとうだって、とってもあ まくて おいしいのよ」  みんなが かえったあと、おばあちゃんは ぽりぽりと かりんとうをかじりながら、そう  つぶやきます。  なつやすみの あるひ、とおくのまちから みどりちゃんが あそびにきました。  みどりちゃんは、てーぶるのうえに おいてある かりんとうをみつけて、ふしぎそうなこえ で おばあちゃんに ききます。 「おばあちゃん、これはなに?くろくて、くにゃくにゃで、へんなかたち」 「これはね、かりんとうっていうのよ。あまくて おいしいから、ひとつたべてごらんなさい」  みどりちゃんは、かりんとうをみて おばあちゃんをみて、それからそっと かりんとうを  ひとつつまんで、ぱくり。とたんに みどりちゃんのひとみが、きらきら かがやきます。 「おいしい!あまくて、かりかりしてて、とってもおいしい!おばあちゃん、みどりね、かりん とうが だいすき!」  ひとつ、ふたつ、みっつ。みどりちゃんはむちゅうになって、かりんとうを たべます。  それはそれはおいしそうに、にこにこして たべます。  そのことに だれよりもおどろいたのは、かりんとうです。 「いままで、みんな ぼくを たべてくれなかったのに、このこは なんて おいしそうにたべ てくれるんだろう」  そして、だれよりもうれしかったのも、やっぱり かりんとうです。 「とってもおいしそうな、すてきな えがおだなあ。もし ぼくがにんげんになって、このこと いっしょにあそべたなら、それは きっと すごくたのしいだろうなあ」  そうです。みどりちゃんが かりんとうを だいすきになったように、かりんとうもまた、み どりちゃんのことを だいすきになったのです。  そのひから、かりんとうは にんげんになるために がんばりました。  かりんとうに てはないけれど、みどりちゃんと てをつなぎたいから、いっしょけんめいに てをのばしました。  かりんとうに あしはないけれど、みどりちゃんと のはらを かけまわりたいから、いっ しょけんめいに あしをのばしました。  たくさん、たくさん じかんをかけて、かりんとうは がんばりました。  あるひ、かりんとうは、ちいさな てんとうむしになりました。  にんげんには まだまだ とおいけれど、てとあしをてにいれて、かりんとうは よろこびま した。  あるひ、かりんとうは、おおきな つのの かぶとむしになりました。  からだも すこし おおきくなって、かりんとうは よろこびました。  たくさん、たくさん じかんをかけて、かりんとうは すこしずつ にんげんにちかづいてい きます。  かりんとうが、みどりいろの かえるになったころ、みどりちゃんのおばあちゃんが たお れました。  しょうがくせいになった みどりちゃんが、おおきなこえで ないていました。  かえるになった かりんとうは、 「ぼくが いますぐ にんげんになって、みどりちゃんの なみだを ふいてあげられたらいい のに」 そう おもいました。  かりんとうが、しっぽの ながい ねずみになったころ、みどりちゃんの となりには、いつ も おなじおとこのこが たっているようになりました。  ねずみになった かりんとうは どうしてか むしゃくしゃして、おとこのこに かみついて やりたいきもちに なりました。けれど、みどりちゃんの しあわせそうな かおをみると、ど うしても そんなことはできませんでした。  かりんとうが、そらをとぶ ことりに なったころ、みどりちゃんは おかあさんに なって いました。  みどりちゃんは やさしいこえで、こどもに はなしかけます。 「これはね、かりんとうって いうのよ。あまくて、おいしくて、おかあさんの だいこうぶつ なのよ」  それは まるでちいさいころの みどりちゃんと、みどりちゃんのおばあちゃんを みている ようでした。  ことりになった かりんとうは なつかしい きもちになって、みどりちゃんのおばあちゃん のために きれいなうたを うたいました。  かりんとうが、かわいい こいぬになったころ、みどりちゃんは しわしわのおばあちゃんに なっていました。  みどりちゃんは こどもたちにかこまれて、しあわせそうな えがおで、ゆっくりと めを  とじました。  まくらもとには、みどりちゃんが だいすきだった かりんとう。だけど、もう みどりちゃ んは それをたべることができません。  こいぬになった かりんとうは、にわから それをながめて「わぉん」とひとこえ なきまし た。  かりんとうは それから どうしたでしょうか。  みどりちゃんは いなくなったけれど、やっぱり にんげんに なったのでしょうか?  みどりちゃんのように、たくさんあそび、おおきくなって、だれかを すきになって、おとう さんになり、おじいちゃんになり、しあわせに くらしているのかもしれませんね。  それとも、またかりんとうに もどったのでしょうか?  くろくて、くにゃくにゃで、だけど たべると あまくて とってもおいしい、すてきな お かしは、きょうも みんなを にっこりえがおにしているのかもしれませんね。  かりんとうの ながい ながい おはなしは、これでおしまい。  おはなしのつづきは きっといつか、みんなの ゆめのなかで おはなししましょう。
『こいするかりんとう』(ひらがなver.)  みどりちゃんのおばあちゃんのうちには いつもかかさず おいしい おかしがあります。  なので、きんじょのこどもたちが まいにち あそびにきます。やさしいおばあちゃんは み んなに おかしをふるまうのですが、いつもきまって かりんとうだけが、だれにもたべられず に のこってしまいます。 「みんな もったいないわねえ。みためは そっけないけれど、かりんとうだって、とってもあ まくて おいしいのよ」  みんなが かえったあと、おばあちゃんは ぽりぽりと かりんとうをかじりながら、そう  つぶやきます。  なつやすみの あるひ、とおくのまちから みどりちゃんが あそびにきました。  みどりちゃんは、てーぶるのうえに おいてある かりんとうをみつけて、ふしぎそうなこえ で おばあちゃんに ききます。 「おばあちゃん、これはなに?くろくて、くにゃくにゃで、へんなかたち」 「これはね、かりんとうっていうのよ。あまくて おいしいから、ひとつたべてごらんなさい」  みどりちゃんは、かりんとうをみて おばあちゃんをみて、それからそっと かりんとうを  ひとつつまんで、ぱくり。とたんに みどりちゃんのひとみが、きらきら かがやきます。 「おいしい!あまくて、かりかりしてて、とってもおいしい!おばあちゃん、みどりね、かりん とうが だいすき!」  ひとつ、ふたつ、みっつ。みどりちゃんはむちゅうになって、かりんとうを たべます。  それはそれはおいしそうに、にこにこして たべます。  そのことに だれよりもおどろいたのは、かりんとうです。 「いままで、みんな ぼくを たべてくれなかったのに、このこは なんて おいしそうにたべ てくれるんだろう」  そして、だれよりもうれしかったのも、やっぱり かりんとうです。 「とってもおいしそうな、すてきな えがおだなあ。もし ぼくがにんげんになって、このこと いっしょにあそべたなら、それは きっと すごくたのしいだろうなあ」  そうです。みどりちゃんが かりんとうを だいすきになったように、かりんとうもまた、み どりちゃんのことを だいすきになったのです。  そのひから、かりんとうは にんげんになるために がんばりました。  かりんとうに てはないけれど、みどりちゃんと てをつなぎたいから、いっしょけんめいに てをのばしました。  かりんとうに あしはないけれど、みどりちゃんと のはらを かけまわりたいから、いっ しょけんめいに あしをのばしました。  たくさん、たくさん じかんをかけて、かりんとうは がんばりました。  あるひ、かりんとうは、ちいさな てんとうむしになりました。  にんげんには まだまだ とおいけれど、てとあしをてにいれて、かりんとうは よろこびま した。  あるひ、かりんとうは、おおきな つのの かぶとむしになりました。  からだも すこし おおきくなって、かりんとうは よろこびました。  たくさん、たくさん じかんをかけて、かりんとうは すこしずつ にんげんにちかづいてい きます。  かりんとうが、みどりいろの かえるになったころ、みどりちゃんのおばあちゃんが たお れました。  しょうがくせいになった みどりちゃんが、おおきなこえで ないていました。  かえるになった かりんとうは、 「ぼくが いますぐ にんげんになって、みどりちゃんの なみだを ふいてあげられたらいい のに」 そう おもいました。  かりんとうが、しっぽの ながい ねずみになったころ、みどりちゃんの となりには、いつ も おなじおとこのこが たっているようになりました。  ねずみになった かりんとうは どうしてか むしゃくしゃして、おとこのこに かみついて やりたいきもちに なりました。けれど、みどりちゃんの しあわせそうな かおをみると、ど うしても そんなことはできませんでした。  かりんとうが、そらをとぶ ことりに なったころ、みどりちゃんは おかあさんに なって いました。  みどりちゃんは やさしいこえで、こどもに はなしかけます。 「これはね、かりんとうって いうのよ。あまくて、おいしくて、おかあさんの だいこうぶつ なのよ」  それは まるでちいさいころの みどりちゃんと、みどりちゃんのおばあちゃんを みている ようでした。  ことりになった かりんとうは なつかしい きもちになって、みどりちゃんのおばあちゃん のために きれいなうたを うたいました。  かりんとうが、かわいい こいぬになったころ、みどりちゃんは しわしわのおばあちゃんに なっていました。  みどりちゃんは こどもたちにかこまれて、しあわせそうな えがおで、ゆっくりと めを  とじました。  まくらもとには、みどりちゃんが だいすきだった かりんとう。だけど、もう みどりちゃ んは それをたべることができません。  こいぬになった かりんとうは、にわから それをながめて「わぉん」とひとこえ なきまし た。  かりんとうは それから どうしたでしょうか。  みどりちゃんは いなくなったけれど、やっぱり にんげんに なったのでしょうか?  みどりちゃんのように、たくさんあそび、おおきくなって、だれかを すきになって、おとう さんになり、おじいちゃんになり、しあわせに くらしているのかもしれませんね。  それとも、またかりんとうに もどったのでしょうか?  くろくて、くにゃくにゃで、だけど たべると あまくて とってもおいしい、すてきな お かしは、きょうも みんなを にっこりえがおにしているのかもしれませんね。  かりんとうの ながい ながい おはなしは、これでおしまい。  おはなしのつづきは きっといつか、みんなの ゆめのなかで おはなししましょう。 #expand(540){{{}}}

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