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空襲詩 怒りと祈り 重慶、東京、ガザ…400編を一冊に
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pipopipo777
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空襲詩 怒りと祈り 重慶、東京、ガザ…400編を一冊に
2009年3月3日 夕刊
「完成度の高い作品が集まった」と語る鈴木比佐雄さん=東京都板橋区で
太平洋戦争末期の東京大空襲をはじめ、空襲の悲劇を題材にした詩を集めた『大空襲三一〇人詩集』(コールサック社)が、十日に刊行される。空襲詩の代表作を残した宗左近から戦争を知らない二十代の作品まで、平和への祈りに満ちた詩集だ。 (石井敬)
<放たれたから燃えるほかなかった火の歎(なげ)き/殺しつくし焼きつくしていのちはかけらもない/残ったのは白い街の区画だけ/区画は上野まで続いた>=宮静枝「火の歎き」より
詩集は東京大空襲があった三月十日に合わせ、国内外延べ三百十人の詩約四百編を載せた。空襲詩だけの詩集は例がないという。
東京大空襲の詩が五十編以上と最も多い。空襲を受けた全国約百八十カ所のうち半分をカバーし、地域別にまとめた。
三年前に亡くなった宗左近さんの「炎(も)える母」など過去の名詩のほか、新たに五十人近くの詩人から作品を募った。都内の二十七歳の女性は、地元のお年寄りに話を聞いて作品を書き上げた。
海外の空襲も取り上げ、二十世紀の空襲の歴史が分かる構成にもなっている。重慶爆撃を描いた中国の詩人の作品は、日本の加害者としての側面を浮き彫りにする。イスラエルによるパレスチナ自治区ガザへの空爆の詩もある。
編集したのは、詩集出版のコールサック社(東京都板橋区)を経営する鈴木比佐雄さん(54)ら四人の詩人。同社は一昨年、『原爆詩一八一人集』を出し、イーハトーブ賞奨励賞(岩手県花巻市主催)を受賞した。このときから「次は空襲詩集を」と構想を練った。
鈴木さんは荒川区出身。大空襲で一帯が焼け野原になった情景を祖父母らから聞かされて育った。「詩人たちが空襲の悲劇を伝えようとする粋を集めた。空襲の悲劇はもう終わりにしたいという強い思いを込めてつくった。できれば英訳して世界に発信したい」と鈴木さんは話している。
詩集は二千百円。問い合わせはコールサック社=電03(5944)3258=へ。