ハルヒと親父 @ wiki

二人は暮らし始めました 2日目

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haruhioyaji

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「夢、見たわ」
「そうか。今日のは、あんまり大変そうでなくてよかったな」
「夢というより、想起ね。昔あった出来事を思い出したのよ」
「そうか」
「キョン、あんた、修学旅行で2日目に泊まった旅館、覚えてる?」
「あー、はっきり覚えてないが、廊下でおまえに会ったよな、確か」
「そう。消灯時間後にね」
「部屋を出るとき、なんか冷やかされた気がするな、そういえば」
「あんた、あんな時間に何してたのよ?」
「いや、単にのどが乾いて、飲み物を買いにだな。……おまえの分も、ちゃんと買っただろ?」
「余計なことだけ覚えてるのね。あんた、あたしとどこで会ったか覚えてない?」
「だから、廊下だろ」
「生徒は泊まってない階のね」
「生徒には買い食いさせたくない教師の親心だ。どこの修学旅行もそんなもんだろ」
「確かに生徒が泊まっている階には、自動販売機はひとつも無かったわね。あっても電源が抜かれてたわ」
「よく覚えてるな」
「というか、忘れられないことがあってね」
「なんだよ?」
「本当に覚えてないようね。『明るい家族計画』って知ってる?」
「避妊具の自動販売機だよな。……あ」
「そう。どういう訳か、その階のその廊下にだけあったのよね」
「……思い出した」
「みたいね」
「その自販機の前で鉢合わせしたな」
「鉢合わせ、ね」
「おまえのセリフは確かこうだ。『あんた、こんな時間にこんなとこで何してるのよ!』。でかい声だったな」
「否定はしないわ」
「問題はその後だ。『あんた、まさか忘れてきたの?』。おまえの声に部屋から飛び出してきた教師が固まってたぞ」
「ちがうわよ。『すまん、忘れてた』って、あんたがいきなり謝ったの。それで教師は石になったのよ。あれ、どういう意味だったの? 未だに分かんないわ」
「いや、それは、なんだ……なんだろうな?」
「その自販機のところに正座させた教師のセンスもわかんないけどね」
「ところでハルヒ」
「何よ?」
「おまえこそ、あんな時間に何してたんだ?」
「お、大きなお世話よ!」









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