ハルヒと親父 @ wiki

涼宮家の一族(前編)

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haruhioyaji

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(16年前)

「まだいるのか、あいつは?」
「もう丸二日になります。口に何も入れないで、ずっと立ったまま眠りもしないで」
「どこへ行く?」
「どこって、せめて何かお飲みにならないと」
「私が行く」
「あなた?」
「あいつに、お前と会う資格は無い」
「資格なんて。……あなたの弟さんじゃありませんか」
「あいつはもう涼宮家とは何の関係も無い人間だ。……なにより私が、お前たちを会わせたくない」

「なにしに来た?」
「報告が3つある。日本に帰ってきた」
「見ればわかる」
「結婚した。もうすぐ子供が生まれる。以上だ」
「あいつに、……清(きよ)に、会って行かないのか?」
「どの面下げて、というところだな。今のを伝えてくれれば十分だ」


1:

 「ハルヒ、1週間ほど留守にするが、キョンとあんまりハメはずすなよ。気分良く帰って来れたら、ホテル代くらい出してやろうって心持ちになってるかもしれん。青カンは延期しとけ」
「誰がするか! なに、どこへ行くの?」
「田舎だ。勘当された俺の実家。今の当主が、俺の兄貴だが、死んだそうだ」
「え?」
「どうでもいい家だが、ひとつだけ守らなくちゃならんものが、あそこにもあってな、ちょっと行ってくる」
「母さんも?」
「及ばずながら、ね。彼女は、私とハルヒにとっても恩人だもの」
「というわけで、行ってくる。余計なことだが、キョンには電話を入れといた」
「あのね! ったく、余計なことを」
「少しぐらいのプレッシャーをかけたら、どう動くだろうと思ってな」
「試すな」
「じゃな。また連絡入れる」
「はいはい。いってらっしゃい」


「あー、ハルヒか? 俺だ。いま親父さんから変な電話があったんだが」
「変なのはいつもでしょ。で、何て?」
「親類の葬儀で1週間ほど家を空けるから、泊まりにきてくれって」
「それの、どこが変なのよ?」
「いや、普通なんだが、父親が彼氏にかける電話じゃないぞ」
「なによ、嫌なの?」
「嫌とかそういう話じゃない」
「うちの親父は普通じゃないの。知ってるでしょ?」
「じゃあ俺の気にし過ぎか? いつもなら、同じ内容でも、どこかふざけてるというか、からかってる感じがあるんだが。今日のは、ただ頼んでる風だった。何か、あったのか?」
「親父が勘当された家に行く以外は、普通のお葬式よ」
「よくわからんが、遺産だとか、何か揉めそうな話なのか?」
「古い家らしいし、親戚の方も多いそうだから、いろいろあるかもしれないわね。何も言ってなかったけれど。また連絡があるみたいだから聞いてみるわ」


 「結局、ハルには、あまり話さずに出てきましたね」
「うーん。所詮は遺産に目がくらんで欲ボケした大人たちの、ドロドロでグログロな争いだしな。ハイキックでけりがつくもんじゃなし、まっすぐ育って欲しい娘にはあんまり見せたくない」
「それもあるけれど」
「わかってる。清(きよ)のことだろ? 親父にもトラウマのひとつやふたつあることを教えた方がいい年頃か?」
「トラウマなんですか?」
「兄貴より俺の方がもてると思ってた。自信を打ち砕かれた。傷心旅行の最中に、母さんに出会ったんだ」
「その旅行の間にドイツの大学に行ったり、世界中ヒッチハイクしたり、アフリカの小国でバスの運転手したり切手になりかけたり、ウィーンで銀行に勤めたりしてたの?」
「うん」
「私が初恋の相手じゃなかったんですか?」
「実ったうちじゃ、はじめてだ」
「清さんに、嫉妬してしまいますね」
「おいおい、母さん」
「確かにハルに聞かせられないわね」
「おいおい、母さん」


「あたしとしたことがうかつだったわ。キョンに言われるまで、気づかないなんて」
「おい、ハルヒ、アイス買ってきたぞ」
「親父が言った『守らなくちゃならんもの』と、母さんが言った『彼女』は、会話の流れから言ってイコールと考えて間違いないわ」
「食わないのか?」
「親父が『守りたい女』って誰?」
「溶けるから、先に食っちまうぞ!」
「ああああ、思考の邪魔をするな! それと先食い禁止! 分かち合うもんでしょ、そういうものは!」
「いや、そこまで真剣な食べ物でも深刻な状況でもないと思うぞ」
「……じゃあ、あんたがかじった、そっちをよこしなさい」
「は?」
「人が食べてると、食べたくなるのよ!」
「そういうもんか。(パキッ)ほら、『ぶっこぶっこ』だ」
「なんでわざわざ折るのよ! それと何、『ぶっこぶっこ』って?」
「『半分っこにする』のをそういうらしい。語感がかわいいからか、妹のクラスでプチ・ブームだそうだ。今、うちじゃ、なんでも『ぶっこぶっこ』でめんどくさいんだが」
「じゃあ、それを採用しましょう。『ジャイアニズム』より、よっぽどいいわ」
「たしかにおまえは俺と同じくらい食うからな。何故太らんのか、不思議だ」
「ぼーっとしてるあんたとは、活動量も違えば、基礎代謝量からして違うのよ!」
「そういや、おまえ、ヒヨコみたいに温かいな」
「へえ、それが人を『抱き枕』にする言い訳ってわけ?」
「その言葉、そのまま返すぞ。まあ、男子の方が筋肉量が多くて、体温も高いものらしいが」
「それは勝負と受け取っていいわね、キョン!」
「かまわんが、溶ける前に、まずアイスを食え」
「あ」
「お前は子供か。手、べたべたにして」


「お役所はこれでおしまいですか?」
「あとは向こうへ行ってから村役場だ。だれが相続人かを示すのに戸籍が要る。相続人の戸籍謄本と被相続人の除籍簿の写しに住民票の除票か。まあ、そんな感じだ。相続放棄といっても、家庭裁判所の世話になるようなケースじゃないからな。法定相続人は今のところ、清と俺だけだし、遺産分割協議書つくって、二人の実印があれば片がつく。そうすると叔父貴連中には一銭も入らんからな。配偶者がいなけりゃ話が変わってくるから、バカな叔父貴たちがバカなことを考えなきゃいいんだが」
「そんな人たちなの?」
「もう、ものすごいバカだ。しかも兄貴は俺と違って、そういう連中にも容赦ないからな。恨みと金銭欲が揃ってる。安手のミステリーなら、どんぶり一杯の死体が生まれそうだ」
「清さん、大丈夫なの?」
「涼宮の家にもな、何十年も仕えてて、信用できる人間が何人かいる。俺に連絡をよこした奴もそうだが。逆に、勘当された俺を呼ぶくらいには、やばい事態なのかもな」
「じゃあ、まっすぐ涼宮の家にいくの?」
「ああ、あと一軒、隣村だが寺に寄って行く。預けてあるものを取りに行きたい。もっと歳とってから行く予定だったが、兄貴め、想定外の早死にだぞ」


2:

 「この寺なんだが」
「見かけん顔だ。だが見覚えがある」
「まだ生きていやがったのか。俺がガキの頃からジジイのくせに」
「あの時はまだ40代だったぞ。当主が死んだらしいな」
「経を読みに来るか?」
「当たり前だ。この寺は涼宮の菩提寺だ」
「その時、ついでに持ってきてもらってもよかったんだがな。そうもいかんと思い直して、やってきた。預けてあるアレだ」
「そろそろ来るだろうと思って用意してある。こっちへ来い」
「ああ。じゃあ、ちょっと行ってくる」
「ええ。ここで待ってます」
「母さん、気付いてるだろうが、気をつけろ」
「ええ。ここでは仕掛けてこないでしょうけど」


「あ!」
「ZZZ……」
「こうしてるばあいじゃないわ!」
「……んん、ハルヒ、もう食えん」
「ねぼけてる」
「う!」
「うにうに」
「なれひっぱら(なぜ引っ張る)?」
「て、照れ隠しよ」
「言ったら、隠したことにならんぞ」
「うるさい! あんたとバカなことしてたから、すっかり忘れてたわ」
「だから『抱き枕勝負』なんて意味がないと言ったんだ。先に眠った方は意識がないんだから、負けを認めんだろ」
「だから、そんなことはどうだっていいのよ!」


「なんだ、勘当された者が何故こんなところにいる?」
「相変わらず口の聞き方を知らないジジイどもだ。法定相続人が、相続放棄の書類と印鑑証明をわざわざ持ってきてやったんだぞ」
「そんなもの郵便で送ればよかろう」
「それで済むなら、こんな田舎まで来るもんか」
「あのとき推してやった恩も忘れおって」
「直情型で御しやすいと思ったんだろ。そんなおめでたい考えだからしくじる。人の心をどうにかできるとでも思ってたのか? リモコン付きヒーローなんて、おれが子供の頃には、とっくに終わってたぞ」
「大人しくしておることだな。邪魔立てすると手荒な真似も辞さんぞ。……女房など見せびらかしに連れて来よって」
「いい女だろ。だが、そんなのは脅迫にもならん。ついでに教えてやるが、あいつは俺より強いぞ。いや、尻に敷かれてるとかそういうことじゃなくて、武人としてだな」

「お父さん、この人たち、ご親戚の方? いきなり飛びかかってこられたんで、《処理》してしまったんですけど」
「ああ、誰かが金で雇った、にわか甥っ子か即席ドラ息子だろう。車を買ってくれとしつこくせがまれて、しつけに手を焼いてたらしいから、礼を言われてもいいくらいだ。……どれ、おれも尋問してみよう」
「あらあら」
「そのなりだと、田舎大学の柔道部の補欠か何かか? どこの世界でも共通のルールってもんがある。人の金や女に手を出したら、それなりの報いを受けなくちゃならない。ちなみに今の女性は俺より強いから、おまえら、何をされたか、まるで分かってないだろう。やられたことすら気付いてないんじゃないか? だから俺がお前らにもよおくわかるように、特別ゆっくりと殴ってやる。物理的破壊力は変わらんが、今来るか今来るかと思ったパンチは、より痛くて怖い。注射も打たれる痛みよりは、待っている間の恐怖の方がつらいだろ。あれと同じ理屈だ。さあ、行ってみよう。 ……って、おい?」
「さすがね、お父さん。言葉だけで気絶させるなんて。拷問の才能まであるのね」
「あれ? おかしいな。セリフをまちがえたか?」
「いいえ。ただお父さん、今おなかの底から怒っているでしょ?」
「ああ、そうか」
「はやく彼女に会いたいわ」
「あそこに暇そうな伯父貴たちがいる。案内させよう。おーい、というわけだ、隠すとためにならんぞ」


 「あー、もう!! 携帯の電波が届かないって、どういうこと? あんたの田舎並み?」
「涼宮家の実家か。親父さんたち、もう着いてる頃か?」
「二人して、あれだけグーグー寝てたらね」
「失敗も『ぶっこぶっこ』なのか」
「当然よ」
「携帯じゃなくて、家の方にかけたらどうだ?」
「番号が分かるならね」
「これ、ハルヒの母さんの字だよな」
「キョン! すごいわ、お手柄よ。あんたが何か発見するって初めてじゃないかしら」
「(おまえみたいなのを見つけちまったんだ、発見の運は使い果たしたんだよ)」
「何か言った?」
「ごほごほ。いいから電話してみろ」
「うん」


「おう、婆や。相変わらず年寄りだな」
「あなた様が家を出る前は、まだ50代でした」
「清は、喪主はどこだ? うちのが礼を言いたいそうだ」
「奥様はおりませぬ」
「は? 葬儀があるだろうが」
「ハルヒさんに会いに行かれました」
「あちゃあ、そういう仕込みかよ。やられたよ、母さん、あっちが主役になりそうだ」
「そうでもないみたいよ」
「それから、旦那様から、あなた様を喪主に、との申しつけられております」
「おいおい」
「なお、これは遺言書にもありますこと、くれぐれも違えることありませんようにと、奥様からも申しつかっております」
「その遺言とやら、今、あるのか? ちょっと見せろ」
「どうしたの?」
「やれやれ。遺言の執行も俺だって? 憎まれ役ばかり押し付けやがって」
「お父さん、得意でしょ」
「今回、なにげにきついぞ、母さん」
「お電話がかかっておるそうです」
「俺にか?」
「多分、ハルですよ」

「ああ、親父? 聞きたいことがあって電話したわ」
「気ぜわしいが、葬儀が終わるまでは最低でもいなきゃならなくなってな。少々、時間ができた。で、何が聞きたい?」
「親父の女関係」
「絶望的に範囲が広いな。人類の半分は女だぞ。……聞きたいのは、清のことだろ?」
「誰?どういう人?」
「兄貴の嫁だ。あと母さんが退院するまで、赤ん坊のお前を世話をしたのもあいつだ」
「ふーん、そうなの」
「そういうことが聞きたいんじゃないらしいな」
「で、親父とどういう関係?」
「やれやれ。初恋の人、はじめての女(ひと)、元許嫁だ。勘当されて国外退去して、それっきり。で、兄貴の嫁さんになった。元々、涼宮家を継ぐ者と、という約束なんかがあったらしい」
「じゃあ、親父は、恋人を捨てて、ドイツに逃げたの?」
「俺は清に惚れていたが、清は兄貴に惚れていた。それに気付いて身を引いた、ってのが表向きなんだけどな。そうだな……お前の言うとおり、逃げ出したんだ。家とか許嫁とか義務みたいなもんから。18だ、青二才だが、責任は取れる年齢だ。言い訳にはならん」
「……」
「どうだ、電話で聞く話じゃないだろ? 事が終わったら全部話してやる。清にも会わせてやるから、直接聞いてもいいぞ。というか、もうそっちに向かってるのか」
「え、なに、どういうこと?」
「本来の喪主は、おまえに会いにそっちへ向かっているるそうだ。会ったら歓迎してやってくれ。それと、この電話を盗み聞きしてる奴がいるらしくってな、そっちじゃ聞こえないだろうが、ブチブチ音が入りやがる。そっちに主役が行ってるんだ、火の子が飛んでこないとも限らん。ひとりになるなよ。キョンでもいいが、できたらSOS団で固まってた方がいい。目は多い方がいいからな」
「大丈夫よ。誰にも指一本触れさせやしないわ!」
「お前は守られてるときよりも、何か守るものがあった方が強いからな。清と会ったら、連絡くれ」


3:

 「情けない。一人の女子に束になってかなわんのか」
「何か武術の心得のあるものかと」
「あたりまえじゃ。あいつがただの女をこの場に連れてくるものか。遺産関係の書類まで用意して来とるのじゃぞ」
「だが清が、ここを離れているのは好都合です。行き先もさっきの電話で」
「しかし、あいつめ、盗聴されているのを知って何故あそこまで話す?」
「しゃべりすぎるのは昔からではありませんか」
「とにかく二手に分けるぞ。清の方は、その道の者を雇え」


 「なるほど。今回の趣向はボディ・ガードですか」
「趣向じゃない、騒動だ」
「相手がどの程度の装備をしてくるかにも寄りますね。正直、銃火器など使われると、長門さんがなんとかしてくれるかもしれませんが、その場合、涼宮さんへの説明が難しいかと」
「そっちは先に手を打った方が良さそうだな。他にまずいものは何だ? なんとかガスとか、その手の類か?」
「長門さんには、銃刀法その他の関連法令をスキャンしていただいて、片っ端から無効化してもらいましょう。肉弾戦だけに勝負を限定できるように」
「長門、できるか」
「可能。範囲は?」
「俺達を中心に半径2キロでも5キロでもいい。どうせこの国じゃ使えないことになってるんだ」
「実行する」
「プロの殺し屋とかだと、素手でも強いんだろうな」
「でしょうね。その場合は、対等に戦えるよう、長門さんに我々の攻撃力と防御力をブースとしてもらいましょう」
「……たしかに趣向みたいになってきたな」
「なんとかなるでしょう。我々には『できれば使いたくはない奥の手』がたくさんありますから。それに」
「なんだ?」
「大事なものを守るのに、涼宮さんほど強い人はおそらくいませんよ」

「ちょっと、キョン。いつまで古泉君と話してんのよ」
「ん、ああ、すまん。車の手配とか、いろいろな」
「車って?」
「念のためだが、装甲板と防弾ガラス付きの黒塗りベンツだ。移動用にな」
「古泉君ってヤクザにも便利な親戚がいるの?」
「らしいな。あと海賊とかな。詳しくは、怖いから聞いてない」
「それより、キョン。駅前に迎えにいくわよ!」
「迎えにって、その清さんって人の顔、分かるのか?」
「覚えてないわ」
「2歳までじゃなあ」
「違うの。いま、みくるちゃんと話してたんだけど、来る途中に、この家への行き方を聞かれたんだって。着物来た、女の人に。今、ふたりで近くの喫茶店で待ってもらってるわ」
「間違いないのか? 人違いなら、行き違う可能性があるし、敵方の人間だと、ますますややこしいぞ」
「そういう場合は、確かめればいいのよ。……あ、みくるちゃん? さっきの女の人と話したいんだけど。うん、お願い……もしもし、涼宮ハルヒと言います」
「ハルヒさん? おひさしぶりですね」
「き、清さん?」
「はい。ごぶさたしております」
「あ、いや、こちらこそ。と、とにかく会えてうれしいわ。今から迎えに行くから。大丈夫、あなたは、あたしたちが絶対に守るわ!」


「ハル、清さんに会えた?」
「うん、いまみんなと一緒に家にいるわ」
「お父さんがかわってくれって」
「清さん、親父が話したいって言ってるんだけど、構わない?」
「ええ。今回も行き違いになってしまって。……清です」
「よお。ひさしぶり」
「ごぶさたしております」
「兄貴とふたりして、やってくれたな」
「ご迷惑は承知しています」
「兄貴とあんたには、それぐらいの借りはあるしな。引き受ける」
「ありがとうございます」
「それから、うちのバカ娘にキズひとつつけたら、そこにいるキョンってのが黙っちゃいないぞ。言いたくないが、兄貴のタイプだ、あきらめるってことを知らん」
「はい。この身にかえても」
「かえなくて良い。あんたにも無事でいてもらいたい。ハルヒにかわってくれ」
「ハルヒさん、お父様がお話ししたいそうです」
「バカ親父で十分よ。はい、何?」
「バカ娘、不本意だが主役交替だ」
「そのようね。枕を高くして眠りなさい」
「冗談言うな。こっちだって敵ばかりだ。だが、何人かはそっちにいくぞ。できるか?」
「当たり前でしょ。さっきも言ったけど、誰にだって指一本触れさせないわ。弾丸も含めてね。もうみんなそろってるわ」
「葬式やり終えて、遺言を執行したら帰る。それまで持ちこたえろ。ああ、何て無茶なこというんだろうな、俺って」
「何をいまさら。娘とその仲間を信じなさい」
「信じてるから言うんだ。くれぐれも気をつけろ。相手はバカだが甘くはないぞ」


















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