ハルヒと親父 @ wiki

オヤジ狩り

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haruhioyaji

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 あー、なんだ、おまえら?
 ふーん、警棒にスタンガンに催涙スプレーか? いきなりそんなもの向けられたら、誰だっていい顔しないぞ。

 腰が引けてるな。最初、取り囲んだときに、相手がびびってくれないと、案外、攻めかかる機会がないだろ。
 あ、すまん。思いっきり蹴っちまった。後ろからこられると手加減が難しい。って、聞いてないか?
 相手に見られると攻撃しにくいだろ?顔をみてしまうと攻撃のテンションが上がらんように遺伝子にプログラミングしてあるんだ。猟友会も猿とは目が合うからと撃ちたがらない。
 逆に後からだと殴りかかりやすいんだが、かといって相手の顔が見えないんで実はタイミングをはずしやすい。相手が気付いているかどうかも、わかりづらい。
 四本足だった頃の記憶かしらんが、上半身は縮める方向に力を入れ易く感じるらしい。前足は引きつける方向に地面を蹴っていただろ? だから突きは練習がいるが、振り降ろしだと素人でもできる。だから棒切れなんか持ちたがる。
 だが、構えているときは、顔も胴体もがら空きだ。だから中段の後蹴りとか、カウンターぎみによく入るんだ。自信のない素人は、相手の前にまわりたくない。後から、闇うちタイプでいきたくなるんだが、格闘技ってのは商売だから、素人さんにだけは負けないように工夫してある。看板にかかわるからな。玄人同士がやり合うと、なんか訳の分からんことになりがちだが。

 スタンガンとか、いわゆる「護身用」って奴はな、相手ともみ合いになってるとき使えるといいんだが、相手と間合いがあるとどうもな。
 できるだけ遠くから相手に武器を当てようとすると、武器を持つ方の腕が前に伸び切っちまう。すると、こんなふうに蹴られるとひとたまりもない。ナイフを相手にすると同じ要領だが、でかいから狙いやすいし、逆にナイフより危険な部位が小さく限定されてるからな。振り回しても意味がないのが難点なんだ。
 スプレーもなあ、自分はあびたくないだろ。やっぱり、自分からできるだけ遠く、相手にはできるだけ近くにと、これまた腕を突き出す。な。おなじ羽目に陥る。やっぱり基本的に襲われた人用で、襲う人用じゃない。
 一言でいうと、どっちも暗器ってことだな。最初から見せてたら、勝算ないぞ。

 さあ、これでお互い素手と素手だ。思う存分ケンカできるぞ。友情が芽生えるまで殴り合うか? 俺が使うのは「オヤジ・キック」と「オヤジ・パンチ」、あとは悪知恵だけだ。しかも3対1だぞ。どうする?

 「オヤジ狩り」? そんなもの狩ってどうする?食うのか?焼肉セットいるか?
 悪いことは言わん、とは言わん。おれはおしゃべりだ。朝まで喋りつづけるぞ。狩りなんて、ネトゲだけにしとけ。あとギャルゲーは、ほどほどにしとけ。『神のみ』はおもしろいが参考にならんぞ。参考にするなら『30歳の保健体育』がまだましだ。だいたい、おまえらは不細工だ。立場を替えて考えろ。ツンデレなんて美少女限定だろ? 不細工な女が、一人称「ボク」だとしばき倒したくなるだろ? そんなのが「薫音(カノン)」なんて名前だったら、親の頭を叩きつぶしたくなるだろ? それと同じだ。
 金がない? 仕事がない? そりゃ大変だな。一応聞くが、仕事していて金持ってるオヤジが地ベタでのたうちまわってるのをみると、すっきりして憂さが晴れて小銭も手に入って、地上のものとは思えない喜びが味わえるのか? それなら一度、俺もやってみよう。


「こら、そこの不良親父! なにカタギの人をいじめてるのよ?」
「どう見たらそう見えるんだ? 俺はカタギだ。それから、こいつらは親父狩りをたしなむ皆さんで、狩られてたのは俺の方だぞ」
「だったらなんで、こいつら地べたに正座して涙を流してるのよ」
「俺の話が、よほど感動的だったんだろう」
「何の話をしたのよ?」
「加藤清正が、真っ裸で往来に放り出されて、それからどんな手段を使って大名に返り咲くか、という話」
「あんたは悪魔か!?」







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