ハルヒと親父 @ wiki

オヤジ野球3

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haruhioyaji

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キョン
うちが先攻か。向こうは親父さんが投げるんだな。
ハルヒ
あたしが、各自の適性と実績をもとに最高のオーダーを考えて来たわ。
キョン
1番ピッチャー、ハルヒ。……。
ハルヒ
打順は打率のいい順よ。それが一番合理的だって長嶋総監督も言ってたわ。
キョン
……それはいい。2番でキャッチャーが、俺ってのは?
ハルヒ
そ、それは、さっきも言ったとおりよ! それとも、あたしの球を捕るのが不服とでも?
オヤジ
おおい、キョン、カーブの握りはこれでいいのか?
キョン
……親父さん、せめてグラウンドに着く前に確認して下さい。
ハルヒ
キョン、敵に塩を送る気?
古泉
歴史上かつ一般的には賞賛される行為ですが、今は控えていただいた方が。わがチームは9人ぎりぎりだということをお忘れなく。
キョン
いっそ誰かに急なバイトが入って、メンバー不足で放棄試合というのを狙わないか?
古泉
ぼくは、あなたほど楽天的にはなれません。それに伴う様々な影響を考えると……。しかし、フォローをあなたに一任するというのは、これまでの経験から言って悪くない手ですが。
キョン
……今のは、忘れてくれ。
ハルヒ
なに、ごちゃごちゃ言ってんの、そこ!!
キョン
親父さん、すみませんが、自分のチームの方に聞いて下さい。
オヤジ
だって、こいつら所詮ハルキョン派だしな。
ハルヒ
あたしたちはハルキョンそのものよ!
(ゴオオオオオ)
鶴屋さん
うーん、すごいねえ。向こうのおっさんたち、今度は「ハルキョン」ウェーブにょろ。
キョン
……早く試合を始めましょう。

 誰が呼んだのか、どこかのやんごとなき機関の方々が、なんの不自然さもなく主審、線審についたことは、物語をほとんど左右しないので、ここでは触れない。
 とにかく、どこかの誰かであるアンパイアが高らかにプレイボールを宣言した。
 おやじさんは、野球マンガのように、足を高くあげ、そのバネをいっぱいに使ったボールを投げ込んで来た。

ハルヒ
何よ、今のボール!? 回転どころか勢いすらもない、ふにゃふにゃな球は?
オヤジ
ナックルだ。3本の指で弾いて送り出すように投げる。無回転だから俺にもどんな変化をするか分からん。
キョン
ある意味、非常に親父さんらしいボールですね。
オヤジ
バカ娘、力押しするとでも思ったか?
ハルヒ
当然、姑息な手で来ると思ったわよ!
オヤジ
泣き言は休み休み言え。
ハルヒ
誰が泣くか!
オヤジ
風がバックスタンドからセンター方向に吹くのを見越して、日時を設定したんだ。変化が大きくなるからな。
ハルヒ
野球ごときに、どこの諸葛亮よ!
キョン
いや、おまえもさっき「火を放て」とか言ってたし。

 ハルヒは2球目のナックルも大きく空振りした。

ハルヒ
なんなのよ、このボール! キョン!これ、どうしたらいいの!?
キョン
と、いわれてもな。
ハルヒ
早く!なんでもいいから考えなさい!
キョン
無茶言うな! ……あー、おまえなら、打てる。造作もない
ハルヒ
はあ?
キョン
そんなのは、多少揺れはするが、単なる遅い球だ! おまえの胴体視力なら必ずとらえられる。ただし大振りはするな。コンパクトに振りぬけ!
ハルヒ
オーケー!
オヤジ
なんか知らんが、まだ1回先頭打者だぞ。そんなに盛り上げるな!

 親父さんはフォームもタイミングも全く変えずに、豪勢な速球をハルヒの内角高めに投げ込んだ。
 速球の後のチェンジアップなら、まだ可愛げがある。おれにカーブの握りを尋ねたのも、ナックルを続けて投げたのも、このフリか。

 しかし、ハルヒは迷うことなくバットを振りぬいていた。その速球にいささかも遅れることなく。
 快音とともに、ボールはグラウンド端のフェンスを大きく越えていった。

オヤジ
くそっ、やっぱり読んでやがったか。
ハルヒ
見え見えよ!

 ハイタッチで迎えられるハルヒとすれ違いざまに尋ねた。

キョン
なあ、ハルヒ。どうして速球が来るって読めたんだ?
ハルヒ
あんた、自分の言ったことも覚えてないの?
キョン
ああ、『遅い球』っていったが……。
ハルヒ
どうなればあたしが一番悔しがるか、親父なりに考えたってことよ! 次はあんたの打順でしょ! わかったら、さっさと行く!
鶴屋さん
うーん、さすが、ハルキョン派のおやじたち。見るとこ見てるねえ。いまのやりとりで、大盛り上がりにょろ。
オヤジ
守備についてる時ぐらい自重しろ! 酒は飲むなって言っただろ!

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