ハルヒと親父 @ wiki

年越し

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haruhioyaji

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 「ねえ、キョン?」
「なんだ、ハルヒ?」
「あんた、来年の今日は、何をしてると思う?」
「……わからん」
「つまんない答えね。というか、答えに値しないわ」
 その通りだな。
 だが神様じゃあるまいし、そんな先のことまでは正直わからん。約束もできん。
 なぜなら、こいつには、こいつにだけは、嘘はつきたくないからであって、それはどんな目にあわされるか、まるでわからんという理由からだ。
 でもな、ハルヒ……。
「どこで何してるか、まるでわからんが……この手がいる場所は変わらないと思うぞ」
「このエロキョン……」
 いきなりそこまで言うか、普通?
「そういうこと言うのか」
 右手で、その柔らかい髪を撫でる。少し、くしゃとなるくらいに。
「い、いつまで触ってんのよ?」
「あ、ああ。ここじゃないよな」
「そうよ」
「これでいいか?」
「いい」
 ハルヒはうなずいて、つないだ手をぶんぶんと振る。口はアヒルのままだ。
「まったく……子供か」
「……子供で何がいけないのよ?」
 それ、認めてるのか? 認めてないのか?
「別にいけなくはない」
「なら、いいじゃない」
「ああ、いいさ」
「……絶対だからね」
 だけどな、絶対なんてもの、多分この世にはないんだ。
「ああ……絶対だ」
「約束だからね!」
「ああ、約束する」
「うん、よろしい」
 でも、手の先から伝わって来る温かさを感じてると、信じてもいいと思えて来ないか?
「で、今日は……もうすぐ明日というか来年だが、どうすんだ、これから?」
「除夜の鐘に初詣の掛け持ち、ことしじゃなくて来年は、とにかく市内にある神社しらみつぶしに回るからね、それから初日の出! 雪が降るとかふざけたこと言ってる天気予報があるけど、雲なんかシベリア寒気団に送り返しなさい! 他に質問は?」
「ない」
「じゃあ、行くわよ、キョン!」
 言葉と同時に、ハルヒは拳をつくった方の腕を、天に向かって突き出した。
 もう一方の手で、おれを前に引っ張りながら。












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