ハルヒと親父 @ wiki
しふぉん
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haruhioyaji
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- 小学生のハルヒ(以下、ハルヒ)
- 母さん、母さん!
- 母さん
- おかえりなさい、ハル。
- ハルヒ
- ただいま!母さん、あたし、ケーキを焼くわ!
- 母さん
- まあまあ。好きな子でもできたの? だったらお赤飯炊かなきゃ。
- ハルヒ
- ちがう! ケーキよ、ケーキ。
- 母さん
- もちろんケーキの焼き方は教えるけど。
- ハルヒ
- 赤飯いらない。友達のお母さんが作ったらしいんだけど、ものすごくおいしかったの!これはあたしも焼くしかないわね、と思ったわ!
- 母さん
- そうなの。で、どんなケーキに挑戦するの?
- ハルヒ
- あたしも、いきなりあのケーキに挑戦するほど向こう見ずじゃないわ。まずは堅実に、シフォンケーキあたりね。
- 母さん
- うーん、上級とは言わないけれど、初心者向き、とも言えないわ。膨らまなくてぺしゃんこになったり、失敗が誰の目にも分かりやすいしね。なかなかハルらしい選択ね。
- ハルヒ
- え、そうなの?
- 母さん
- お菓子づくりは、料理と言うよりケミストリー(化学)ね。後で味を調整するわけにはいかないから、分量は厳密に計って、手順は厳格に遵守すること。あとは手間をいとわないこと。コツといっても、それくらいね。
(レシピ)プレーンシフォンケーキ
卵白(M) 7個
砂糖 90g
卵黄(M) 6個
サラダ油 80cc
牛乳 110cc
薄力粉 100g
卵白(M) 7個
砂糖 90g
卵黄(M) 6個
サラダ油 80cc
牛乳 110cc
薄力粉 100g
- 母さん
- 膨らむことは膨らんだのにね。
- ハルヒ
- うー。やっぱり母さんが言うように、変えるんじゃなかった!
- 母さん
- 水を牛乳にしただけなのに、中がスポンジというより空洞になっちゃたわね。水分とオイルとの関係がくずれちゃうとね、こういうこともあるの。顔をあげなさい、初挑戦の女の子が最初からうまく行ったら、世界中のパティシエが涙ぐむわ。
- ハルヒ
- うー。
- 親父
- ただいま。
- 母さん
- あ、お父さん、おかえりなさい。
- 親父
- なんだ、これ?
- ハルヒ
- あ、だめ!
- 親父
- こんなところに置いといたら、むしゃむしゃ、誰かが勝手に、むしゃむしゃ、食っちまっても、ごっくん、知らんぞ。
- ハルヒ
- 食いながら言うな! 言いながら食い終えるな! そんなことするの、あんただけでしょ!!
- 親父
- なんだ、ハルヒ。おまえのだったのか?
- ハルヒ
- 人の失敗作を! こら、出せ! 戻しなさい!
- 親父
- おそい、もう消化した。
- ハルヒ
- 速すぎよ!
- 親父
- いいか、バカ娘。料理に失敗なんてものはない。食えればそれは料理だし、食えないならただの有機化合物だ。ただ少し皿を出すのが速すぎたな。今度、人に出すときは、自分が十分納得できてからにしろ。母さん、食事前だが、お茶が飲みたい。ルピシアにもないような、甘ったるいフレーバー・ティがいいな。
- 母さん
- はいはい。ちょうどお湯も沸いたところです。