ハルヒと親父 @ wiki
オヤジラジオ その2
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haruhioyaji
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- オヤジ
- 周波数不明、発信地不定、一日限りのオヤジ・ラジオだ。
- バチカン市国、サン・ピエトロ寺院前広場から絶賛生中継でお送りする。
- じゃあ、まず最初のハガキを読むか。匿名希望、西宮市の谷口君からのメッセージ。
- 「どうしたら、モテるようになりますか?」 って、おまえ、こればっかりだな。もっと人が読まないような難しげな本でも読んだ方が、将来後悔しないぞ。
- ああ、モテる方法だったな。とりあえず大枚はたいて、等身大の熊のぬいぐるみを買え。そして毎日そいつを連れて登校するんだ。教師やクラスメイトからは引かれるだろうが、2週間もすれば痛いウワサが行き渡って、周囲の学校から女生徒のみが見物に来るぞ。サインしてやるときに、メアドくらい聞けるだろ。まあ、がんばれ。
- じゃあ、最初の曲。我が相棒、長門有希のリクエストで、ムソルグスキー作曲、編曲と演奏はうちの母さんで「禿山の一夜」。
- キョン
- お下劣な話題と高尚な趣味、あまりに親父さんな放送だな。
- 古泉
- これが一日だけとは惜しいですね。ウェブラジオにして、SOS団のサイトで公開しては? 無論、団長が賛成すればの話ですが。
- キョン
- 不可能だ。しかし親父さんの悪知恵に、長門のオーパーツ・クラスの技術か。組ましちゃいけない二人を組ませちまったのかもしれんぞ。
- 古泉
- それは大丈夫では? 長門さんは、あなたがいうところの「ズル」、現在の技術水準以上を使うつもりはありませんよ。涼宮さんのお父さんも、簡単には勝たせてくれそうにありませんが、圧倒的な勝ちが望みとは思えません。
- キョン
- そうだな。だが、散々手をわずらわせてくるのは確かだ。
- 古泉
- それが「親父さん」の楽しみですから。
- キョン
- 質が悪い。悪意がない分、同じはた迷惑でも、ハルヒの方がかわいいくらいだ。
- 古泉
- おや、何かいいましたか。
- キョン
- 言ってない。忘れろ。
- ハルヒ
- なにしてんの、二人とも!?もう放送、はじまってんのよ!
- キョン
- わかってる。すぐいく。
- ハルヒ
- ちょっとキョン、アンテナをどっちにむけても、メーター振り切れてるじゃないの!もう、なんなのよ、これ!?
- キョン
- あわてるな、ハルヒ。あの親父さんだ、これくらいは想定内だろ。
- ハルヒ
- ま、まあ、そうだけど。……むしろあんたのその落ちつきがむかつくわ。
- キョン
- 古泉、発信機が無数にばらまかれてるってことか?
- 古泉
- そうですね……、いや、それは考えにくい。発信機が複数あるのは間違いありませんが、放送されているものは一つです。発信機まで、なんらかの方法で、放送信号を伝送する必要があります。
- キョン
- こりゃ、どれかひとつ発信機を見つけて、どうやってるのか確かめるのが早いな。
- 古泉
- 同感です。まず一番近いものを全員で見つけましょう。アンテナを外して、ラジオ本体のロッドアンテナを使ってください。アンテナを水平にして、向きを変えて電波の強さが変わるかやってみてください。一番信号が強くなった時、アンテナに対して直角方向に発信機があるはずです。アンテナの向きを涼宮さんに連絡しますから、地図の上に位置とアンテナの向きを書き込んでください。そこから垂線を延長して交わるところが発信機の位置になります。
- ハルヒ
- わかったわ。
- 古泉
- 発信機に近づいて、どの方向でもメーターが振り切れるようになったら、ロッド・アンテナを短くしてください。それで感度が落ちます。狭い範囲を探すのにとるやり方です。
- オヤジ
- 周波数無限、発信地無数、一日限りのオヤジ・ラジオだ。
- 紫禁城天安門前広場から絶賛生中継でお送りする。
- じゃあ、つぎのハガキだ。西宮市、匿名希望のキョンから。
- 「おなじ部活の先輩のことが気になって仕方ありません。どうすればいいでしょう?」。
- いきなり、おやじの天気予報だ、西宮市、本日は快晴、ところにより局地的に血の雨が降るでしょう。……なあ、長門、こんなベタでいいのか?いい? よし、じゃあ気を取りなおして、音楽と行こう。
- キョン
- ハルヒ、ハ・ル・ヒ! 単純な親父さんの「精神攻撃」だろ!
- ハルヒ
- わかってるわよ! ただ気分と機嫌が悪いだけよ!!
- 古泉
- お二人とも、お取り込み中のところ申し訳ありませんが、発信器を見つけました。
- キョン
- 分かった。すぐ行く。
- ハルヒ
- な、なにこれ? iphone?
- 古泉
- イヤフォンジャックにFMトランスミッターですか。やられました。
- キョン
- どういうことだ? そのトランスミッターとやらが発信機なんだろ。
- 古泉
- ええ。問題は、ここまで放送信号を送っているやり方です。最近は、まちのあちこちで無線LANが使えるようになってきているのはご存知でしょう?
- キョン
- ああ。ちょっとしたファーストフードでも、パソコンを持っていくだけでネットにつなげる。って、それか?
- 古泉
- ええ、オヤジラジオの正体はネットラジオです。無線LANにつながるところにiphoneを置いて、そこでネット経由で放送信号をトランスミッターに送ってるんです。方法はわかりましたが、放送自体はインターネットにつながるところなら、世界中どこだって可能です。あらかじめ無人局として、このセットを設置しておけば。いや、ネットにつながるものならなんだっていい。ネットブックでも、ニンテンドーのDSでも。トランスミッターもこの程度のものなら数千円しないでしょう。とにかく相手は、かなりの数を無人局を、この市内中に設置して、自分の位置とは無関係に、電波を飛ばすことができます。
- ハルヒ
- アホおやじぃ〜!!あいかわらず無意味な手間だけは手を抜かないわね!
- キョン
- それと長門か。
- 古泉
- ええ。こうなると長門さんが向こうをサポートしている以上に、ぼくたちの側に居ないのが痛手ですね。彼女なら、1個あたり数秒で無人局の位置を確定できるでしょうから。
- キョン
- いずれにせよ電波を追っかけても親父さんは捕まらないわけか……。いや、待て。俺たちの目的はそもそも親父さんの身柄をおさえることか? とりあえず放送をジャックすればいいんだろ?
- 古泉
- ……なるほど。さすがですね。
- ハルヒ
- なんなのよ、キョン! 考えがあるなら、はっきり言いなさい!
- キョン
- ハルヒ、俺たちもラジオをやるぞ。で、見つけた発信機は、全部俺たちのラジオの発信機に切り返える。できるよな、古泉?
- 古泉
- ええ。ネットラジオをイヤホンジャックからトランスミッターに渡してるだけですから。別のネットラジオを聞くように設定すればいい訳です。
- キョン
- というわけだ。発信機を見つける数が増えていけば、それだけ俺たちのラジオが優位に立つ。親父さんのことだ、これくらいは考えてあるだろが、多分、半分をおさえたら、向こうからも反応があるはずだ。
- ハルヒ
- わかったわ。でも、ラジオの中身は? そっちに人数を割いたら発信機を見つけるのがおそくなるし。
- キョン
- そうだな。……こっちもネットをつかわせてもらうか。
- 長門
- 発信機がひとつ奪取された。別の放送が始まっている。
- オヤジ
- ほう、なかなかやるな。どれ、聞いてやろう。
- 長門
- 私達と同じネットラジオ。URLは、・・・・。
- オヤジ
- すごいな、そこまでわかるのか。お、これだ。バカ娘がなんか歌ってるな。
- 長門
- 動画共有システム等のインターネット上の資源を利用している。
- オヤジ
- YouTubeとかそういうのか。
- 長門
- ネット上には膨大な関連映像やMADが存在する。「涼宮ハルヒ」をキーワードにして連続再生することは可能。
- オヤジ
- やれやれ。手抜き極まるコンテンツだな。
- 長門
- 人気の証拠。
- オヤジ
- 次の曲、長門のリクエストで、「パラダイス・ロスト」をニコ動の「ドの人」演奏で流そうとおもったんだが、ネタがダブるようでいやだな。仕方がない、俺が直に弾くか。
- 長門
- 弾ける?
- オヤジ
- 見よう見真似だが、ようするにオクターブで鍵盤ぶったたけばいいんだろ? それに『のだめカンタービレ』と『ピアノの森』は全巻読んでる。
その3へつづく