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あるSS書きの個人的七つ道具(アイデア篇)

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haruhioyaji

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1. ジェームス W.ヤング『アイデアのつくり方


 アイデアの作り方について知るべきことは、この小さな本にみんな書いてある。
 ぶっちゃけていえば、(1)仕込む (2)忘れて待つ (3)浮かんだのをつかまえる。
(1)「仕込む」
出したいアイデアに関する事項を、なんでもかんでもアタマにインプットすること。アタマが「もう、おなかいっぱい」というまでやる。読むだけでなく、素材を整理したり、分類したり、要約したり、することもインプットのうち。個人的には、この整理作業を終わらせず未完のまま、に置いておく方が、「心が残る」せいか、アイデア出現率は高い気がする。単に自分が飽きっぽいから、最後までやらないことが多いのだけれど。
(2)忘れて待つ
インプットし切ったら、席を立つなり、散歩に出るなり、お風呂に入るなり、ひなたぼっこするなり、瞑想するなり、いったんアイデア作りから、心も体も切り離す。「体も」切り離した方が、個人的には、出現率が高まる気がする。部屋を出ることができなくても、せめて違う椅子(や床)に座り変えることをオススメしたい。
(3)浮かんだのをつかまえる
このためには「忘れて待つ」間も、すぐに書き留められるメモや筆記具は持っておくこと。トイレやお風呂は、電車、バス、寝起きなどは、特に思い出しやすいので、そのときすぐにメモが取れないと、「ああ、今いいアイデアを思いついたのにぃ〜!」となる。でも、この失敗は誰もがやってるので、失敗したら次のを待てばいい。

 他にもヤングの本には、「社会科学を勉強しろ」とか、「新しいものは、結局のところ古い既存のものの組み合わせだ」「組み合わせのパターンを増やすためには一般教養が大事」とか、あまり普通の紹介では触れられてない「小さなコツ」(というにはちょっと大きすぎること)がたくさん書いてあるので、直に読むに越したことはない。

2.高橋 誠『問題解決手法の知識


 アイデアというのは、基本的には、つまらないものだ。
 アイデアは最終的なアウトプットではない。「不可欠なきっかけ」ではあるが、それだけでは実用に耐えないことの方が多い(ときどき完成品に近いものが採集できることはあるけれど)。
 と、期待が大きすぎない方が、アイデアは生まれやすいし(アイデア出し中には厳禁の「ダメ出し」も抑制できる)、一見ダメな(ありきたりな)アイデアだって、育てば伸びるかもしれない。
 だからアイデアの磨き方、育て方、組み合わせ方などについて書かれた、アイデア加工のノウハウ本は、多い(別に紹介した関係アルゴリズムも、組み合わせの手法だった)。
 あげた本の著者には、『 新編創造力事典—日本人の創造力を開発する 創造技法 主要88技法を全網羅!』みたいなバカ高いバカみたいな本があるが、どっちにしろサワリだけしか触れてないので、アマゾンあたりで1円で出てる日経文庫ので十分だと思う。





(以下は、アイデアのタネを拾える本)

 さてアイデアは既存のものの組み合わせといったが、既存のストックが少ないと、組み合わせようがない。以下では、既存のストックのサプリメントに使えるリソース・ブック。取り出して来てそのまま使うのではなく、必ず異なるものと組み合わせて用いること。
 さらに言うと、普段からこのあたりを流し読みしておくと、組み合わせのパターンも増える(要するに「一般教養」がついたことになる)。

 物語を構成するもののうちで軸となるのは、「行動とその動機」だけれど、「行動とその動機」のカタログないし事典があれば、ストーリーを考える際にヒントを得られそうな気がする。が、心理学の本は意外とホントに使えない(すでにおなじみのものが多い/性格心理学とかダメ:『ヒルガードの心理学』(これ一冊に何でも書いてある)くらいの、でかい本がまだネタが拾える。)。
 ジャンル別には、次のようなものが参考になる。

3.(動物行動学(エソロジー)の本)

(ベスト) オックスフォード動物行動学事典
  ……動物行動の百科事典。すばらしい出来、そして情報量(が、いまやめちゃ高い)。図書館で。
(セカンド)イレネウス アイブル=アイベスフェルト『ヒューマン・エソロジー―人間行動の生物学
  ……さらに大きな本。図書館でどうぞ。
(ノーマル)
  ……コンラート ローレンツの本など、文庫で手に入る。

4.(民俗学の本)

(ベスト)福田 アジオ他編『日本民俗大辞典』()(
  ……大きな本。図書館で。
(セカンド)柳田國男・監修『民俗学辞典』(東京堂出版)
  ……かつての標準的なものが、今や安く手に入る。
(ノーマル)大島暁雄ほか編『図説民俗探訪事典
  ……コンパクトだが意外と使える。写真も千点以上掲載。
(欄外)白川静『字統』『文訓』『文通
  ……漢字の成り立ち辞典、大和言葉との出会い辞典、それらを包括した漢和辞典だが、もはや民俗学の棚に入れるべきほど、古代の呪術社会の成り立ちを文字に読み込み、辞書に刻み込んだ疾風怒濤の字典たち。同様の仕事でバンヴェニストの『インド=ヨーロッパ諸制度語彙集』があるが、あわせて読むと白川のすごさが引き立つ。

5.(歴史の本)

(ベスト)『ヨーロッパ・アメリカ・オセアニア事典』『アジア・アフリカ事典』(教育出版センター)
  ……かつて同じ出版社からから出てた、世界史の調べものならまずこれをみろといわれた『世界歴史大事典』(たしか20巻くらいあった)をたった2冊にまとめたもの。今なぜか安く買える。
(セカンド)『地域からの世界史』シリーズ(朝日新聞社)
  ……いまやものすごく安い値段で買える、各地域の歴史。特に別冊の『世界史を読む事典』が、身近なもの(たとえば「白」が世界各地で持つことなる意味)を横断的に拾っていて、ネタになる。
(ノーマル)ジェームズ・トレーガー『世界史大年表—トピックス&エピソード
  ……図書館で。ただいま安く買えるので。まさにトピックス&エピソードだけを満載したおもしろ年表。

6.(いわゆる豆知識、トリビアもの)

  ……小説に出てくる登場人物の名前を集めたもの


7.(物語のあらすじ集)

 ここまで来ると、ちょっとずるい気がしてくるが(パクリ疑惑)、普段まず開かないようなもののあらすじ集をブラウズして、何かひっかかるものが見つかればみっけもの。

(1)イギリス・アメリカ編、(2フランス・南欧・古典編(3)ドイツ・北欧・中欧編 (4)ロシア・ソヴィエト編
  ……1960年代前半に出たもの。当然新しいものは載ってないが、そこがいい。

  ……同上。最近に至るまで同種のものがたくさん出ているが、古いこれらの方が、あらすじも、「鑑賞」という名の背景説明も、しっかりしていて、面白い。

 『世界の古典名著』『日本の古典名著』『中国の古典名著』から
『世界の戦争・革命・反乱』『世界の宗教と経典』『世界の神話伝説』から
『歴史小説・時代小説総解説』『世界のSF文学・総解説 増補版』『世界のオカルト文学 幻想文学・総解説—』『世界の海洋文学・総解説』『世界の冒険小説・総解説』『 世界の推理小説・総解説』
『世界文学の名作と主人公・総解説』『世界の大発明・発見・探検・総解説』まで、
いろいろある。
 はっきり言って玉石混淆だが、安っぽい作りなのに、『世界のSF文学・総解説 増補版』のように、なかなか手に入らないものもある。これも図書館の参考図書欄で見かける。

∞ 紙と筆記具

 番外というより前提。
 結局つまらないことも、月並みな考えも、すべて書き出してみないことには、はじまらない。












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