ハルヒと親父 @ wiki
新落語シリーズ「金明竹」
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haruhioyaji
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- ハルヒ
- ねえ、キョン。有希のことなんだけど。
- キョン
- どうしたんだ、ハルヒ?
- ハルヒ
- 素直なのはよいことだけど、もう少し断るってことを覚えた方がいいと思うわ。昨日なんか、自分の持ってる傘を知らない人に貸しちゃって、自分はずぶぬれで帰ってきたのよ。
- キョン
- 長門、ハルヒに聞いたんだがな。自分の持ってる傘を知らない人に貸して、自分はずぶぬれで帰ってきたってのは本当か?
- 長 門
- 事実。
- キョン
- なあ、長門。時には断った方がいいと思うぞ。
- 長 門
- どうやって?
- キョン
- そうだな。落語なんかだと、『貸し傘も何本かありましたが、この長雨でどれも使い過ぎまして、骨は骨、紙は紙、とばらばらになりましたから、使い物になりませんので、風呂の焚き付けにでもしようかと、物置に放り込んであります』とか言うんだが。ははは。
- 長 門
- わかった。
- キョン
- おいおい、今のは落語の話で、傘も竹と紙でできた和傘だからできる言い訳だぞ。
- 長 門
- 了解している。応用問題は得意。
- キョン
- そうか。まあ、参考になるならいいが。
- コンピ
- コンピ研の者だが。
- 長 門
- 承知している。
- コンピ
- あ、長門さん。いつもお世話に。ところで、君のところに猫はいなかったかい? いや、うちの部室にネズミが出たんだ。ほっとくとケーブルをかじられたりして困るんで、なんとか追い回して部屋の隅に追い込んだんだが、ケーブルやら機材やらが入り組んでるところに逃げ込んでどうにもならない。猫だったら狭いところでも大丈夫だろうと思って、借りに来たんだが。
- 長 門
- 猫はいるが貸さない。
- コンピ
- どうして?
- 長 門
- 酷使し過ぎて、骨は骨、皮は皮とばらばらになってしまった。使い物にならないから、風呂の焚き付けにするために、物置で保管している。
- コンピ
- うげ。さすがSOS団。黒魔術の生け贄にでもしたんだろうか。触らぬ神に祟りなしだな。あの団長が来る前に退散した方が良さそうだ。邪魔したね。
- ハルヒ
- へー、団長がなんだって!?
- コンピ
- うわあ、出た!
- 長 門
- 断ったが、不完全な表現だった。修正の必要を認める。
- キョン
- うーん、猫が『骨は骨、皮は皮とばらばら』はまずいだろ。どんな猟奇事件に発展しないとも限らんしな。
- 長 門
- 猫の場合は?
- キョン
- そうだな。落語なんかだと、『うちにも猫が一匹おりましたが、さかりがついたらしく、とんとうちには帰りません。久しぶりに帰ってきたと思ったら、どこかでエビの尻尾でも食べたんでしょうか、おなかをくだしまして、そちらのお部屋で粗相してはいけませんから、今は『またたび』なめさせて寝かせております』なんて言うんだが。ははは。
- 長 門
- わかった。
- キョン
- おいおい。時と場合があるんだから、ちゃんと選べよ。
- 長 門
- 了解している。情報操作は得意。
- キョン
- そうか。まあ、参考になるならいいが。
- 鶴 屋
- やあっ、みくるはいるかいっ?
- 長 門
- いない。
- 鶴 屋
- おや、有希っこ、ひとりだねえ。みくるはどこ行ったか知らないかなあ?
- 長 門
- うちにも一人いたが、さかりがついたらしく、とんと部室にやって来ない。久しぶりにやってきたと思ったら、どこかでエビの尻尾でも食べたのか、おなかをくだしている。粗相してはいけないから、いまは合法ドラッグをぶち込んで寝かせている。
- 鶴 屋
- うわー。大変なところに来たかもにょろ。じゃあねー、ごゆっくりー。
- みくる
- うう。今朝、鶴屋さんに、色気づいてスカトロで薬漬けのみくる、って言われたですー。
- キョン
- やれやれ。長門、そんなこと、鶴屋さんに言ったのか?
- 長 門
- 趣旨は間違っていない。
- ハルヒ
- ちょっと、キョン!! あんた、さかりがついたってどういうことよ!!
- キョン
- おい、まさか。ハルヒにも言ったのか?
- 長 門
- 言った。
- 古 泉
- ぼくは涼宮さんが『さかりがついた』と聞きましたが。おやおや、お盛んなことでなによりです。
- キョン
- な、長門!!
- ハルヒ
- キョン、待ちなさーい!!
元ネタ:落語「金明竹」の前半