ハルヒと親父 @ wiki

ツンデレエンザ

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haruhioyaji

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「ちょっと、キョン、大丈夫なの? 39度ぉ!? だったら電話なんかしてないで寝てなさい! かけたのは、確かにあたしだけど。 とにかく! あったかくして寝てなさい。帰りに寄るから」
 来るな、うつる、とか言ってた気がするけど、インフルエンザで寝こんでるような気合の足りない雑用係の妄言なんて聞くに値しないわよね、うん。キョン、待ってなさい!あんたの風邪なんか、あたしがいっぱつで治したげるわ!!

「インフルエンザは風邪ではない」
って、有希? いつからいたの。
「さっき」
そう。でもあたし、インフルエンザなんて言ったかしら?
「言っていない。でも現在、流行中」
そうね。うちのクラスも10人以上休んでるんじゃないかしら。
「学級閉鎖の可能性が高い」
そうなの? あいつがいないと退屈だし、いっそ休みの方がいいかも……って、キョンのことなんか考えてないし、しゃべってないわよ!
「わかった」
ところで有希、さっきインフルエンザは風邪じゃないって言ってたけど。
「インフルエンザは重篤な感染症。1918年から始まったパンデミック(世界的大流行)、いわゆる「スペイン風邪」では、地球上の半数の人間が罹病し、死亡者は4000万人から1億人の間と推定される」
ええ!そうなの? あたし軽く考えすぎてたみたい。こうしちゃいられないわ!
「待って。これを」
なに、この瓶?水薬?
「インフルエンザにはタミフルなどの薬が有効。しかし異常行動の可能性が危惧され、10〜19歳には投与が控えられている」
異常行動? 飲ましたら、キョンの奴、ツンからデレになるかしら?
「それはない」
そりゃそうね。
「彼の場合は行動よりむしろ認知に問題がある」
まったくよ、あたしの気持ちなんか、これっぽっちも分かってないんだから……なんてことは、少しも思っていないからね!
「わかった」
で、この薬は?
「インフルエンザの罹病期間を短縮する効果がある。副作用もない」
つまり早く治るのね。ありがと、有希。
「予防にも効果がある。あなたも飲むべき」
え、そう?
「このままでは、あなたもインフルエンザに感染する可能性が極めて高い。彼が快癒した時、あなたが感染していると、彼は責任を感じると思われる」
持つべきものは、あんたみたいな友達よ。 ううん、あんたみたいないい子は、宇宙中さがしたって見つからないわ! ありがとう、有希! さっそくキョンの家に行ってくる!

さあ、キョン! インフルエンザなんてちゃっちゃと治すわよ! この流行で学級閉鎖とか学校閉鎖になるらしいから、そうしたら空いた時間、思う存分イチャイチャできるわ!
「のあ! ハルヒ、のしかかるな! というか、おまえ、考えてることが全部言葉になっちまってるぞ!」
そんなことはどうだっていいのよ! 有希にもらった薬よ、さっさと飲みなさい。え?飲めないの? もう、しかたないわね。
「ハルヒ、飲める! ひとりで飲めるから!」
「問答無用!ぐびぐび」
さあ、口移しで飲ましてあげるわ! って、ちょっと飲んじゃったけど。あたしも飲めって言ってたから、別にいいわよね。さあ、キョン、観念しなさい!!
「顔が近い!って、な、なにを・・・んんん!!!」


 次の日、熱も下がり体力も回復した俺は学校へ行った。ハルヒが「どんなもんだい」といった風に胸を張っていたがそれはどうでもいい話だ。聞きたいことがあった俺は、ハルヒが学食へ行った隙に部室へと向かった。案の定、長門は俺の疑問に対する答えをすでに用意していた。
「すると、ハルヒはとっくにインフルエンザにかかってたっていうんだな」
「そう」
「そうは見えなかったぞ。確かに無駄にテンションは高かったが」
「インフルエンザは、風邪(普通感冒)とは異なり、比較的急速に出現する悪寒、発熱、頭痛、全身倦怠感、筋肉痛を特徴とし、咽頭痛、鼻汁、鼻閉、咳、痰などの気道炎症状、また腹痛、嘔吐、下痢といった胃腸症状を伴う場合がある。しかし涼宮ハルヒの力によって、それらの症状置換が行われた可能性が高い」
「というと?」
「体温ではなく、あなたへの熱が上がった。オチは地口オチ」
「おい」 またオヤジギャグって言われるぞ。
「インフルエンザで学校を休む事態は彼女の望むものではなかった。一方でインフルエンザ・ウイルスの影響が置換され『ツン』が弱まり、地の『デレ』が表面に出てきたと推測される。……お幸せに」
その“……”は何だ?と聞こうとした時、部室のドアがバンと蹴り開けられた。
「キョン! こんなところにいたのね」
こんなところって、ここはSOS団のアジトだろ。
「そんなことはどうだっていいのよ! 食後のお薬を飲まなきゃだめじゃないの!」
いや、もうインフルエンザは治ったみたいだ。必要ないぞ、ハルヒ。
「駄目よ! 症状がおさまったといっても、体内からウイルスがいなくなった訳じゃないわ。1週間は続けないと、あんたはそれでよくても、今度はあんたが感染源になるんだからね! という訳で、そこに座りなさい!」
いや、もう座ってるが。
「動くんじゃないわよ! ぐびぐび」
って、またかよ! 昨日の夕食後も深夜も今朝も飲んだだろうが! というか学校だぞ、部室だぞ、長門もいるんだぞ!
「問答無用!!」
「んんん・・・!!!」












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