ハルヒと親父 @ wiki
彼と彼女と彼女のメール
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haruhioyaji
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To:キョン
4月に入って1週間も経ったわ。なのにキョン、あんたから一通もメールがないって、どういうこと!?
4月に入って1週間も経ったわ。なのにキョン、あんたから一通もメールがないって、どういうこと!?
あたしだって入学式だの単位登録だの、その他で忙しいかったわよ!
このアホキョン、なんとか言いなさい!!
To:ハルヒ
すまん
すまん
大学が始まって早々事故っちまった。
相手も俺も大した怪我じゃないから心配すんな。
To:キョン
ちょっと事故ってどう言うこと?相手って、誰かに怪我させたの?人身事故じゃないの?なんで、そんな大事なことを。
ちょっと事故ってどう言うこと?相手って、誰かに怪我させたの?人身事故じゃないの?なんで、そんな大事なことを。
To:ハルヒ
相手は同じ大学の学生だ。怪我も、もう大丈夫だから。
相手は同じ大学の学生だ。怪我も、もう大丈夫だから。
To:キョン
そう。無事なら無事で、それでいいわ。
そう。無事なら無事で、それでいいわ。
それより、G.W.には帰ってくるんでしょうね?
To:ハルヒ
ああ。
ああ。
To:キョン
わかったわ。詳しくはその時、聞くから。あんた、自分が思ってるのの百倍は鈍いんだからね。相手にちゃんとするのよ。
わかったわ。詳しくはその時、聞くから。あんた、自分が思ってるのの百倍は鈍いんだからね。相手にちゃんとするのよ。
To:ハルヒ
わかってる。
わかってる。
*
To:ハルヒ
約束を破ってすまん。病院へ行ってた。あいつがまた手首を切った。
医者には入院を勧められてる。
約束を破ってすまん。病院へ行ってた。あいつがまた手首を切った。
医者には入院を勧められてる。
To:キョン
あいつって?手首を切ったって、どういうことよ? 入院って、何よ、それ?
あいつって?手首を切ったって、どういうことよ? 入院って、何よ、それ?
To:ハルヒ
事故の相手だ。あいつは不安定だ。今は目を離せない。帰ったら詳しく話す。
事故の相手だ。あいつは不安定だ。今は目を離せない。帰ったら詳しく話す。
*
To:ハルヒ
誕生日、おめでとう。
誕生日、おめでとう。
To:キョン
自動発信のバースデイメールなんてよこして、むかつくわ。
自動発信のバースデイメールなんてよこして、むかつくわ。
あんたがいない誕生日なんて、最悪よ。
To:キョン
キョン、なんとか言いなさい!!
キョン、なんとか言いなさい!!
To:ハルヒ
あいつがいてメールできない。しばらくメールしてくるな。絶対、連絡する。
あいつがいてメールできない。しばらくメールしてくるな。絶対、連絡する。
To:キョン
キョン、事故の相手って、リストカットしたのって、女の子?
キョン、事故の相手って、リストカットしたのって、女の子?
To:キョン
ねえ、キョン、《彼女》は今どこにいるの?
ねえ、キョン、《彼女》は今どこにいるの?
To:キョン
答えなさい、キョン!
答えなさい、キョン!
To:キョン
あんたはお人よしだから利用されてるのよ!
あんたはお人よしだから利用されてるのよ!
あんたがいなくなったらまた別の人にそうするわ。
それが、どうしてわからないの!?
To:ハルヒ
いまさらこんなことを言って、俺は卑怯者だと思う。おれはハルヒのことが好きだ。だが、目の前のこいつをほっとけない。
いまさらこんなことを言って、俺は卑怯者だと思う。おれはハルヒのことが好きだ。だが、目の前のこいつをほっとけない。
*
To:ハルヒ
あなた、だれ?
あなた、だれ?
To:ハルヒ
キョンの何なの?
キョンの何なの?
To:キョン
キョンの携帯、勝手につかって! あんたこそ、誰よ!?
キョンの携帯、勝手につかって! あんたこそ、誰よ!?
To:ハルヒ
へえ、あなたがハルヒなんだ?
何度アドレス消しても、ハルヒって人だけは復活するの。 故障かなんかかとおもったわ。
へえ、あなたがハルヒなんだ?
何度アドレス消しても、ハルヒって人だけは復活するの。 故障かなんかかとおもったわ。
To:ハルヒ
ねえ、あなた、生きてる人?死んでる人?
ねえ、あなた、生きてる人?死んでる人?
To:キョン
生きてるわよ。あたりまえでしょ。
生きてるわよ。あたりまえでしょ。
To:ハルヒ
そう。わたしはもうすぐ死ぬわ。でもキョンは渡さないから。
そう。わたしはもうすぐ死ぬわ。でもキョンは渡さないから。
To:キョン
ちょっと、あんた、何いってんの?
ちょっと、あんた、何いってんの?
To:ハルヒ
Sleeping Beauty。永遠に眠って目を覚まさない。だからキョンはわたしを起こし続けるわ。ずっとそばにいてくれるのよ。彼がわたしを置いていけない人間だって、あなただって知っているでしょ?
Sleeping Beauty。永遠に眠って目を覚まさない。だからキョンはわたしを起こし続けるわ。ずっとそばにいてくれるのよ。彼がわたしを置いていけない人間だって、あなただって知っているでしょ?
To:キョン
キョンはお人よしよ。やさしくて、困った人間を見捨てて置けない。口ではなんといおうとね。あんたはそこにつけこんでるのよ。
キョンはお人よしよ。やさしくて、困った人間を見捨てて置けない。口ではなんといおうとね。あんたはそこにつけこんでるのよ。
To:ハルヒ
ふん、ずいぶんとお利口さんだこと。そこまでわかってるなら、あなたにはもうキョンは必要ないわ。あなたは強い人よ。さあ、さっさと自分の道を歩いていきなさい。キョンは誰にも渡さないわ。
ふん、ずいぶんとお利口さんだこと。そこまでわかってるなら、あなたにはもうキョンは必要ないわ。あなたは強い人よ。さあ、さっさと自分の道を歩いていきなさい。キョンは誰にも渡さないわ。
To:キョン
あんたはキョンの弱みにつけこんで、すがって、ただ依存しているだけ。
あんたはキョンの弱みにつけこんで、すがって、ただ依存しているだけ。
To:ハルヒ
じゃあ、あなたはどうだっていうの?
じゃあ、あなたはどうだっていうの?
To:キョン
愛し合ってるわ。
愛し合ってるわ。
To:ハルヒ
はあ?
はあ?
To:キョン
愛し合ってる。あたしはあいつを愛してるし信じてる。あいつはあたしのことを愛してくれているし信じていてくれてる。
愛し合ってる。あたしはあいつを愛してるし信じてる。あいつはあたしのことを愛してくれているし信じていてくれてる。
To:ハルヒ
妄想もそこまでいくと怖いわね。何を証拠に?
妄想もそこまでいくと怖いわね。何を証拠に?
To:キョン
じゃあ、あんた、いま誰にメールしてるの?
じゃあ、あんた、いま誰にメールしてるの?
To:キョン
なんで見ず知らずのあんたが、あたしにメールできるの?
なんで見ず知らずのあんたが、あたしにメールできるの?
To:キョン
あんたとあたしをつないでるのはキョン。キョンがどちらかの手を離したら、あたしたちは永遠にメールを交わすこともなかったわ。
あんたとあたしをつないでるのはキョン。キョンがどちらかの手を離したら、あたしたちは永遠にメールを交わすこともなかったわ。
To:キョン
あたしを、あたしたちを、なめないことね。
あたしを、あたしたちを、なめないことね。
To:ハルヒ
いまさら、あなたに何ができるっていうの?
いまさら、あなたに何ができるっていうの?
To:キョン
決まってるわ。あんたを叩き起こして、キョンを取り返す。死のうたって、そうはいかないわよ!
決まってるわ。あんたを叩き起こして、キョンを取り返す。死のうたって、そうはいかないわよ!
To:ハルヒ
せいぜい遠くで吠えてなさい。わたしたち、一緒に暮らしているのよ。
せいぜい遠くで吠えてなさい。わたしたち、一緒に暮らしているのよ。
To:キョン
そう。まあ、そんなことだろうと思ってたけど。
そう。まあ、そんなことだろうと思ってたけど。
ガチャリ
「おかげで探す手間がはぶけたわ。キョンはでかけてるのね」
「あ、あなた! 誰? まさか、ハルヒ? どうして?」
「二人で不動産屋巡りして探した部屋よ。合鍵くらい持ってるわ。夜行バスで、今朝にはこっちについてたの。強襲しようと思ってたけど、このタイミングでメールがあるなんてね」
「ハルヒ! おまえ?」
「ちょうどいいところに帰ってきたわね、キョン。修羅場をやりに来たわよ。また、あたしひとり蚊帳の外ってどういうこと? 一人で悩むなって言ってたのはあんたでしょ!」
「ハルヒ、こいつは病気なんだ。悪いと思ってる。しかしな……」
「ストップ。キョン、あんたにとってはこの娘は、病人で庇護の対象だろうけど、あたしにとってはただの恋がたきよ。さあ、名無しのあんた。どうするの? 悔しかったら、ここまで上がってきなさい!」
「な、なによ! あんたが先に出会っただけじゃないの!」
「だけじゃないわ。あたしも逃げようとしたことがある。でもね、あたしたちは選んだの、この世界をね。『夢』っていうんでしょうけど、キョン、あたしはあれを忘れる訳にはいかないの。あそこから、あたしたち、始まったんだもの」
「ば、ばかじゃないの? こんな男に固執して」
「名前は聞かないでおいてあげるわ。今度会った時、名乗れる名前があるように」
「もう会わないわ。あんた最悪よ」
「あ、あなた! 誰? まさか、ハルヒ? どうして?」
「二人で不動産屋巡りして探した部屋よ。合鍵くらい持ってるわ。夜行バスで、今朝にはこっちについてたの。強襲しようと思ってたけど、このタイミングでメールがあるなんてね」
「ハルヒ! おまえ?」
「ちょうどいいところに帰ってきたわね、キョン。修羅場をやりに来たわよ。また、あたしひとり蚊帳の外ってどういうこと? 一人で悩むなって言ってたのはあんたでしょ!」
「ハルヒ、こいつは病気なんだ。悪いと思ってる。しかしな……」
「ストップ。キョン、あんたにとってはこの娘は、病人で庇護の対象だろうけど、あたしにとってはただの恋がたきよ。さあ、名無しのあんた。どうするの? 悔しかったら、ここまで上がってきなさい!」
「な、なによ! あんたが先に出会っただけじゃないの!」
「だけじゃないわ。あたしも逃げようとしたことがある。でもね、あたしたちは選んだの、この世界をね。『夢』っていうんでしょうけど、キョン、あたしはあれを忘れる訳にはいかないの。あそこから、あたしたち、始まったんだもの」
「ば、ばかじゃないの? こんな男に固執して」
「名前は聞かないでおいてあげるわ。今度会った時、名乗れる名前があるように」
「もう会わないわ。あんた最悪よ」
「ハルヒ……」
「夜行バスで今朝着いたばかりなの。一睡もしてないわ」
「あ、ああ。少し眠るか」
「……キョンと出会ってなかったら、あたしがあの子だったのかな……?」
「ちがう。誰がなんと言おうと、おまえはおまえだ」
「それはそうと、キョン、一発殴らせなさい」
「お、おお」
ばきっ
「あと胸をちょっと借りるわよ。……泣こうと眠ろうと、あたしの勝手だから、何も言わないでよね」
「夜行バスで今朝着いたばかりなの。一睡もしてないわ」
「あ、ああ。少し眠るか」
「……キョンと出会ってなかったら、あたしがあの子だったのかな……?」
「ちがう。誰がなんと言おうと、おまえはおまえだ」
「それはそうと、キョン、一発殴らせなさい」
「お、おお」
ばきっ
「あと胸をちょっと借りるわよ。……泣こうと眠ろうと、あたしの勝手だから、何も言わないでよね」
● ● ●
To:キョン
で、今度の休みも帰って来ないつもり?
で、今度の休みも帰って来ないつもり?
To:ハルヒ
バイトだ。やましいことは何もないぞ。
バイトだ。やましいことは何もないぞ。
To:キョン
あたしは何も言ってないわよ。胸に覚えがあるのかしら?
あたしは何も言ってないわよ。胸に覚えがあるのかしら?
To:ハルヒ
誰かさんが泣いてた感触なら胸に残ってるぞ。
誰かさんが泣いてた感触なら胸に残ってるぞ。
To:キョン
次、あったとき、胸に穴開くぐらい殴るからね。
次、あったとき、胸に穴開くぐらい殴るからね。
To:ハルヒ
ところでハルヒ、入っていいか?
ところでハルヒ、入っていいか?
To:キョン
え、え、え? キョン? あんた、いま、どこにいんのよ?
え、え、え? キョン? あんた、いま、どこにいんのよ?
To:ハルヒ
ドアの前だ
ドアの前だ
To:キョン
すぐそこにいるのに、何のメールよ!?
すぐそこにいるのに、何のメールよ!?
To:ハルヒ
大事なことは、面と向かって言うんだったろ。
大事なことは、面と向かって言うんだったろ。
ガチャリ