伊豆山中での出来事。
 山奥で数人の石工が石の切り出し作業を行っていました。彼らが休憩を取っているとどこからともなく場違いな格好のチャラい女がやって来たので一同おおいに驚いた。やたら綺麗なんだけど、頭とか尻とかがヘリウムなみに軽そうな女で、しかも「ちょりーっす、っつーかマッサージにきたんですけどー」みたいなことを言いやがる。石工たちは「えっ、誰の頼んだデリバリー?」「何分コース?」「どこまでOk? どこからNG?」とやたら真剣な面持ちで互いに訊きあうのですが、しかしそんなサービスを頼んだ者は誰もいないし、そもそも仮にそういうサービスに連絡した人がいたとして、こんな山奥まで営業エリアに含めて商売している業者などいるはずがない。なんという怪奇。

 しかしまあ、若い娘が揉んでくれるというのをむげに断る道理もないだろう。そんなあまりにも当然過ぎる結論に達し、石工たちはこの怪しい嬢に按摩をしてもらうことにしました。だって男の子だもの。しょうがないよね。
 そしたらもう、あれですよ、この嬢のテクニックがもんのすごくてね。揉まれた客はあまりの気持ち良さに恍惚のヘブン状態となり、すやすやと入眠してしまうのでした。

 嬢のテクによって次から次へと果ててゆく仲間たちを見た石工の一人はこれを大いに怪しみ、その場をそっと離れます。そしてたまたま近場で狩りをしていた猟師と出くわしたので事情を話して相談すると「おそらく狐狸の類だろう」ということになり、石工は猟師を連れて採掘場へと取って返します。みんな目を覚ませ。それはまやかしのヘブンなんだ。間に合ってくれ!

 そして放たれた猟師の一撃。弾丸が嬢の体を貫くと、カチーンと石の割れるような音をたてて女はその場に倒れました。二人が駆け寄ると嬢の姿はそこになく、ただ割れた石のかけらが散乱しているばかり。おそらくは石の精が人間の形を取り、石工相手によからぬサービスを企んだものだったのでしょう。

 ちなみに、嬢のマッサージサービスを受けた石工の背中には石で引っ掻いたような傷がたくさんついていて、これがなかなか治癒せず、薬物療法を用いてようやく平癒。なまはんかな性病なんかよりもよっぽどタチが悪かったのだとか。
 石工たちは「信用のおける店以外の嬢に手を出すと痛い目に遭う」といって、その後はチャレンジャブルな遊びを控えるようになったとのこと。めでたしめでたし。




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