西洋の妖術を極めた化けだぬき。別名「魔法様(まぼうさま)」。かっけー!

 南蛮との交易が活発になった時代のこと。カトリックの宣教師たちに紛れてキュウモウ狸も日本へとやって来たといわれます。彼は日本中を見物して歩いたのち、現在でいう岡山県加茂川町あたりの廃坑に定住したのだそうです。
 月夜の晩になるとラテンの血が騒いだものだったのか、「サンヤン、サンヤン」と奇声をあげて踊りまわっていたとのこと。なんだかほほえましい。

 このたぬきはただ陽気なだけでべつだん何か悪さをするということもなく、たまに人間に化けては田植えを手伝ったり地元主催の盆踊りに参加してファンキーかつダンサブルに踊りまくる程度のことくらいしかせず、地元の人たちからは褒められもせず苦にもされずにおったのですが、ある日突然「あっ、おれ、これからは村の牛馬の守り神になります。あと、火災とか盗難とか起こりそうな時はおれが予知してみんなに知らせます。ほんと今までお世話になりました」とやたら殊勝なことを言い残し姿を消したのでありました。村人たちは魔法様の決意にたいそう感心し、「魔法宮」という中二的なネーミングのお宮を建ててたぬきを祀り、そうして縁日ともなると参詣の牛馬がお宮に列をなしたものだったそうです。

 ちなみに、このたぬきは日本人に化けるのが微妙に下手で、彼が化けた人間は「短足」「髭が濃すぎる」「顎が細すぎる」「口が尖りすぎる」といった特徴があり、速効で正体がばれることもしばしば。そんな時キュウモウ狸は「すまん、すまん」と言って逃げ出したのだそうです。うーん、すべてのエピソードがやたらほほえましすぎる。なんとなく日本の田舎に住み着いて毎日作務衣とか着てニコニコしている親日家の外人さんをイメージしてしまいます。


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