樺太アイヌに伝わるおなら妖怪。「オッケ」=「放屁」、「ルイ」=「猛烈にすぎる」、ペ=「者」だそうで、訳すとスーパー放屁人といったくらいの意味になりますかね。オッケオヤシ(放屁おばけ)とも言います。

 アイヌのみなさんが囲炉裏を囲んで団欒していると、ポアという音と、やたら強烈なおならの臭いがする。しかも連発。あまりに臭いので子どもたちの間では犯人捜しが始まる。こういう時にえてして持ち前の残酷性を発揮するのが子どもというものです。キッズどもはもっとも括約筋の緩そうな長老さまをちらちら見てはひそひそ言い合うわけ。
「ぜってーあの爺だわ」
「きっとそうよ。なぜって、さっきのおならは死臭のような臭いが入り混じっていたもの」
みたいなことを言って子どもたちがくすくす笑うのに気づいた長老は自らの冤罪を晴らすべく、以下のような話をするのであった。
「今のはオッケルイペという妖怪のしわざで、きゃつはさしたる意味もなく部屋中に屁の音と臭いを漂わせる悪行妖怪なのじゃ。これを除けるには、対抗してこちらも屁をこくと良いそうじゃよ」
 これにはキッズも失笑ですよ。ははは。なに言ってんのこの爺。こちとら屁が臭いから迷惑してんのに対抗して屁をこいてどうすんだよ。根本的な解決になってないじゃん。もう少しよく考えてから発言しろよ。そんなトンガリキッズの総攻撃に長老涙目。年長者の威厳も地に落ちてしまいました。

 たしかに子どもたちの言うとおりですが、それでも長老はくじけなかった。長老はべそをかきながらも「いや、本当に屁をこかなくともよいのじゃ。おならの口まねをしてもよいんじゃよ」と弁明し、頭上のサパンペ(冠)がずれ落ちるほど激しくヘッドバンギングしながら「ポア」「ポア」「ポア」と1秒間に10回おならの口まねをしたところ、その哀れさと滑稽さの混在した老人の所作がキッズどもに大ウケ。かくして長老はキッズの人気と信頼を取り戻し、夜ごとオッケルイペのお話とモノマネをねだられるようになったのであった。やがて爺の話は子どもたちの欲求を満たすためにジャンプの連載マンガのごとくエスカートしていき、そのせいかどうかは知らねども、現在では「オッケルイペはおならの波動で船を破壊する」「その正体は漆黒の妖狐」という話まで伝わっているのです。






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