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 加賀国大聖寺の家中に津原徳斉というおっさんがいて、ある晩近所で会合だか飲み会だかがあって、「ノミニュケーションも大事じゃから」みたいな言い訳で自己を正当化しつつ夜更けまで近所の庵で過ごしていたんだそうです。ノミニュケーションなんて今や死語なのでこうしてタイピングするのも恥ずかしいくらいなのですが、いかんせん津原氏はむかしのひと、江戸時代のひとなので仕方がありません。江戸時代なんてしょせんそんなもんです。

 で、会合を終えた津原氏が耳聞山の松林のあたりを歩いていたら、提げていた提灯の灯がふっと消える。せめて携帯電話でもあればよかったんでしょうが、なにぶんこいつは江戸時代のひとなので、そのようなクールなツールは持ちあわせていないわけです。あたりは真っ暗。元来た道を戻るのはめんどいが、さいわい道のずっと先には誰かが提げた提灯の明かりがうすぼんやりと揺れている。津原氏が明かりを目指して暗闇をてくてく歩いて行くと、あるところで明かりが立ち止まり、提灯を提げた女が津原氏を見ながらにやにや笑っている。
「なんじゃこのアーパーギャルは。すこしプッツンしとるのかのう」
 津原氏がそんなことを考えながら眉をひそめていると、なぜか女は巨大化し、なんと顔の長さだけで一丈(約3メートル)にもなったそうです。これには津原氏もたまげて、「なんという、やまだかつてない大きさじゃ!」と叫んで一目散に逃げ出したとのこと。

 まあ、さしたる思い入れもない妖怪ですが、なんか急に「やまだかつてない」という形容詞を使いたくて使いたくて矢も楯もたまらなくなったので紹介しました。男にはそういう夜もある。


参考:水木先生の描く「長面妖女」(やまだかつてなく似てる)





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