ウリッセ・アルドロヴァンディの『怪物誌』で紹介された特異変態の怪生物。まず、海岸に松のような植物の木が生えて実がなる。その実が海に落ちるとエボシガイとなり、そのエボシガイが海中で変異して雁になり空へと飛び立ってゆく、というもの。

 植物→貝類→鳥類という常軌を逸した変態をするこの生物の存在が、中世ヨーロッパでは特に何のツッコミも入らないまま一般に周知されていたというのだから、生物学的無知を逆手に取った中世の連中の想像力はすばらしいですね。科学の檻に囚われた僕らの脳みそはまったくこうはいかない。植物→貝類→鳥類という変化は、ポケモン進化でいったらチコリータ→シェルダー→ルギア爆誕、みたいな狂気の沙汰ですから、小利口なポケモンキッズがこのような進化を目の当たりにした場合、当然バグかなんかだと思って任天堂に電話をするわけ。そうすると、たまたま電話に出た宮本とかいう人がとりあえずソフトを送ってくれみたいなことを言う。言われるままにソフトを送ってみたら、程なくプログラムが修正されたソフトと宮本という人の直筆手紙が送られてきて、「せっかく発売日に買って、楽しく遊んでいたのに非科学的な進化ばかりで残念だね。だから僕が田尻に内緒でプログラムを修正しておきました。君は小学生だからお金が無いでしょう? お金があまりないなかゲームを購入してくれた君からデバッグ料を取る事は出来ません。今回はおじさんが直して上げるから田尻には黙っておいてね 宮本茂」みたいなことが書いてある。なんと以前電話で話したおじさんは、マリオの生みの親・宮本茂さんだったのです! しかも偉い宮本さんが、たかだか小学生の電話にこんなにも丁寧な対応をしてくれるなんて信じられない!……そんな任天堂の神対応神話が新たに生まれかねないくらい、バーナクル・グースの進化システムは21世紀の御代においては想像どころか容認することもたやすくはないわけです。頭の中の自然科学知識をすべて捨て去ることが出来れば、僕らもバーナクル・グースのようなタガの外れたゆかいな想像を巡らせて生きていけるのに、まったくもって残念な話。中世の人とかって絶賛うらやましいですよねー。




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