コンゴ奥地・テレ湖近辺で目撃される水陸両棲のUMAで、その正体はアパトサウルス説が有力。
 名前の由来は「虹」。雨上がりに目撃されることが多いためであるという。体長は5~15メートル、歩幅は2~2.5メートル、足跡は円周90センチ。胴体は赤茶、茶色あるいは暗褐色、ところどころに黒っぽい文様あり。表皮はスベスベしたかんじ。首、尾、共に長く、頭は三角形。草食性だが性格は攻撃的ともいわれる。
 1980年代前半にシカゴ大学のロイ・マッカル博士が数度にわたり行なった現地調査が有名であるが、1988年には早稲田大学探検部も調査を行い、ムベンベの好物は従来の定説であった「モロンボ」という木の実ではなく「マボンジ」という植物である、といったようなわりとどうでもよい新事実を明らかにしたりしている。

*ピグミー村落全滅事件の言い伝え
19世紀末頃。ピグミー族がテレ湖周辺の小さな沼にマニオック(イモの一種)を植えて暮らしていた時のこと。数匹の怪獣に湖を荒らされてマニオックが作れず困り果てた村人は、怪獣を殺すことにした。村人は流水口に作った四重の柵で足止めした怪獣に一斉に襲い掛かり、手にした槍で刺し殺した。ピグミーは三日がかりで死体を解体し、その肉を食べた。しかしその直後、肉を食べた村人たちは残らず死んでしまった。生き残ったのは旧ボア村に出かけていて肉を食べることのなかった少女一人だけだった。


 というわけで、男の子なら誰もが一度は夢見るテレ湖探検。しかし世の中にはそんな男子のクールな夢想に水を差す輩がいるわけです。そういう連中はきまって諭すように「いいですか、モケーレ・ムベンベなんてものはいませんよ」なんてことを言う。何がいいですかだこのやろう、と僕は思うわけです。僕が頬を膨らませてさも不服そうに黙り込んでいると、彼らはたたみかけるようにこんなことを言う。
「あのねいいですか、ムベンベの体長が15メートルでしたっけ? それに対してテレ湖の水深は2メートルくらいなんでしょ。常識的に考えて、そんな水深の浅い湖にその怪獣が身を隠せるわけがないでしょう? 少し考えればわかるでしょう?」
 果たして本当にそうでしょうか。僕はそれが常識だとは思いません。論理の帰結だとは思いません。むしろ彼らは自らの想像力の欠如を常識や道理といった言葉にすり替えているに過ぎないとさえ思います。
 僕が思うに、ムベンベはゲッター2みたいなドリル状の器官を備えていて、湖底に穴を掘ってその巨体を隠しているのだと思う。そして湖底を更に掘り進んだ先には大空洞の地底世界が広がっていて、数千頭のムベンベが暮らす数万ヘクタールの畸獣楽園が存在しているのだと思う。ピグミー族や調査隊の目撃情報によればドリルに関する言及は一切ないので、きっと普段は目に見ることのできない口の中とかにドリルが収納されているのだと思う。わたしの推論を図にあらわすと以下のようになる。


 かように未知動物学というものは、多分に想像力を試されるフィールドの学問であると思う。




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