全国に分布する昔話類型の一。

 あるところに、平均的な家庭所得の一家がおりました。その家の主婦が夕餉の支度に立ち働いていると、台所にふらりと猫がやって来て、魚を盗んで逃げてゆくわけです。逆上した主婦はサンダルも履かぬまま追跡を開始。その恐るべき健脚でもって猫を捕らえ、イタズラが過ぎた弟を殴りつけるのと同じ要領でどつきまわしたところ、あわれその猫は絶命してしまいます。
「ばっかもーん。いくらなんでも殺すやつがあるか!」と父親に怒られる主婦。
「へへへ。姉さんもうっかりしてらあ。相変わらずのおっちょこちょいだね」
「なんですってー。カツオ待ちなさーい」
「こらっ、まだ話は終わっとらん! お前はどうしていつもそうなんじゃ!」
「はーい。反省してます……」
そんなおなじみのシークエンスの後、猫の死骸処理は気弱な娘婿に押しつけられ、マスオは庭のすみっこに掘った穴に死骸を放り捨てたのでした。

 翌年。庭にどでかい南瓜が生っているのをタラオが発見してママに報告。そこがペットセメタリーであったことなどうっかり者のサザエはとうに忘れているものだから、「母さーん、見て見て、庭でカボチャが採れたわよー」なんつって、嬉々としてカボチャの煮つけを作り始めます。そして味見をしてみたところ、「んがぐぐ」なる奇声を発したのち白目を剥いて昏倒、失禁、痙攣、チアノーゼのクリティカルコンボ発動。どうなる日曜の夕方六時半枠!

「いてててて、僕じゃないよー」
 耳を引っ張られながら波平の説教部屋に連行されるカツオ。
「料理に猛毒を入れるなんてイタズラ、他に誰がするのだ! みろ、サザエがひきつけを起こして死にそうではないか!」
「僕じゃないってばー」
「いいやお前だ! じつにくだらん!」
 堂々巡りの尋問が続くなか、「こんにちはー」と玄関で呼ぶ声がある。フネが応対に出てみると、そこにいたのは旅の六部。「この家に何ごとか怪事がありませんでしたかな?」なんてことを言う。フネが事のあらましを伝えると、六部は得心したように頷き、「カボチャの蔓の根元を掘るがよいでしょう」と助言して去って行くのでした。

 アドバイスに従って礒野一家がカボチャの根元を掘ってみたところ、その蔓は猫の死骸の真っ赤な口からぐねぐねと伸びていたのだとか。


  • 原因は分かったけど、事件は解決していないッ?! - XASH 2009-06-29 10:36:16
    • 彼らの棲む幻想第六次半では、キューッとすぼまった円の中にトリミングされた人物が「もうこりごり!」みたいなことを言えば万事解決しリセットされるという、とてもいかれた世界ですよ! - ヒモロギ 2009-06-29 22:02:41
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