熊野山中に現れる妖怪。

 姿かたちはハイティーンの女子。やたら美人なんだそうです。その美人が、人気のない夕間暮れの山中で「ホーホー」と笑いながら道ゆく男に近づいてくる。そんな女、どう考えてもイカれてますよね。でもまあ、男子はかわいい女子の前だと思考が停止するので「あ、どもー」などと気さくに挨拶を交わしてしまうのですが、これがよくない。

 先方も更に調子に乗って「あー、そーだー、あたしー、火ー貸してほしーなー」などと、ドンペリをねだるキャバ嬢のごとき猫なで声で不思議なことを要求してくる。もう本当に怪しいことこのうえないんだけど、男子には「美女と相対すると危機管理能力の実行モードが無効化される」という脆弱なセキュリティホールの存在が確認されているので、警戒もせず女に提灯を渡してしまうわけ。

 そうすると、美人はおもむろに渡された提灯を吹き消す。事ここに至っても、男子のほうはといえば「あれっ、この娘は恥ずかしがり屋さんなので、明かりを消してまわりを真っ暗にしたのかな」などと全く見当違いのことを考えてデレデレしておるわけ。本当に男子って馬鹿だよね。この不具合はもはや小手先のパッチ修正とかでは解決できないレベル。

 かくして妖怪は暗闇でその本性を現し、馬鹿な男子の肉を吸い取ってしまうのです。「肉を吸い取る」という表現がいたく豪快ですね。こいつにやられた男は、バッファローマンのロングホーンに超人パワーを吸い取られたキン肉マンのように干からびて死にます。


 ある猟師が山中で身の丈6メートルのもののけと遭遇戦を行い、「南無阿弥陀仏」と彫りこんたダムダム弾を撃ち込んで辛くも勝利したことがありました。斃した妖怪は骨と皮ばかりで肉が全くついていなかったそうで、このキン骨マンみたいなやつが肉吸いの正体だと言われています。



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