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 名前だけ聞くと『高橋名人の冒険島』に出てくる敵キャラのようにも思えますが、さにあらず。このひとの活動範囲は冒険島ではなく比叡山延暦寺の東塔周辺であり、「比叡山の七不思議」に数えられる由緒ある妖怪なのです。  このひとは茄子のような紫の顔色をしていて、夜な夜なお寺を徘徊しては坊主どもをどっきりさせたそうです。かつて宮仕えをしていた女が殺人を犯して一度は地獄へ堕ちたものの、み仏の慈悲で比叡山に住むことを許され、その代わり「顔色が紫」というサイケなグラフィックに仕様が変更された……というのがこの妖怪の出自。にしても、それって本当に慈悲なのか。ただの嫌がらせじゃないのか。  元亀年間のこと。比叡山の上人さまが稚児の尻の双丘に水飴を塗るなどしてリビドーを発散させておったところ、若い僧が息せき切って部屋に飛び込んできたので驚いた。聞けば、なぞの女が鐘撞き堂に出現したというのだ。 「拙僧は女には興味がござらぬでの」 みたいなことを言って稚児尻に水飴を塗る作業に戻ろうとする上人さまに対して、なおも若い僧は事態の怪奇性を強く訴えるのであった。 「その女は『フィフスエレメント』のオペラ歌手みたいな顔の色をしていて、とち狂ったように鐘撞き堂の鐘を連打しております。怪しすぎます。何かの前兆にちがいありません」  しかし上人さまは取り合わず、顔にミキプルーンでも塗りたくってんじゃねーの、そういう性癖もアリっちゃアリだろ的冷淡な態度で若い僧をあしらい、そして稚児にハケを渡し今度は自分の臀部に水飴を塗らせる工程に移行しようとしている。そんな性癖の理解者はてめえだけだろ、と口が裂けても言えなかった小心者の僧は、失意のあまり仏の道なかばにして比叡山を下山。それから少し経った元亀二年九月。比叡山は織田信長の焼き討ちに遭い、数多の伽藍と僧侶たちは燃えさかる業火に呑み込まれ灰燼に帰したのであった。 #pcomment(reply,enableurl)
 名前だけ聞くと『高橋名人の冒険島』に出てくる敵キャラのようにも思えますが、さにあらず。このひとの活動範囲は冒険島ではなく比叡山延暦寺の東塔周辺であり、「比叡山の七不思議」に数えられる由緒ある妖怪なのです。  このひとは茄子のような紫の顔色をしていて、夜な夜なお寺を徘徊しては坊主どもをどっきりさせたそうです。かつて宮仕えをしていた女が殺人を犯して一度は地獄へ堕ちたものの、み仏の慈悲で比叡山に住むことを許され、その代わり「顔色が紫」というサイケなグラフィックに仕様が変更された……というのがこの妖怪の出自。にしても、それって本当に慈悲なのか。ただの嫌がらせじゃないのか。  元亀年間のこと。比叡山の上人さまが稚児の尻の双丘に水飴を塗るなどしてリビドーを発散させておったところ、若い僧が息せき切って部屋に飛び込んできたので驚いた。聞けば、なぞの女が鐘撞き堂に出現したというのだ。 「拙僧は女には興味がござらぬでの」 みたいなことを言って稚児尻に水飴を塗る作業に戻ろうとする上人さまを制して、なおも若い僧は事態の怪奇性を強く訴えるのであった。 「その女は『フィフスエレメント』のオペラ歌手みたいな顔の色をしていて、とち狂ったように鐘撞き堂の鐘を連打しております。怪しすぎます。何かの前兆にちがいありません」  しかし上人さまは取り合わず、顔にミキプルーンでも塗りたくってんじゃねーの、そういう性癖もアリっちゃアリだろ的冷淡な態度で若い僧をあしらい、そして稚児にハケを渡し今度は自分の臀部に水飴を塗らせる工程に移行しようとしている。そんな性癖の理解者はてめえだけだろ、と口が裂けても言えなかった小心者の僧は、失意のあまり仏の道なかばにして比叡山を下山。それから少し経った元亀二年九月。比叡山は織田信長の焼き討ちに遭い、数多の伽藍と僧侶たちは燃えさかる業火に呑み込まれ灰燼に帰したのであった。 #pcomment(reply,enableurl)

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