人間冷凍保存(クライオニクス)の小説

時を超えて

※この物語はフィクションです

2030年8月2日。俺の彼女が死んじゃった。末期の癌だった。 俺は彼女をこれから冷凍保存する。ロシアにある、クリオルス社の冷凍庫に、花子を日本から飛行機で運び冷凍保存する。

彼女は、生前、冷凍保存の話をすると笑った。『そんなの無理じゃん。冷凍した魚だって生き返らないのよ?』花子は半信半疑だ。しかし、俺は言った。『やってみなきゃ分からないだろう』

俺はロシアのクリオルス社に連絡をし、契約を交わした。


花子の死体を冷凍して、2200年頃の未来の技術で生き返るって言ってた。花子は死ぬ2か月前、ロシアにある冷凍保存の会社、クリオルスと契約をした。36000ドルをロシアに前払いし、花子は冷凍保存されることが決まった。。『100年後にまた会えるから寂しくないよ』と、よく言っていた。花子は死ぬとすぐに日本の病院からロシアの冷凍保存庫に運ばれた。白いタンクの中に入る。

月日は流れ、2060年。私は60歳になる。花子を冷凍保存して50年の歳月が過ぎた。ロシアから一通の手紙が届く。何?何? 『ついに解凍技術が完成しました』 ロシアでは既に400人が解凍されているらしい。 

私ははやる気持ちを抑え、飛行機に乗りロシアへ行く。ロシアのクリオルスの人たちに会う。これから、冷凍保存されているタンクから花子を取り出す。昔のままだ。時間が止まったかのように。

脳を取り出す。取り出した脳を、iPS細胞で作った体が、機械の体どちらか選べるという。私はiPS細胞で作った体を希望した。

花子を冷凍保存のタンクから取り出し、iPS細胞で作った体に移植する手術が始まった。待つこと4時間。『手術が終わりました』 私はおそるおそるドアを開ける。…花子? 大変驚いた様子でこちらを見ている。奇跡は…起きた。

※花子が死に、冷凍保存された当初、2030年には、解凍は150年くらいになると言われていた。しかし、人工知能などが登場し、それらが医療の開発に携わり、技術が大幅に伸びた。150年と言われていた解凍の予想が、100年、80年とどんどん短くなり、わずか50年の年月で人間の解凍することができるようになったのだ。

続く

※この物語はフィクションです
最終更新:2020年05月14日 16:05