勝手にコンサルティング福井
座・タイムリーふくい(20070811)
最終更新:
c291
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定点観測
観測対象
- 座・タイムリーふくい(2007年8月11日放送分)
テーマ
- 地方と都市の格差を考える
出演
司会
ゲスト
- 丸岡町文化振興事業団 事務局長 大廻政成
- 映像作家 小鶴
- 共同通信社 福井支局長 栗山孝夫
観測結果
今回のテーマはデカ過ぎて、何を書いていいかよく分からん。格差と言うからには単位が人でも円でも、何か目盛りがついた物差しで差を計ることが議論の始まりだ。しかし計測不可能な郷愁とか、故郷への愛情とか、若者の憧れとかに主軸が置かれていて、「そっちに行っても何も出てこないぞ~」とテレビに向かって呼びかけたくなるくらいもどかしい感じだった。松枝アナは出来るだけテーマにそった議論に誘導しようとしているのだが、努力の甲斐なくグダグダになってしまった感じ。
そのグダグダの原因の大半は大廻氏にあったことは明らかだ。テーマや場の状況に沿ったやり取りをしているとは感じられず、色んな場面に当てはまる使い慣れたフレーズをテーマや文脈を踏まえずに連発していた印象。一筆啓上賞で一躍有名人になった氏は、それなりに面白い視点で的確に語れる人なのかと思ってたが、乱暴にも今回のお話だけで判断すればツマラナイ人だ。まあ故郷へのこだわりも悪くないと思うけど、三国町との融和もヨロシクお願いします。
などと思いながら見ていたら、結局はワイルドカードである「教育」に行き着いてしまった。そりゃ「教育見直し」と言っておけば楽チンなのは分かるし、時の総理大臣からして就任早々ワイルドカードを切るようなご時勢だから、まあ仕方ないという気もする。俺は議論の中で教育論を持ち出されると、反射的に「こいつは問題解決を放棄した」と理解する悪い癖があるので割り引いて読んで欲しい。とりあえず教育は突破口として受け入れやすい結論なのかもしれない。
共同通信の栗山支局長は面白い人選だと思ったが、さすがに着任10日そこそこでは福井固有の問題点まで指摘できないのは仕方ない。東京から来た東京出身者だけに、格差格差と言われている状況に対する東京の言い分は注目で、「意識すらしていない」は都市生活者の本音だろう。まあ松枝アナも言っていたが、慣れてきた頃にまた話を聞いてみたい。
小鶴さんは、ここに移転する前のサイトでコメント頂いて以来で「どうも」です。この番組はどうしても福井のネガティブな部分を見る番組なんで、小鶴さんには向いてない印象。その中で「魅力ある仕事の選択肢や情報や企業が無いと、戻って来たいという気持ちもなくなってしまう」って発言はすんなり理解できた。今まで小鶴さんがやってきたことは、若者に人気があり地方での活躍が難しい仕事の代表格だと思うし、現在も地方在住の映像作家としてそのあたりの現実についての話があれば良かった。
やっぱ主役は原渕アナ!
全体として低調な中で「おっ」と思ったのは、原渕アナのこれらの発言…。
「故郷といっても、高校までは家と学校の往復だけだったので思い入れがない」
「地方の会社の情報が全然なくって、結局東京中心に就職活動してた」
「東京の同級生と話すと(福井という田舎町にいることに)劣等感を感じる」
「故郷といっても、高校までは家と学校の往復だけだったので思い入れがない」
「地方の会社の情報が全然なくって、結局東京中心に就職活動してた」
「東京の同級生と話すと(福井という田舎町にいることに)劣等感を感じる」
「ゆうなのコツコツ日記」によると「自分なりの答えを探りつつ、番組に臨みました☆」ということらしい。その意見は就職してまだ数年の20代の女の子の等身大の意見そのままで、ラッピング無しで渡される手作りお菓子のように素朴過ぎる感もあるのだが、現実も知らず制度も理解せず専門家の多様な意見も把握していないくせに、空っぽの中身に過剰包装的なしたり顔でトンチンカンな発言をするキー局の報道系情報番組キャスターなんかより全然良い。議論のスタート地点としては最適の材料だったと思うが、そこからあまり広がらなかったのは残念だ。
発言から原渕アナの過去や内心を妄想すると「高校までは遊びたい気持ちも抑え、そこそこマジメに勉強して、ちょっとした夢や希望を抱えて東京の大学に進学。運悪く新卒採用が少ない時期にあたってしまい、思い通りの就職に成功!とはいかなかったけれど、地方局とはいえテレビの仕事が出来るわけだし、前向きに頑張ってます♪」ってイメージだ。田舎に戻ってきて欲しい優秀な都会の若者って多分こんな感じだろうし、香川県民は「原渕さんは地元に戻ってくれないのかぁ」と落ち込んでるだろう。そんな彼女の「思い入れが無い」「情報も分からなかった」って発言は重要な意味があると思う。
その器量からしてどこでも通用しそうな原渕アナがわざわざ福井にいるのは、キー局並みのセレブ職業とは言えないけれど、それでも立派にアナウンサーといえる仕事が福井テレビにあるからだろう。では福井テレビが悠々と福井に存在している理由は?と考えれば、それは電波をめぐる規制や県域をベースとした既得権のおかげだ。
別に福井テレビを吊るそうって話ではなく、一般的な都会の学生から見て地方のまともな就職先として認知されているところといえば、テレビ、新聞、銀行、電力、教員や公務員・・・あとは農協や商工会議所とかの公益法人くらいのもので、並べてみると全部規制とか既得権にからんで公益性が強い職業ばっかり。要するにどれも広義の公務員なのだ。メーカー中心にそれなりに良い会社があることは何となく予想出来ても、そこが良い職場か?となると地元に住んでる俺でも良く分からないし、自信を持ってYESとは言えない。広義の公務員以外の職業だと世襲という別の既得権が絡んできて、話はさらに面倒だ。
まあ都会を目指すのは、前向きに成長を求める若者としては当然の姿だし、そういう若者が好きそうな仕事は東京に行かなきゃ話にならないって場合が多い。そんな派手な仕事を目指してなくても、自分の人生の安全保障を考慮すると、軽はずみに田舎に戻ることはリスクが大きい。やりがいどころか労働法規遵守すら怪しい会社って場合もあるだろうし、創業家一族が私物化している(自分にとって)ダメな会社って場合もあるし、こりゃヤバイからじゃあ転職と思っても田舎では東京のようにはいかない。
話を端折るが、結局のところ格差是正なんて所得再分配という政治の基本機能で解決すべき問題で、何者かに成ろうと必死にもがいている都会の若者に語りかけるべき話ではない。しかし肝心の政治は?と言えば、2005年衆院選で国民挙げて小泉改革を支持した時点で、格差拡大と地方切り捨てOKのお墨付きを与えたんだし、今さらいろんな悪影響に気付いても巻き戻すのは簡単な話ではない…といつもの結論に戻ってしまうのでした。
(以上越070813)
(以上越070813)
■追伸
再放送やってたんで見てみたが、俺の書いたこと↑もイマイチ各氏の発言と噛み合ってないし、的を得ない批判もあって我ながらヒドイもんだな。修正して書き直したい気もするが、キリが無いので今回はこのへんでギブアップっす。
(以上越070814)
再放送やってたんで見てみたが、俺の書いたこと↑もイマイチ各氏の発言と噛み合ってないし、的を得ない批判もあって我ながらヒドイもんだな。修正して書き直したい気もするが、キリが無いので今回はこのへんでギブアップっす。
(以上越070814)
この回はマジで萎えた。
地方と都市の格差をテーマに掲げておきながら、それについて真剣に考えてるな、と思わせる人物をゲストの中から探し出せなかった。
オレの感度が低すぎるのも原因だろうが、もうなんか残念だ。
地方と都市の格差をテーマに掲げておきながら、それについて真剣に考えてるな、と思わせる人物をゲストの中から探し出せなかった。
オレの感度が低すぎるのも原因だろうが、もうなんか残念だ。
栗山氏は番組冒頭で「小泉擁護・安倍批判」ともとれそうな発言をぶちかました割にはそれに伴う明確な持論や資料も無く、最後まで「ほぼ手ぶらでやって来て終始ニヤニヤと恐縮していた」って印象。
大廻氏は「地方での数少ない成功者」らしく堂々とだけはしていたが、言ってる内容は(少なくともオレには)リアリティのカケラも伝わってこない暴球ばかり。「福井の大多数を構成する成功していない庶民」の顔も声も全く見えていないように感じた。氏は福井のことを「本当に居心地の良い所です」と言っていたが、そりゃ「先生」になっちゃってるんだから居心地が悪い訳無い。高い場所から多発される抽象的な御教訓の数々からは昔ムカついてた学校の教師を彷彿とさせるものがあった。
このオレが言うのもなんだが、持論を撒き散らして啓蒙活動したいのなら、まず最初に現状に対する客観性、もしくは感度の鋭さを「信用の担保」として少しは見せるべきだったのではないだろうか。
このオレが言うのもなんだが、持論を撒き散らして啓蒙活動したいのなら、まず最初に現状に対する客観性、もしくは感度の鋭さを「信用の担保」として少しは見せるべきだったのではないだろうか。
小鶴氏は「今回呼ばれたこと自体が間違っていたゲスト」だろう。普段からこのテのテーマをいかに真面目に掘り下げて考えていないかが良く伝わってきたし、こういう場で意見を言いたい人物でもない事が良く伝わってきた。何より福井についてさほど興味が無い様子が終始伝わってきた。もし映画の後援に関する暗黙のプレッシャーから断りきれずにブッキングされたのであれば「かわいそう」の一言だ。
そんな中、越の言うように原渕アナだけは「おっ、リアルなご意見!」と思わせる発言を繰り出していたが、何?あの「原渕アナ軽視」な空気感。オレは越とは違い女子アナに贔屓目は無いが、それにしても軽い扱いだ。番組を見た限りではテーマについて一番真剣に考えている印象だったのに残念。もしこの回をケニアのマータイさんが見ていたら、「MOTTAINAI!」と世界に訴えていただろう。
結局、松枝アナが最後に放った「今回はお盆モード。ゆったりとお話うかがいました。」発言からも、原渕アナ以外の出演者がみんな「今回のテーマってライトだよね~」って姿勢だったと解釈するべきなのだろうが、だったらテーマ自体をもっとライトなものにした方が良かったかと思う。
今回の議論のテキトーさ加減なら「便所のレバーの大と小の格差を考える」でも良かったんじゃね?
今回の議論のテキトーさ加減なら「便所のレバーの大と小の格差を考える」でも良かったんじゃね?
あとついでに言っちゃうけど、この番組の現状から、弱者、負け組、悲観的な若者、低所得労働者、破綻者、などが絡んでくる問題について議論を深めるのは無理だろ。だって現状を知る当事者がこんな晒し者番組に出たがる訳がないし、出たとしても番組の中で有利な立ち回りを演じ切れる可能性は極めて低いかと思われる。
この番組が今後も「福井の抱える問題」を真摯に取り上げて行きたいのなら、やっぱ取材を導入すべきだと思う。
この番組が今後も「福井の抱える問題」を真摯に取り上げて行きたいのなら、やっぱ取材を導入すべきだと思う。