2010年4月17日
どこかの出版社で邦訳してくれないかなあと個人的に思っている作品のタイトルをただ並べていくページ。
(書評などを参考にしているものの、台湾・中国ミステリと違って完全に未読なので、絶対に面白い作品だとは断言できないのですが……)
1.韓国の最新の本格ミステリ小説
韓国の最新の本格ミステリ小説を挙げる。ハン・ドンジンとト・ジンギの作品は韓国のミステリファンの交流サイトなどで高い評価を受けている。ソン・ソニョンは今年長編デビューした作家で、やはりネット上の書評などで高い評価を受けている。
(1)《京城探偵録》シリーズ - ハン・ドンジン(韓東珍)
(2)《闇の弁護士》シリーズ - ト・ジンギ(都振棋)
作者のト・ジンギは現役裁判官のミステリ作家で、これが長編デビュー作。2011年6月現在、43歳か44歳。
ト・ジンギが長編2作同時刊行でデビューすると、ついに韓国にも島田荘司や綾辻行人に比肩しうる本格ミステリ作家が現れたと話題になった。『赤い家の殺人』と『椿姫の肖像』は「闇の弁護士」シリーズの1作目と2作目であり、2011年7月には早くもシリーズ3作目の長編『精神自殺』が刊行された。
ト・ジンギは好きな作家に江戸川乱歩、島田荘司、東野圭吾らを挙げている。もともとミステリ好きだったが、2009年になってから通勤時間を利用して半年ほどで日本のものを中心に新たにミステリを100冊以上読破。2009年11月、創作を開始。2010年6月、短編「選択」が韓国推理作家協会主催の公募新人賞「季刊ミステリ新人賞」を受賞し、『季刊ミステリ』2010年夏号に掲載される。その3ヶ月後、長編2作を同時刊行し劇的なデビューをかざった。
(3)『合作 ――殺人のための殺人』、『死してこそ生きる男』 - ソン・ソニョン
『合作 ――殺人のための殺人』は、石垣島で死体が発見され日本と韓国の刑事が合同で捜査をするという作品。読者に正々堂々と対決を挑む本格ミステリ作品。
『死してこそ生きる男』は、濡れ衣を着せられた主人公とそれを追う刑事などをめぐるサスペンス小説。
作者のソン・ソニョンは1974年生まれ。2008年に短編「ツバメの巣城殺人事件」で韓国推理作家協会主催の公募新人賞「季刊ミステリ新人賞」を受賞してデビューした。その後は韓国推理作家協会のアンソロジーなどで「誰がわたしのラーメンを食べたんだ?」など日常の謎ミステリを中心に短編を発表。2011年、初の長編作品『合作 ――殺人のための殺人』を上梓した。
2.アンソロジー
(1)『今年の推理小説』(韓国推理作家協会編)
韓国推理作家協会(1983年設立)が毎年夏に編んでいるアンソロジー。日本では10年以上前の1998年版が
『コリアン・ミステリ 韓国推理小説傑作選』(バベル・プレス、2002年)として刊行されているのみ。そろそろ、新たな邦訳がほしい。
(2)『韓国推理サスペンス短編選』(2008年~)
韓国推理小説100周年(イ・ヘジョ(李海朝)『双玉笛』から100年)を記念して刊行された新世代作家10人のアンソロジー。原題は「推理スリラー」となっているが、ここでの「スリラー」は日本でいえば「サスペンス」ぐらいの意味のようなのでそう訳した。『韓国推理スリラー短編選』としてもいいかもしれない。
密室ものや日常の謎作品もあるとのこと。第1巻は、第1回ブロガー大賞国内文学部門第5位。
(3)『12人12色 韓国若手作家の推理短編集』
季刊ミステリ新人賞受賞者など、韓国の若手作家12人が作品を寄せている。
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最終更新:2011年06月22日 19:27