ニコニコ動画 ニコニコ生放送に『幻影城』編集長・島崎博さん登場!

2010年4月21日 19:41:54

 2010年4月21日、ニコニコ動画のニコニコ生放送に、島崎博さんが出演しました。
 島崎博さんは、日本の推理小説史の中でさまざまな逸話により伝説的になっている探偵小説専門誌『幻影城』(1975年~1979年)の編集長をなさっていた方です。

島崎博さんについて

 島崎博さんは1933年・台湾生まれで、現在76、77歳になる訳ですが、今日の生放送の場をセッティングした林依俐さんと、幻影城作家の思い出、手塚治虫や白戸三平の漫画の話などを笑顔で語っていらっしゃって、非常にお元気そうでした。画面を通してとはいえ、今日その謦咳に初めて接することができて感激しました。

 島崎さんは、『幻影城』の廃刊後は台湾に戻られ、その後長い間、日本のミステリ界からは島崎さんに連絡がつかないようになっていました。それが一転したのが2004年のことで、詳細は、「探偵小説専門誌「幻影城」と日本の探偵作家たち」の2004年3月16日付の記事「「幻影城」を支えた友情-島崎博さんの消息-」で知ることができます。お薦めの記事です(なお、この記事に登場する「台湾のミステリーファンであるblueさん」は、昨年9月に邦訳『錯誤配置』が刊行された藍霄(ランシャウ)氏です)。

 その後島崎さんは、第8回(2008年)本格ミステリ大賞の特別賞を受賞し、それに前後して日本のミステリ関連雑誌・書籍などのインタビューを積極的に受けていらっしゃったので、その後のことはここで書く必要はないかもしれません。台湾では最近、評論集『謎詭・偵探・推理』(2009年)を刊行なさっています。(島崎博さんインタビュー記事リストはこちら: 台湾ミステリについて知るための資料リスト

今日の放送について

 今日(2010年4月21日)の放送は、台湾の雑誌『月刊挑戦者』(2004年~2008年)の編集長をつとめ、いまはオンライン読み物サイト「ComiComi」(http://www.comibook.com/)の運営などをなさっている編集者の林依俐さん(エリリンさん)がニコニコ動画内に設置しているチャンネル「エリリンの時差アワー」(http://com.nicovideo.jp/community/co32814)で放送されたものです。

(『月刊挑戦者』については、VOFANがカラー漫画を連載していた雑誌、と言えば通りがいいかもしれません。今日の放送でも、バックにはVOFANがキャラクター原案を担当したアニメ『化物語』のポスターが1枚貼られていて、そこに島崎博さんが一緒に映っているというのが不思議な感じでした)

 林依俐さんは、台湾のミステリ作家・林斯諺(第1回島田荘司推理小説賞最終候補になった方)とミステリに関する講演を行ったり、東野圭吾『名探偵の掟』の中国語への翻訳をしたりと、推理小説ともゆかりのある方です。
 今日の放送は「島崎博さんといっしょにテスト放送」(http://live.nicovideo.jp/watch/lv15470723)と題されていて、テスト放送ということなので、今後もまた放送があると思います。 要チェックですね。

今日の話の流れ

放送は30分間(17:00 - 17:35)、来場者54人、コメント数121
(4月22日追記 出演したのは島崎さんと林依俐さんのお二人で、日本語での放送でした)

  • 台湾での日本のミステリの話(『ゼロの焦点』台湾版の刊行が、日本ミステリの翻訳の最初だったという話など)
 ※注 『ゼロの焦点』台湾版が刊行されたのは1977年4月
 ※私が放送を見始めたのは、この日本ミステリの話の途中からなので、それ以前の最初の10分ぐらいの内容については分かりません。
  • 日本の漫画の話(島崎さんは白戸三平が好きであるとのこと)
  • 幻影城作家の話(島崎さんは筑波耕一郎作品が好きだったが、意に反してあまり人気にならなかったという話など)

 ほかには、最近は中国の古典ばかり読んでいる、それからビックバンや大統一理論など宇宙に関する本も多く読んでいる、ということをおっしゃっていました。


 島崎博さんがニコニコ生放送に興味を持っており、そのうち生放送に出演するかもしれないと、林依俐さんが最初にtwitterに書き込んだのが確か昨年の12月ぐらいだったと思います。それからずっと、放送を楽しみにしていました。(4月22日追記 島崎さんがネット上での生放送に関心を持つ過程は、林依俐さんのtwitterのログ(2009年12月17日)で見ることができます http://twilog.org/elielinjp/date-091217

 自分が生まれた頃にはすでに廃刊となっており、『幻影城』という雑誌は自分にとっては、古本屋でたまに見かけてその時代に思いを馳せるような、文字通り幻の雑誌でした。廃刊から30年という時を経て、その編集長が、インターネット上での生放送という手段を使って、台湾から直接私たちにメッセージを発してくれる。

 非常に感慨深い20分を過ごすことができました。次の放送に期待しています。


追記 「ニコニコ生放送」の視聴のし方について

 知らない人も多いと思うので、ニコニコ生放送の視聴のし方について書いておきます。とはいえ、自分はニコニコ動画のまわし者でも何でもなく、有料会員登録もしてないですよ。

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(今回(2010年4月21日)の放送に関しては、アーカイブにはしないとのことです)
最終更新:2010年10月30日 16:27