2010年4月13日ページ作成
台湾のミステリについての文献一覧。日本語で書かれたものを集めている。
0.
1.総論
玉田誠(2009)「台湾の本格ミステリー事情」(藍霄『アジア本格リーグ1 錯誤配置』講談社、2009年9月)pp.307-315
- 台湾ミステリの歴史から現状までを概観した巻末解説。冷言(れいげん、レンユエン)、林斯諺(りんしげん、リンスーイェン)などまだ邦訳のない台湾ミステリ作家の紹介もあって、今後の邦訳が楽しみになる。
2.年別の台湾ミステリ界概観
台湾推理作家協会のミスターペッツ氏(今や、島田荘司推理小説賞受賞者の寵物先生氏になりましたが)が、1年間の台湾ミステリ界の出来事を紹介するコーナー。南雲堂『本格ミステリー・ワールド』の2号めから掲載されている。
- ミスター・ペッツ(2007)「台湾ミステリー事情2007」(島田荘司監修『本格ミステリー・ワールド 2008』南雲堂、2007年12月)pp.156-157
- ミスター・ペッツ(2008)「台湾ミステリー事情2008」(島田荘司監修『本格ミステリー・ワールド 2009』南雲堂、2008年12月)pp.166-167
- 寵物先生(2009)「受賞のことばと2009年台湾ミステリーの発展」(島田荘司監修『本格ミステリー・ワールド 2010』南雲堂、2009年12月)pp.22-26
3.島田荘司推理小説賞関連
第1回(2009年9月結果発表)
- 島田荘司ウェブサイト「WS刊島田荘司」に掲載の日本語訳。
島田荘司(2009)「いま、アジアのミステリーに何が起きているのか」
(文藝春秋『オール讀物』2009年11月号(2009年10月)) pp.446-453
- アジアミステリーの現状および、第1回島田荘司推理小説賞受賞作・最終候補作の選評。
- 受賞作の選評部分は寵物先生『虚擬街頭漂流記』(文藝春秋、2010年)巻末に転載されている。雑誌版では最終候補作「氷鏡荘殺人事件」(林斯諺)、「幸せ宅急便はぼくの仕事じゃない」(不藍燈)の選評も読めるのでお薦め。
- この記事の抜粋は文藝春秋公式サイト内の『虚擬街頭漂流記』特設サイトでも読むことができる(『虚擬街頭漂流記』巻末の抜粋とは違う箇所)
「第一回島田荘司推理小説賞レポート in台北」
(東京創元社『ミステリーズ!』vol.37 OCTOBER 2009(2009年10月))
冬陽(2009)「第一回島田荘司推理小説賞授賞式レポート」
(島田荘司監修『本格ミステリー・ワールド2010』南雲堂、2009年12月)pp.18-21
- 台湾推理作家協会の冬陽(とうよう、トンヤン)氏による授賞式レポート。
- 島田荘司と寵物先生の対談などが掲載されている。この対談は、同じものが文藝春秋のPR誌『本の話』5月号にも掲載されている(『本の話』版の末尾の5分の1は、ネット掲載版ではカットされている)。
第2回(2011年9月結果発表)
- 第2回島田荘司推理小説賞の公式サイト。中国語繁体字のサイトだが、募集要項の日本語、英語、タイ語訳も掲載されている。
4.島崎博(傅博)さん関連
島崎博さんへのインタビュー。必ずしも台湾ミステリの話題がメインのインタビューという訳ではない。
「「幻影城」編集長 島崎博さんに聞く」
2004年11月22日収録、インタビュアー 岩堀泰雄、石井春生
(「幻影城の時代」の会編『幻影城の時代』回顧編、エディション・プヒプヒ、2006年12月)pp.10-56
「「幻影城」編集長 島崎博さんに聞く」(上記インタビューの再録)
「"もう一人の島崎博"が欲しかった 島崎博インタビュー PART II」
2008年4月18、19日収録、インタビュアー 沢田安史、新保博久、本多正一
(本多正一編『幻影城の時代 完全版』講談社 講談社BOX、2008年12月)pp.310-340、pp.341-353
「ベテランインタビュー 島崎博」 (インタビュアー つずみ綾)
(島田荘司監修『本格ミステリー・ワールド 2008』南雲堂、2007年12月)pp.148-155
「Editor×Editor 『幻影城』編集長 島崎博」
2008年4月収録、インタビュアー 太田克史
(講談社『ファウスト』Vol.7、2008年8月)pp.1094-1112
5.その他
有栖川有栖(2005)「新本格推理作家的台灣體驗」
(講談社『メフィスト』2005年5月増刊号、2005年4月、pp.42-55)
浦谷一弘(2006)「台湾とミステリ」
(探偵小説研究会編 『2007 本格ミステリ・ベスト10』原書房、2006年12月)p.144
野地嘉文(2006)「島崎博の仕事リスト抄 2.台湾編」
(「幻影城の時代」の会編『幻影城の時代』資料編、2006年12月)pp.24-32
- 講談社『幻影城の時代 完全版』には掲載されていない。
戸川安宣(2008)「台湾ミステリ紀行」
(東京創元社『ミステリーズ!』vol.29 JUNE 2008(2008年6月))pp.282-285
- 同じ号に台湾の中編本格ミステリ、凌徹「幽霊交叉点」掲載。この後も台湾ミステリの紹介が続くのかと思ったら、この1作だけで途切れていて残念。
洪蕙玲(2008)「世界のミステリ雑誌 台湾」
(早川書房『ハヤカワミステリマガジン』2009年1月号(2008年11月))pp.70-71
小泉優(2010)「この台湾ミステリーがすごい!」
(萌えるアジアNo.8『萌える台湾読本2010』 発行人:小泉優、発行所:萌えるアジア、2010年7月)pp.4-16
- アジア関連の同人誌を出しているサークル「萌えるアジア」の小泉優さんによる台湾ミステリ記事。原書で読んだ台湾ミステリー14冊の評が書かれている。ある1作品についてそれが叙述トリックを使用しているとばらしているのがちょっと問題だけど…(まあ、当面翻訳の予定もなさそうだし、どういう傾向の作品があるのか紹介するためにはいいのかもしれない)、現代の台湾ミステリの主要作品がコンパクトに紹介されているので、台湾ミステリの翻訳出版に興味のある編集者さんがもしいたら、参考になるのではないでしょうか。
- 小泉優さんはこちらでも台湾ミステリーについて書いていらっしゃいます。「萌えるアジア ブログ」
シンポジウム「越境する探偵小説――日本と台湾の異文化交流」第二部「柄刀一氏を囲んでの意見交換会」レポート
文字起こし・編集:諸岡卓真
(探偵小説研究会『CRITICA』第5号、2010年8月)pp.106-128
小泉優(2010)『この台湾ミステリーがすごい! 2010』(発行人:小泉優、発行所:萌えるアジア、2010年11月)(全36ページ)
- 上記の『萌える台湾読本2010』に収録された特集記事「この台湾ミステリーがすごい!」の拡大版。1冊まるごと、台湾ミステリーについて扱っています。
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最終更新:2010年12月11日 12:20