2010年4月13日
2011年2月1日更新
中国のミステリについての文献一覧。日本語で書かれたものを集めている。
- 中国に在住の阿井幸作さんが、中国での生活の中のさまざまな出来事を書いているブログ。中国のミステリに関する話題も多い。私が中国の推理小説を読んでみようと思ったのは、こちらのブログの2008年8月28日の記事「御手洗パンダという男」で御手洗熊猫という推理作家の存在を知ったのがきっかけでした。
- 上記ブログの阿井幸作さんによる、中国ミステリの紹介記事。
以下、日本での刊行(掲載)年順。
■李長声(リー チャンション)(2002)「中国のミステリー事情 大衆文学への渇望」
(光文社『ジャーロ』7号(2002年春号))pp.273-277
- 『ジャーロ』創刊号から掲載されていた企画「世界のミステリーを読む」の第7回、中国編。畀愚(ビイユ)の短編「謀殺」とともに、この記事が掲載されている。
- 短い記事ではあるが、中国での推理小説の受容から現在にいたるまでの、密度の濃い情報が書かれている。
■井波律子(2003)『中国ミステリー探訪 ―千年の事件簿から』日本放送出版協会、2003年11月 (未見)
■池田智恵(2009)「発展途上の中国ミステリー」
(水天一色『アジア本格リーグ4 蝶の夢 乱神館記』講談社、2009年11月)pp.383-394
- 中国大陸部のミステリの歴史から現状までを概観した巻末解説。最近の代表的な作家として以下の3人が挙げられている。
御手洗熊猫(ユーショウシー ションマオ、中国語(簡体字)表記同じ)
午曄(ウーイエ、中国語(簡体字)表記「午晔」)
羅修(ルオシウ、中国語(簡体字)表記「罗修」)
※名前の読み方は上記解説に従っている。
御手洗熊猫は、日本語風に読むと「みたらいぱんだ、みたらいくまねこ」。探偵役は御手洗濁(読み方は、上記解説では「ユーショウシージュオ」、原書の表紙には「Mitarai Daku」と書かれている)。
このペンネーム&探偵役の名前のインパクト! そして熊猫の推理小説処女作のタイトルは「二十角館の首なし死体」(短編)(タイトルの訳は上記解説に従う)。
日本のミステリ読者ならとにかく惹かれてしまうペンネーム&タイトル。ぜひどこかのミステリ雑誌で邦訳を掲載していただきたいものです。
■天蠍小豬(2009)「中国ミステリー事情」
(島田荘司監修『本格ミステリー・ワールド 2010』南雲堂、2009年12月)pp.27-30
- 『本格ミステリー・ワールド』では、2008年版(2007年発売)のものから台湾ミステリを紹介するコーナーがあったが、2010年版では中国大陸部のミステリーを紹介するコーナーも新たに加わった。
- 天蠍小豬(中国語での表記は「天蝎小猪」、この記事では振り仮名は振られていないが、普通に読むと「てんかつしょうちょ」または「ティエンシエ シャオチュー」)氏は、中国で推理小説の解説を書いたり、中国のミステリ雑誌『歳月・推理』で日本ミステリ関連を含むミステリ紹介記事を書いたりしている方。
- 最近の作家として、アジア本格リーグから邦訳が出た水天一色(すいてんいっしき、シュイティエンイースー)や前述の御手洗熊猫をはじめ、以下の人たちの名前が挙げられている。
※振り仮名は振られていないのでこちらで振りました。「」内は中国語簡体字表記(同じ場合は略)。
杜撰(ずさん、ドゥージュアン)
文澤爾(ぶんたくじ、ウェンゼル、「文泽尔」)
普璞(ふはく、プープー)
周浩暉(しゅうこうき、チョウ ハオフイ、「周浩晖」)
王稼駿(おうかしゅん、ワン ジアジュン、「王稼骏」)
馬天(ばてん、マーティエン、「马天」)
言桄(げんこう、イェングアン)
江暁雯(こう ぎょうぶん、ジャン シャオウェン、「江晓雯」)
鬼馬星(きばせい、グイマーシン、「鬼马星」)
この中では、不可能犯罪ものの短編を書き続けていると紹介されている杜撰が気になる。
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最終更新:2011年02月01日 16:06