2014年8月27日
フランスで2008年に刊行された『Le guide des 100 polars incontournables』(必読ミステリ100作ガイド)(
仏amazon)で選ばれている100作品の一覧。選者はフランスのミステリ編集者でありミステリの翻訳や創作も手掛けるエレーヌ・アマルリック(Hélène Amalric)。100冊一覧の情報源は「
こちら」。
なお同じ出版社からは映画100選、SF小説100選、文学100選、バンド・デシネ100選などさまざまな「100選」本が出ている。
先日アンケートを実施した「
フランスミステリベスト100」のようなものがフランスにもないかと探していたところ、このリストが見つかった。多数の読者からアンケートをとったものではなく1人の編集者が選んだものなので、フランスのミステリ読者の好みをどれぐらい反映しているのかは分からないが、意外な作品が採られていたりして面白い。
このように個人で100作品を選んだものとして、日本では杉江松恋氏の『読み出したら止まらない! 海外ミステリー マストリード100』(日経文芸文庫、2013年10月)がある。
この100作リストを日本の『東西ミステリーベスト100』や、以下のリストと比べてみるのも面白いかもしれない。
追記:吉野仁氏が2008年にこのリストの冒頭4分の1ほどを紹介されていました(ページを作成したあとに気づきました)。
Index
必読ミステリ100選(エレーヌ・アマルリック選)
- 100作品中、日本語で読めるのは84作品、邦訳がないのは16作品。(邦訳のない作品には背景色をつけた)
- 100作品中、英語圏の作品が74作品、フランス語圏の作品が16作品、それ以外が10作品。
国 |
作者 |
タイトル |
仏題 |
年 |
米 |
エドガー・アラン・ポー |
モルグ街の殺人 |
Double assassinat dans la rue Morgue |
1841 |
フランス |
エミール・ガボリオ |
ルルージュ事件 |
L'affaire Lerouge |
1863 |
ロシア |
フョードル・ドストエフスキー |
罪と罰 |
Crime et châtiment |
1865 |
英 |
ウィルキー・コリンズ |
月長石 |
La pierre de lune |
1868 |
英 |
チャールズ・ディケンズ |
エドウィン・ドルードの謎 |
Le mystère d'Edwin Drood |
1870 |
英 |
コナン・ドイル |
緋色の研究 |
Une étude en rouge |
1887 |
フランス |
ガストン・ルルー |
黄色い部屋の謎 |
Le mystère de la chambre jaune |
1908 |
フランス |
モーリス・ルブラン |
奇巌城 |
L'aiguille creuse |
1909 |
英 |
G・K・チェスタトン |
ブラウン神父の童心 |
La clairvoyance du père Brown |
1910 |
英 |
ジョン・バカン |
三十九階段 |
Les trente-neuf marches |
1911 |
フランス |
スーヴェストル&アラン |
ファントマ |
Fantômas |
1911 |
英 |
ベロック・ローンズ |
下宿人 |
Un étrange locataire |
1913 |
英 |
サックス・ローマー |
悪魔博士(別題:魔人博士) *1 |
Le diabolique Fu-Manchu |
1916 |
英 |
ドロシー・L・セイヤーズ |
誰の死体? |
Lord Peter et l'inconnu |
1923 |
アイルランド |
リアム・オフラハティー |
密告者(別題:男の敵) *2 |
Le mouchard |
1925 |
英 |
アガサ・クリスティー |
アクロイド殺し |
Le meurtre de Roger Ackroyd |
1926 |
英 |
サマセット・モーム |
アシェンデン |
Mr Ashenden, agent secret |
1928 |
米 |
ダシール・ハメット |
赤い収穫(別題:血の収穫) |
La moisson rouge |
1929 |
ベルギー |
ジョルジュ・シムノン |
男の首 |
La tête d'un homme |
1931 |
英 |
フランシス・アイルズ |
レディに捧げる殺人物語 |
Préméditation |
1931 |
米 |
ジェイムズ・M・ケイン |
郵便配達は二度ベルを鳴らす |
Le facteur sonne toujours deux fois |
1934 |
フランス |
ピエール・ヴェリー |
‐ |
Les disparus de Saint-Agil |
1935 |
英 |
グレアム・グリーン |
拳銃売ります |
Tueur à gages |
1936 |
米 |
ホレス・マッコイ |
原題 No Pockets in a Shroud |
Un linceul n'a pas de poches |
1937 |
米 |
ジョン・ディクスン・カー |
火刑法廷 |
La chambre ardente |
1937 |
英 |
ダフネ・デュ・モーリア |
レベッカ |
Rebecca |
1938 |
米 |
ジョナサン・ラティマー |
赤き死の香り |
Gardénia rouge |
1939 |
米 / 英 |
レイモンド・チャンドラー |
大いなる眠り |
Le grand sommeil |
1939 |
英 |
エリック・アンブラー |
ディミトリオスの棺 |
Le masque de Dimitrios |
1939 |
ベルギー |
S・A・ステーマン |
殺人者は21番地に住む |
L'assassin habite au 21 |
1939 |
英 |
ジェイムズ・ハドリー・チェイス |
ミス・ブランディッシの蘭 |
Pas d'orchidées pour miss Blandish |
1939 |
米 |
ヴェラ・キャスパリ |
ローラ殺人事件 |
Laura |
1942 |
フランス |
レオ・マレ |
‐ |
120, rue de la Gare |
1943 |
米 |
ウィリアム・アイリッシュ |
暁の死線 |
L'heure blafarde |
1944 |
米 |
ジョエル・タウンズリー・ロジャーズ |
赤い右手 |
La sinistre main droite / Jeu de massacre / La main perdue |
1945 |
英 |
ロイ・ヴィカーズ |
迷宮課事件簿 |
Service des affaires classées |
1947 |
米 |
ドロシー・B・ヒューズ |
孤独な場所で |
Tuer ma solitude |
1947 |
米 |
ミッキー・スピレイン |
裁くのは俺だ |
J'aurai ta peau |
1947 |
米 |
E・S・ガードナー |
怪しい花婿 |
Le bigame innocent |
1949 |
米 |
W・R・バーネット |
アスファルトジャングル |
Quand la ville dort |
1949 |
米 |
パトリシア・ハイスミス |
見知らぬ乗客 |
L'inconnu du Nord-Express |
1950 |
米 |
ドナルド・E・ウェストレイク |
我輩はカモである |
Le pigeon récalcitrant |
1952 |
米 |
デイヴィッド・グディス |
原題 The Moon in the Gutter *3 |
La lune dans le caniveau |
1953 |
米 |
エド・マクベイン |
通り魔 |
Le sonneur |
1956 |
米 |
メイヤ・レヴィン |
原題 Compulsion *4 |
Crime |
1956 |
米 |
チェスター・ハイムズ |
イマベルへの愛 |
La reine des pommes |
1957 |
フランス |
ボアロー&ナルスジャック |
死者の中から(別題:めまい) |
D'entre les morts / Sueurs froides |
1958 |
英 |
ジョン・ル・カレ |
寒い国から帰ってきたスパイ |
L'espion qui venait du froid |
1963 |
オランダ |
ロバート・ファン・ヒューリック |
雷鳴の夜 |
Le monastère hanté |
1963 |
米 |
エラリー・クイーン |
第八の日 |
Et le huitième jour |
1964 |
米 |
ジム・トンプスン |
ポップ1280 |
1275 âmes *5 |
1964 |
米 |
トルーマン・カポーティ |
冷血 |
De sang-froid |
1965 |
フランス |
セバスチアン・ジャプリゾ |
新車の中の女 |
La dame dans l'auto avec des lunettes et un fusil |
1966 |
イタリア |
ジョルジョ・シェルバネンコ |
裏切者 |
A tous les râteliers |
1966 |
スウェーデン |
シューヴァル&ヴァールー |
バルコニーの男 |
L'homme au balcon |
1967 |
米 |
ジョゼフ・ハンセン |
闇に消える |
Le poids du monde |
1970 |
イタリア |
フルッテロ&ルチェンティーニ |
日曜日の女 |
La femme du dimanche |
1972 |
スペイン |
マヌエル・バスケス・モンタルバン |
原題 Yo maté a Kennedy |
J'ai tué Kennedy |
1972 |
米 |
トニー・ヒラーマン |
死者の舞踏場 |
Là où dansent les morts |
1973 |
米 |
ジャック・ヴァンス |
原題 Bad Ronald |
Méchant garçon |
1973 |
米 |
ハーバート・リーバーマン |
死者の都会(まち) |
Nécropolis |
1976 |
英 |
ルース・レンデル |
ロウフィールド館の惨劇 |
L'analphabète |
1977 |
英 |
ウィリアム・マッキルヴァニー |
夜を深く葬れ |
Laidlaw |
1977 |
フランス |
エルヴェ・ジャウアン(Hervé Jaouen) *6 |
‐ |
La mariée rouge |
1979 |
イタリア |
ウンベルト・エーコ |
薔薇の名前 |
Le nom de la rose |
1980 |
英 |
エリス・ピーターズ |
修道士の頭巾 |
Le capuchon du moine |
1980 |
米 |
マーク・ベイム |
氷の接吻 |
Mortelle randonnée |
1980 |
米 |
エルモア・レナード |
野獣の街 |
La loi de la cité |
1980 |
米 |
ジョゼフ・ウォンボー |
ハリウッドの殺人 |
Le crépuscule des flics |
1981 |
フランス |
ジャン=パトリック・マンシェット |
眠りなき狙撃者 |
La position du tireur couché |
1981 |
米 |
ロバート・デイリー |
原題 Prince of the City *7 |
Le prince de New York |
1978 |
米 |
サラ・パレツキー |
サマータイム・ブルース |
Chronique d'une mort assurée |
1982 |
米 |
ローレンス・ブロック |
八百万の死にざま |
Huit millions de façons de mourir |
1982 |
英 |
デレク・レイモンド |
原題 He died with his eyes open |
On ne meurt que deux fois / Il est mort les yeux ouverts |
1982 |
米 |
ジェイムズ・クラムリー |
ダンシング・ベア |
La danse de l'ours |
1983 |
オランダ |
ヤンウィレム・ヴァン・デ・ウェテリンク |
原題 Het Werkbezoek / The Maine Massacre |
Le massacre du Maine |
1984 |
米 |
アンドリュー・ヴァクス |
フラッド |
Flood |
1985 |
フランス |
ディディエ・デナンクス |
‐ |
Métropolice |
1985 |
英 |
P・D・ジェイムズ |
死の味 |
Un certain goût pour la mort |
1986 |
米 |
ダニエル・ウッドレル |
白昼の抗争 |
Sous la lumière cruelle |
1986 |
米 |
ジェイムズ・エルロイ |
ブラック・ダリア |
Le dahlia noir |
1987 |
英 |
アン・ペリー |
原題 Cardington Crescent |
Meurtres à Cardington Crescent |
1987 |
米 |
トマス・ハリス |
羊たちの沈黙 |
Le silence des agneaux |
1988 |
英 |
フィリップ・カー |
偽りの街 |
L'été de cristal |
1989 |
スペイン |
アルトゥーロ・ペレス・レベルテ |
フランドルの呪画(のろいえ) |
Le tableau du maître flamand |
1990 |
米 |
エリザベス・ジョージ |
名門校 殺人のルール |
Cérémonies barbares |
1990 |
フランス |
ユーグ・パガン(Hugues Pagan) *8 |
‐ |
L'étage des morts |
1990 |
英 |
ヘレン・ザハーヴィ |
ダーティ・ウィークエンド |
Dirty week-end |
1991 |
デンマーク |
ペーター・ホゥ |
スミラの雪の感覚 |
Smilla et l'amour de la neige |
1992 |
米 |
ケイレブ・カー |
エイリアニスト 精神科医 |
L'aliéniste |
1994 |
米 |
パトリシア・コーンウェル |
死体農場 |
La séquence des corps |
1995 |
英 |
ヴァル・マクダーミド |
殺しの儀式 |
Le chant des sirènes |
1995 |
米 |
マイクル・コナリー |
ザ・ポエット |
Le poète |
1996 |
英 |
イアン・ペアズ |
原題 An Instance of the Fingerpost *9 |
Le cercle de la croix |
1998 |
フランス |
フレッド・ヴァルガス |
裏返しの男 |
L'homme à l'envers |
1999 |
南アフリカ |
レニー・エアース |
夜の闇を待ちながら |
Un fleuve de ténèbres |
1999 |
フランス |
アンドレア・H・ジャップ |
‐ |
Le silence des survivants |
2000 |
米 |
ダン・ブラウン |
ダ・ヴィンチ・コード |
Da Vinci code |
2002 |
米 |
デニス・ルヘイン |
シャッター・アイランド |
Shutter island |
2003 |
スウェーデン |
スティーグ・ラーソン |
ミレニアム1 ドラゴン・タトゥーの女 |
Les hommes qui n'aimaient pas les femmes - Millenium |
2005 |
- *1:サックス・ローマー『悪魔博士』(魔人博士) … 原題『The Return of Dr Fu-Manchu』(英)または『The Devil Doctor』(米)。怪人フー・マンチュー・シリーズの第2作。シリーズ第1作はポケミスで2004年に『怪人フー・マンチュー』のタイトルで刊行されている。
- *2:リアム・オフラハティー(Liam O’Flaherty)『密告者』(男の敵) … 1934年にライアム・オフラアテイー『密告者』(春陽堂)、1953年にリーアム・オーフラハティー『男の敵』(世界文学社)として刊行。前者は2008年に、ゆまに書房《昭和初期世界名作翻訳全集》の第195巻として復刻版が出ている。
- *3:デイヴィッド・グディス『The Moon in the Gutter』 … 著者名表記は「デイヴィッド・グーディス」とされることが多かったが、近年『ミステリマガジン』では「デイヴィッド・グディス」と表記されているためそれに従った。未邦訳長編『The Moon in the Gutter』は1983年にフランスで映画化されており(監督:ジャン=ジャック・ベネックス)、日本でも『溝の中の月』のタイトルで公開された。DVD化もされている。
- *4:メイヤ・レヴィン(Meyer Levin) … マイア・レヴィン、メイヤー・レビン、メイヤー・レヴィンとも表記。未邦訳長編『Compulsion』は1959年にアメリカで映画化されており(監督:リチャード・フライシャー)、日本では『強迫/ロープ殺人事件』(または『動機なき殺人』)としてテレビ放送された。
- *5:ジム・トンプスン『ポップ1280』 … 原題は『Pop. 1280』。このフランス語版が『1275 âmes』となっていることの不思議についてはストラングル・成田氏のサイト「密室系」にまとめがあるが、結局理由は明らかにはなっていないようである(「ポップ1275」の謎)。
- *6:エルヴェ・ジャウアン(Hervé Jaouen) … エルヴェ・ジャウエンとも表記。邦訳刊行されているのは絵本『おばあちゃんの記憶』のみ(「エルヴェ・ジャウエン」表記)。山田礼雄氏のフランスミステリ研究サイト「Noir」に詳しい紹介がある(エルヴェ・ジャウアン)。
- *7:ロバート・デイリー『Prince of the City』 … 1981年にアメリカで映画化されており(監督:シドニー・ルメット)、日本でも『プリンス・オブ・シティ』のタイトルで公開された。
- *8:ユーグ・パガン(Hugues Pagan) … 邦訳は1作もない。山田礼雄氏のフランスミステリ研究サイト「Noir」に詳しい紹介がある(ユーグ・パガン)。
- *9:ブログ「翻訳ミステリー大賞シンジケート」で日暮雅通氏が言及している。「月替わり翻訳者エッセイ」の2012年3月、「今何訳してる? 第3回 3人の巨匠たちと」(2012-03-19)。
フランス語圏の16作品
上記の100作品のリストからフランス語圏の作品を抜き出したもの。16作中、日本語で読めるのは10作。
フランスの編集者が英米他の傑作に並ぶものとして自国(+ベルギーのフランス語地域)のどの作品を挙げているかは興味深い。
国 |
作者 |
タイトル |
仏題 |
年 |
|
フランス |
エミール・ガボリオ |
ルルージュ事件 |
L'affaire Lerouge |
1863 |
28位 |
フランス |
ガストン・ルルー |
黄色い部屋の謎 |
Le mystère de la chambre jaune |
1908 |
3位 |
フランス |
モーリス・ルブラン |
奇巌城 |
L'aiguille creuse |
1909 |
16位 |
フランス |
スーヴェストル&アラン |
ファントマ |
Fantômas |
1911 |
投票0 |
ベルギー |
ジョルジュ・シムノン |
男の首 |
La tête d'un homme |
1931 |
57位 |
フランス |
ピエール・ヴェリー |
‐ |
Les disparus de Saint-Agil |
1935 |
‐ |
ベルギー |
S・A・ステーマン |
殺人者は21番地に住む |
L'assassin habite au 21 |
1939 |
17位 |
フランス |
レオ・マレ |
‐ |
120, rue de la Gare |
1943 |
‐ |
フランス |
ボアロー&ナルスジャック |
死者の中から(別題:めまい) |
D'entre les morts / Sueurs froides |
1958 |
47位 |
フランス |
セバスチアン・ジャプリゾ |
新車の中の女 |
La dame dans l'auto avec des lunettes et un fusil |
1966 |
41位 |
フランス |
エルヴェ・ジャウアン(Hervé Jaouen) |
‐ |
La mariée rouge |
1979 |
‐ |
フランス |
ジャン=パトリック・マンシェット |
眠りなき狙撃者 |
La position du tireur couché |
1981 |
75位 |
フランス |
ディディエ・デナンクス |
‐ |
Métropolice |
1985 |
‐ |
フランス |
ユーグ・パガン(Hugues Pagan) |
‐ |
L'étage des morts |
1990 |
‐ |
フランス |
フレッド・ヴァルガス |
裏返しの男 |
L'homme à l'envers |
1999 |
173位 |
フランス |
アンドレア・H・ジャップ |
‐ |
Le silence des survivants |
2000 |
‐ |
邦訳されている10作のうち、「
フランスミステリベスト100」で票が入らなかったのはスーヴェストル&アラン『ファントマ』(佐々木善郎訳、ハヤカワ文庫NV、1976年 等)のみ。スーヴェストル&アラン『ファントマの逆襲』(伊東守男訳、ハヤカワ文庫NV、1978年5月)には1票の投票があった。
選出作が邦訳されていないのは6人(ピエール・ヴェリー、レオ・マレ、エルヴェ・ジャウアン、ディディエ・デナンクス、ユーグ・パガン、アンドレア・H・ジャップ)。うち、エルヴェ・ジャウアンは絵本が1冊訳されているだけであり(『おばあちゃんの記憶』)、ユーグ・パガンは邦訳は1作もない。ほかの4人は別のミステリ作品の邦訳がある。
非英仏語圏の10作品
100作品のリストから非英仏語圏の作品を抜き出したもの。
南欧(5作品)
国 |
作者 |
タイトル |
仏題 |
年 |
イタリア |
ジョルジョ・シェルバネンコ |
裏切者 |
A tous les râteliers |
1966 |
イタリア |
フルッテロ&ルチェンティーニ |
日曜日の女 |
La femme du dimanche |
1972 |
イタリア |
ウンベルト・エーコ |
薔薇の名前 |
Le nom de la rose |
1980 |
スペイン |
マヌエル・バスケス・モンタルバン |
原題 Yo maté a Kennedy |
J'ai tué Kennedy |
1972 |
スペイン |
アルトゥーロ・ペレス・レベルテ |
フランドルの呪画(のろいえ) |
Le tableau du maître flamand |
1990 |
ジョルジョ・シェルバネンコ『裏切者』は1968年のフランス推理小説大賞受賞作(翻訳作品部門)。
フルッテロ&ルチェンティーニの『日曜日の女』は「
ドイツ語圏のミステリファンによるミステリ・ベスト100(1990年)」でも34位と高い評価を受けていた。邦訳もあるが、読んだ人の感想を見たことがない。(私自身も未読)
マヌエル・バスケス・モンタルバンの『Yo maté a Kennedy』(俺がケネディーを殺した)は私立探偵ペペ・カルバイヨの初登場作品。ただしこの作品ではまだ主人公ではなかった。
北欧(3作品)
国 |
作者 |
タイトル |
仏題 |
年 |
スウェーデン |
シューヴァル&ヴァールー |
バルコニーの男 |
L'homme au balcon |
1967 |
スウェーデン |
スティーグ・ラーソン |
ミレニアム1 ドラゴン・タトゥーの女 |
Les hommes qui n'aimaient pas les femmes - Millenium |
2005 |
デンマーク |
ペーター・ホゥ |
スミラの雪の感覚 |
Smilla et l'amour de la neige |
1992 |
その他(2作品)
国 |
作者 |
タイトル |
仏題 |
年 |
オランダ |
ヤンウィレム・ヴァン・デ・ウェテリンク |
原題 Het Werkbezoek / The Maine Massacre |
Le massacre du Maine |
1984 |
ロシア |
フョードル・ドストエフスキー |
罪と罰 |
Crime et châtiment |
1865 |
ヤンウィレム・ヴァン・デ・ウェテリンクは各作品をオランダ語と英語の両方で執筆・発表している。ここで選ばれている『Het Werkbezoek / The Maine Massacre』はフライプストラ&デ・ヒールのシリーズの第7作。日本では第4作まで翻訳されている。
ドストエフスキーの『罪と罰』が入っているのは目を引くが、この作品はアメリカ探偵作家クラブ(MWA)によるベスト100(1995年)でも24位にランクインしている(「
海外ミステリ総合データベース ミスダス」>「
アメリカ探偵作家クラブが選んだミステリBEST100」)。
以下の2人は英語で執筆する(した)作家。
国 |
作者 |
タイトル |
仏題 |
年 |
オランダ |
ロバート・ファン・ヒューリック |
雷鳴の夜 |
Le monastère hanté |
1963 |
南アフリカ |
レニー・エアース |
夜の闇を待ちながら |
Un fleuve de ténèbres |
1999 |
関連ページ
最終更新:2014年08月27日 23:27