フランス・ミステリ必読30冊(『ミステリマガジン』2003年7月号)

2013年5月16日

 『ミステリマガジン』2003年7月号(特集:フランス・ミステリの復権)に掲載された「フランス・ミステリ必読30冊」と、おまけのフランス・ミステリ・データいろいろ。
 (フランスのミステリ賞受賞作のデータは「フランスのミステリ賞」に分割しました)

Index

フランス・ミステリ必読30冊(『ミステリマガジン』2003年7月号)

 『ミステリマガジン』2003年7月号で示されている順(原著出版年順)。
 選者の記載なし。以下の各氏がレビューを書いている。(小木曽郷平、香川勇人、川出正樹、不来方優亜、杉江松恋、南波雅、羽取慶治、福井健太、古山裕樹、村上貴史、与儀明子)

1 813 モーリス・ルブラン 堀口大學 新潮文庫 813 1910
2 ルーフォック・オルメスの冒険 カミ 吉村正一郎 出帆社 Les Aventures de Loufock-Holmès 1926
3 ブロの二重の死 クロード・アヴリーヌ 三輪秀彦 創元推理文庫 La Double mort de Frédéric Belot 1932
4 サンタクロース殺人事件 ピエール・ヴェリー 村上光彦 晶文社 L'Assassinat du père Noël 1934
5 殺人者は21番地に住む スタニスラス=アンドレ・ステーマン 三輪秀彦 創元推理文庫 L'Assassin habite au 21 1939
6 影の顔 ボアロー=ナルスジャック 三輪秀彦 ハヤカワ・ミステリ文庫 Les Visages de l'ombre 1953
7 現金(げんなま)に手を出すな アルベール・シモナン 野口雄司 ハヤカワ・ミステリ1249 Touchez pas au grisbi! 1953
8 可愛い悪魔 ジョルジュ・シムノン 秘田余四郎 ハヤカワ・ミステリ434 En cas de malheur 1956
9 ジョゼ・ジョバンニ 岡村孝一 ハヤカワ・ミステリ1104 Le Trou 1957
10 贋作 *注1 ミッシェル・ルブラン 望月芳郎 創元推理文庫 Reproduction interdite 1958
11 日曜日は埋葬しない フレッド・カサック 中込純次 ハヤカワ・ミステリ643 On n'enterre pas le dimanche 1958 フランス推理小説大賞
12 死体をどうぞ シャルル・エクスブライヤ 三輪秀彦 ハヤカワ・ミステリ文庫 Avanti, la mùsica! 1961
13 泣くなメルフィー *注2 カトリーヌ・アルレー 安堂信也 創元推理文庫 Cessez de pleurer, Melfy! 1961
14 悪魔の舗道 ユベール・モンテイエ 三輪秀彦 ハヤカワ・ミステリ1088 Les Pavés du diable 1963
15 地下組織ナーダ ジャン=パトリック・マンシェット 岡村孝一 ハヤカワ・ミステリ1241 Nada 1972
16 病める巨犬(おおいぬ)たちの夜 A・D・G 日影丈吉 ハヤカワ・ミステリ1337 La Nuit des grands chiens malades 1972
17 冷凍少女 ミッシェル・ブリース *注3 矢野香代子 国書刊行会 La Cité des disparues 1976
18 寂しすぎるレディ ドミニック・ルーレ 長島良三 ハヤカワ・ミステリ1406 Le Crime d'Antoine 1979 フランス推理小説大賞
19 グルーム ジャン・ヴォートラン 高野優 文春文庫 Groom 1980
20 ウサギ料理は殺しの味 ピエール・シニアック 藤田宜永 創元推理文庫 Femmes blafardes 1981
21 メリーゴーランドの誘惑 モーリス・ペリッセ 高野優 ハヤカワ・ミステリ1432 Périls en la demeure 1982 パリ警視庁賞
22 死が招く ポール・アルテ 平岡敦 ハヤカワ・ミステリ1732 La mort vous invite 1988
23 散文売りの少女 ダニエル・ペナック 平岡敦 白水社 La Petite Marchande de prose 1989
24 災いの天使 パスカル・フォントノー 吉田良子 扶桑社ミステリー Confidences sur l'escalier 1992
25 悪しき種子 ダニエル・チエリ 香川由利子 文春文庫 Mauvaise graine 1995
26 死者を起こせ フレッド・ヴァルガス 藤田真利子 創元推理文庫 Debout les morts 1995 ミステリ批評家賞
27 バカなヤツらは皆殺し ヴィルジニ・デパント 稲松三千野 原書房 Baise-moi 1995
28 森の死神 ブリジット・オベール 香川由利子 ハヤカワ・ミステリ文庫 La Mort des bois 1996 フランス推理小説大賞
29 クリムゾン・リバー ジャン=クリストフ・グランジェ 平岡敦 創元推理文庫 Les Rivières pourpres 1998
30 夜鳥(よどり) モーリス・ルヴェル 田中早苗 創元推理文庫 Les Oiseaux de nuit
  • 注1 :ミッシェル・ルブラン『贋作』 … 『不許複製』(1962年2月、創元推理文庫)として刊行され、のちに合本『贋作/モンタージュ写真』(1972年12月、創元推理文庫)収録の際に『贋作』に改題された。
  • 注2 :カトリーヌ・アルレー『泣くなメルフィー』 … 『泣くなメルフィー』(1964年12月、創元推理文庫)、のちに合本『黄金の檻/泣くなメルフィー』(1974年8月、創元推理文庫)。
  • 注3 :ミッシェル・ブリース … 正体はジェラール・ド・ヴィリエだという説もあるとか。

2000年以降に日本で出版された主なフランス・ミステリ

ハヤカワ・ミステリ

 1990年代にハヤカワ・ミステリ(ポケミス)で出版されたフランス語圏の作品はロジェ・ラブリュス『罪深き村の犯罪』(高野優訳、1991年8月)の1冊のみ。

著者 # タイトル 訳者 出版年月 備考
ポール・アルテ 1716 第四の扉 平岡敦 2002年5月 コニャック・ミステリ大賞
1732 死が招く 平岡敦 2003年6月
1759 赤い霧 平岡敦 2004年10月 フランス冒険小説大賞
1773 カーテンの陰の死 平岡敦 2005年7月
1790 赤髯王の呪い 平岡敦 2006年8月
1801 狂人の部屋 平岡敦 2007年6月
1815 七番目の仮説 平岡敦 2008年8月
1820 虎の首 平岡敦 2009年1月
1840 殺す手紙 平岡敦 2010年10月
オーギュスト・ル=ブルトン 1745 男の争い 野口雄司 2003年12月 ポケミス名画座
ジュール・グラッセ 1780 悪魔のヴァイオリン 野口雄司 2006年1月 パリ警視庁賞(2005年)
クリステル・モーラン 1796 ヴェルサイユの影 野口雄司 2007年2月 パリ警視庁賞(2006年)
フレデリック・モレイ 1813 第七の女 野口雄司 2008年6月 パリ警視庁賞(2007年)
P・J・ランベール 1821 カタコンベの復讐者 野口雄司 2009年2月 パリ警視庁賞(2008年)
カミ 1837 機械探偵クリク・ロボット 高野優 2010年6月
モーリス・ルブラン 1863 ルパン、最後の恋 平岡敦 2012年9月

創元推理文庫

 1990年代には創元推理文庫でフランス語圏のミステリは1冊も出版されていない。

ジャン=クリストフ・グランジェ クリムゾン・リバー 平岡敦 2001年1月 Mク11-1
コウノトリの道 平岡敦 2003年7月 Mク11-2
狼の帝国 高岡真 2005年12月 Mク11-3
フレッド・ヴァルガス 死者を起こせ 藤田真利子 2002年6月 Mウ12-1 フランス・ミステリ批評家賞、英国推理作家協会インターナショナル・ダガー賞
青チョークの男 田中千春 2006年3月 Mウ12-2 英国推理作家協会インターナショナル・ダガー賞
論理は右手に 藤田真利子 2008年4月 Mウ12-3
裏返しの男 田中千春 2012年1月 Mウ12-4 フランス・ミステリ批評家賞
彼の個人的な運命 藤田真利子 2012年8月 Mウ12-5
ジャン=ピエール・ノーグレット ハイド氏の奇妙な犯罪 三好郁朗 2003年10月 Mノ2-1
カトリーヌ・キュッセ ジェーンに起きたこと 長谷川沙織 2004年7月 Mキ4-1
アンドレア・H・ジャップ 殺人者の放物線 藤田真利子 2006年8月 Mシ10-1
ジャン=クロード・イゾ 失われた夜の夜 高橋啓 2007年2月 Mイ3-1 813協会賞
ジャック・ルーボー 麗しのオルタンス 高橋啓 2009年1月 Mル5-1
マルセル・F・ラントーム 騙し絵 平岡敦 2009年10月 Mラ6-1

  • 自社刊行物の文庫化
    • ジャン=ジャック・フィシュテル『私家版』(榊原晃三訳、2000年12月) - 東京創元社海外文学セレクション(1995年9月)
    • セバスチアン・ジャプリゾ『長い日曜日』(田部武光訳、2005年3月) - 東京創元社海外文学セレクション(1994年10月)

  • 他社刊行物の復刊
    • モーリス・ルヴェル『夜鳥(よどり)』(田中早苗訳、2003年2月) - 1928年に春陽堂から出た『夜鳥』に短編1編と乱歩らによるエッセイを加えたもの
    • ピエール・シニアック『ウサギ料理は殺しの味』(藤田宜永訳、2009年12月) - 中公文庫(1985年5月)

  • 創元推理文庫既収録作品の新訳
    • フレッド・カサック『殺人交叉点』(平岡敦訳、2000年9月)
    • セバスチアン・ジャプリゾ『シンデレラの罠』(平岡敦訳、2012年2月)

  • 新版
    • ボワロ&ナルスジャック『技師は数字を愛しすぎた』(大久保和郎訳、1960年3月、2012年4月新版)
    • ノエル・カレフ『死刑台のエレベーター』(宮崎嶺雄訳、1970年5月、2010年7月新版)

森英俊編(編著)『世界ミステリ作家事典』で扱われているフランス語圏作家一覧

本格派篇

森英俊編著『世界ミステリ作家事典 本格派篇』(国書刊行会、1998年)

7名(「ボアロー&ナルスジャック」を1名とカウント)
  • ピエール・ヴェリイ
  • エミール・ガボリオ
  • スタニスラス=アンドレ・ステーマン(ベルギー)
  • フランシス・ディドロ
  • ボアロー&ナルスジャック
  • イゴール・B・マスロフスキー
  • ガストン・ルルー

ハードボイルド・警察小説・サスペンス篇

森英俊編『世界ミステリ作家事典 ハードボイルド・警察小説・サスペンス篇』(国書刊行会、2003年)

16名
  • A・D・G
  • カトリーヌ・アルレー
  • ジャン・ヴォートラン
  • シャルル・エクスブラヤ
  • ブルジット・オベール
  • フレッド・カサック
  • ジョルジュ・シムノン(ベルギー)
  • アルベール・シモナン
  • セバスチアン・ジャプリゾ
  • ジョゼ・ジョヴァンニ
  • フレデリック・ダール
  • ダニエル・ペナック
  • レオ・マレ
  • ジャン=パトリック・マンシェット
  • ミシェル・ルブラン
  • モーリス・ルブラン

 モーリス・ルブランの作家紹介は野村宏平氏、ほかの15名の作家の紹介は平岡敦氏。

※ちなみに、『世界ミステリ作家事典』で扱われている非英語圏・非フランス語圏の作家は以下の2人(1人と1組)
  • 本格派篇 - ベルンハルト・ボルゲ(ノルウェー)
  • ハードボイルド・警察小説・サスペンス篇 - シューヴァル&ヴァールー(スウェーデン)
(ほかに、本格派篇でオランダのロバート・ファン・フーリック(ヒューリック)、南アフリカのピーター・ゴドフリー、ドイツ出身のキャメロン・マケイブが扱われているが、3人とも英語で書く作家)


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