伊藤秀雄『明治の探偵小説』『大正の探偵小説』『昭和の探偵小説』『近代の探偵小説』


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2013年1月7日

 伊藤秀雄の探偵小説史四部作『明治の探偵小説』(1986年)、『大正の探偵小説』(1991年)、『昭和の探偵小説』(1993年)、『近代の探偵小説』(1994年)の目次。『明治の探偵小説』は日本推理作家協会賞を受賞している。

Index

伊藤秀雄『明治の探偵小説』目次

1987年 日本推理作家協会賞受賞(評論その他の部門)
伊藤秀雄『明治の探偵小説』(晶文社、1986年10月)
伊藤秀雄『明治の探偵小説』(双葉文庫 日本推理作家協会賞受賞作全集56、2002年2月)

  • はしがき
  • 序説――黒岩涙香から横溝正史まで

  • 第一部 日本探偵小説事始
    • 第一章 涙香以前――成島柳北、神田孝平、三遊亭円朝
    • 第二章 黒岩涙香の活躍
    • 第三章 探偵小説論――黒岩涙香、内田魯庵、島村抱月

  • 第二部 花ひらく明治ミステリー
    • 第四章 森田思軒と春のや朧
    • 第五章 涙香につづく人々――丸亭素人、快楽亭ブラック、南陽外史
    • 第六章 探偵実話の流行
    • 第七章 硯友社の「探偵小説退治」
    • 第八章 創作探偵小説の展開――半井桃水、尾崎紅葉、多田省軒
    • 第九章 押川春浪と武侠冒険小説

  • 第三部 翻訳小説篇
    • 第十章 涙香以後の翻訳――徳富蘆花、柳圃散史、原抱一庵
    • 第十一章 乱歩の先駆者――菊池幽芳、暁風山人、羽化仙史
    • 第十二章 怪盗ルパンとソーンダイク博士
    • 第十三章 『新青年』創刊まで

  • あとがき
  • 明治探偵小説年表
  • 索引

伊藤秀雄『大正の探偵小説』目次

伊藤秀雄『大正の探偵小説 : 涙香・春浪から乱歩・英治まで』(三一書房、1991年4月)

  • 第一部 大正以前
    • 一 涙香から始まる
    • 二 探偵実話時代
    • 三 創作家・翻訳者の輩出
    • 四 押川春浪の登場

  • 第二部 大正前期
    • 第一章 三津木春影の業績
    • 第二章 「ジゴマ」映画の輸入
    • 第三章 「奇中奇談 幽霊塔」の映画
      • 一 原作者の確定
      • 二 原作の「灰色の女」
      • 三 各種の大活劇
    • 第四章 既成作家の活動
      • 一 渡辺黙禅
      • 二 鹿島桜巷
      • 三 遠藤柳雨
      • 四 江見水蔭
      • 五 岡本綺堂
      • 六 宮地竹峰
      • 七 押川春浪
    • 第五章 新進・小原柳巷、その他
      • 一 青木緑園
      • 二 小原柳巷
      • 三 淡路呼潮
      • 四 雙巴子
    • 第六章 「探偵実話」の転向
      • 一 望月紫峰「関東兄イ」
      • 二 松崎天民「探偵ロマンス」
      • 三 私立探偵の成立
      • 四 探偵講談「不思議の家」
    • 第七章 岡本綺堂の「半七捕物帳」
      • 一 江戸時代への郷愁
      • 二 先駆的作品
      • 三 綺堂の世界
    • 第八章 松居松葉の「悪人手形帳」
    • 第九章 谷崎潤一郎の探偵小説
      • 一 「秘密」「白昼鬼語」など
      • 二 「蘿洞先生」「続 蘿洞先生」
      • 三 「日本に於けるクリップン事件」
    • 第十章 芥川龍之介の怪奇趣味
      • 一 「未定稿」
      • 二 「疑惑」「魔術」など
      • 三 「藪の中」
      • 四 「報恩記」
    • 第十一章 佐藤春夫の業績
      • 一 「指紋」
      • 二 「女誡扇綺譚」
      • 三 「オカアサン」
      • 四 「探偵小説小論」

  • 第三部 大正後期
    • 第十二章 「新青年」の創刊
      • 一 森下雨村
      • 二 「警察と犯罪の秘密」
    • 第十三章 「新青年」の展開
      • 一 馬場狐蝶
      • 二 小酒井不木
      • 三 井上十吉
    • 第十四章 大正期の翻訳探偵叢書
    • 第十五章 松本泰と専門雑誌の輩出
      • 一 「探偵雑誌」と「新趣味」
      • 二 「呪の家」
      • 三 「P丘の殺人事件」
      • 四 「ガラスの橋」
      • 五 「探偵文芸」「探偵趣味」など
    • 第十六章 江戸川乱歩の出現と探偵文壇の成立
      • 一 江戸川乱歩
      • 二 山下利三郎
      • 三 甲賀三郎・大下宇陀児
      • 四 城昌幸・山本禾太郎・地味井平造
      • 五 久山秀子・平林初之輔・角田喜久雄
      • 六 正木不如丘・川田功・羽志主水
      • 七 森下雨村・横溝正史

  • 第四部 大正以後
    • 第十七章 涙香に還る
      • 一 江戸川乱歩の場合
      • 二 横溝正史の場合
      • 三 小酒井不木・甲賀三郎の場合
      • 四 吉川英治の場合

  • あとがき
  • 日本探偵小説年表
  • 索引

伊藤秀雄『昭和の探偵小説』目次

伊藤秀雄『昭和の探偵小説 : 昭和元年~昭和二十年』(三一書房、1993年2月)

  • 序章 昭和以前
    • 一 涙香の出現
    • 二 探偵実話時代
    • 三 創作家・翻訳者の輩出
    • 四 押川春浪らの登場
    • 五 「ジゴマ」映画の輸入
    • 六 新進・小原柳巷らの登場
    • 七 「新青年」の創刊

  • 第一部 昭和第一期(勃興期 大正末~昭和八年)
    • 第一章 江戸川乱歩らの活躍
      • 一 江戸川乱歩
      • 二 甲賀三郎
      • 三 大下宇陀児
      • 四 小酒井不木
    • 第二章 ヴァン・ダインの登場と新進の活躍
      • 一 浜尾四郎
      • 二 水谷準
      • 三 夢野久作
      • 四 渡辺温
      • 五 渡辺啓助
      • 六 葛山二郎
      • 七 海野十三
      • 八 瀬下耽
      • 九 稲垣足穂
      • 十 水上呂理
      • 十一 橋本五郎
    • 第三章 少年探偵小説の勃興
      • 一 昭和以前
      • 二 昭和期と「少年倶楽部」
      • 三 高垣眸
      • 四 吉川英治
      • 五 大佛次郎
      • 六 野村胡堂
      • 七 江戸川乱歩
    • 第四章 探偵小説全集と「蠢く触手」
      • 一 探偵小説全集の出版
      • 二 「蠢く触手」について
      • 三 昭和十年以後の探偵小説全集
    • 第五章 「日本探偵叢書」その他
      • 一 「日本探偵叢書」
      • 二 「現代探偵名著叢書」
      • 三 「黒岩涙香先生訳(大改訂版)」
      • 四 「黒岩涙香訳」

  • 第二部 昭和第二期(隆盛期 八~十三年)
    • 第六章 既成作家の結実
      • 一 勃興の機運
      • 二 江戸川乱歩
      • 三 甲賀三郎
      • 四 大下宇陀児
      • 五 横溝正史
      • 六 水谷準
      • 七 夢野久作
      • 八 渡辺啓助
      • 九 海野十三
      • 十 大阪圭吉
    • 第七章 犯人探し・宝探し懸賞小説の流行
      • 一 謎解きゲーム小説の起源
      • 二 その流行
    • 第八章 新進作家の輩出
      • 一 小栗虫太郎
      • 二 木々高太郎
      • 三 久生十蘭
      • 四 蒼井雄
      • 五 蘭郁二郎
    • 第九章 諸家の探偵小説論
      • 一 浜尾四郎の「探偵小説を中心として」
      • 二 海野十三の「探偵小説管見」
      • 三 甲賀三郎の「探偵小説講話――まえ書」
      • 四 木々高太郎の探偵小説論

  • 第三部 昭和第三期(屏息(へいそく)期 十四~二十年)
    • 第十章 戦時下の探偵小説
      • 一 野村胡堂の「銭形平次捕物控」
      • 二 スパイ関係実話・小説

  • 終章 戦後の動向

  • 主要参考文献
  • あとがき
  • 昭和探偵小説略年表
  • 索引

伊藤秀雄『近代の探偵小説』目次

伊藤秀雄『近代の探偵小説』(三一書房、1994年6月)

  • 第一部 明治期
    • 第一章 草創期
      • 探偵趣味
        • 明治初期
        • 外国物の翻訳
        • 三遊亭円朝の業績
    • 第二章 黒岩涙香の活躍
      • 一 黒岩涙香
        • 翻案小説家への道
        • 涙香小説の展開
        • その小説の抱負
      • 二 「片手美人」
        • 「片手美人」
      • 三 「死美人」
        • 「死美人」
    • 第三章 涙香につづく人々
      • 一 丸亭素人
        • 「鬼車」
        • 「虐殺」
      • 二 南陽外史
        • 「忍び(づま)
    • 第四章 探偵実話の勃興
      • 探偵実話の起源
        • 「清水定吉」
        • 「三週間の大探偵」
        • 「探偵実話 破獄の藤蔵」
        • 「探偵実話 獄中の毒殺」
    • 第五章 硯友社の探偵小説退治
      • 「五人の生命」
      • 「美人狩」
      • 「血染の釘」
      • 「銀行の秘密」
      • 「無頭の針」
      • 「手形の賊」
      • 「緋桜」
    • 第六章 駸々堂の「探偵小説」・「探偵文庫」叢書
      • 「稲妻」
      • 「天刑木」
      • 「幽霊船」
      • 「X光線」
      • 「探偵講談 美人と短銃」
      • 「婦人の念力」
      • 「滝夜叉お仙」
      • 「暗穴地獄」
      • 「鉱山の魔王」
    • 第七章 創作探偵小説の展開
      • 一 尾崎紅葉
        • 「拈華微笑」
      • 二 三宅青軒
        • 「不思議」
        • 「奇々怪々」
      • 三 柳川春葉
        • 「夢の夢」
      • 四 犯人探し懸賞小説「女優殺し」
        • 「女優殺し」
      • 五 河越輝子の「秘密小説 新看護婦」
        • 「新看護婦」
      • 六 巌谷小波の「夢の三郎」
        • 「夢の三郎」
    • 第八章 押川春浪と武侠冒険小説
      • 「伝奇小説 銀山王」
      • 一 海賀変哲
        • 「塚の秘密」
      • 二 滝沢素水
        • 「難船崎の怪」

  • 第二部 大正期
    • 第九章 「ジゴマ」映画と探偵活劇物の流行
      • 「拳骨」
      • 「此足趾が」
      • 「秘密の入墨」
    • 第十章 沈滞期と旧作の再刊
      • 一 妖婦 短冊お留
        • 「短冊お留」
      • 二 活劇講譚因果華族
        • 「因果華族」
    • 第十一章 「新青年」の創刊と翻訳物の先駆
      • 一 田中早苗訳「白衣の女」
        • 「白衣の女」
      • 二 西洋講談「放浪の佳人」
        • 「放浪の佳人」
    • 第十二章 大衆文学の勃興と黒岩涙香の影響
      • 前田曙山
        • 「慕ひ行く影」

  • 第三部 昭和期
    • 第十三章 探偵小説の隆盛
      • 一 吉川英治
        • 「江戸三国志」
      • 二 渡辺黙禅
        • 「娘毒術師」
      • 三 大下宇陀児
        • 「金色藻」
      • 四 浜尾四郎
        • 「鉄鎖殺人事件」
      • 五 江戸川乱歩
        • 「緑衣の鬼」
      • 六 小栗虫太郎
        • 「二十世紀鉄仮面」
      • 七 屏息(へいそく)の戦時下

  • あとがき
  • 日本探偵小説年表
  • 索引

『近代の探偵小説』の韓国語訳/韓国で刊行されている《日本ミステリ叢書》について

 韓国で2011年2月、日本ミステリ叢書(일본 미스터리 총서)の第1巻として伊藤秀雄『近代の探偵小説』の韓国語訳『일본의 탐정소설』(直訳:日本の探偵小説)(韓国のネット書店)が発売された。翻訳者は高麗(コリョ)大学校日語日文学科のユ・ジェジン(兪在真、유재진)准教授。ユ・ジェジン准教授は高麗(コリョ)大学校日語日文学科卒業後、日本の筑波大学で日本近代文学を専攻し博士号を取得した。

 2012年3月には日本ミステリ叢書第2巻『탐정 취미』(直訳:探偵趣味)(韓国のネット書店)が刊行された。ユ・ジェジン准教授ほかの編訳。日本統治期朝鮮の日本語雑誌に掲載された探偵小説・随筆の韓国語訳アンソロジーである。

  • 日本ミステリ叢書第2巻『探偵趣味』収録内容
    • 1. 金三圭「杭に立ったメス」(初出:『朝鮮地方行政』1929年11月号~1930年1月号)
    • 2. 京城探偵趣味の会同人、連作探偵小説「女スパイの死」(初出:『朝鮮公論』1931年1月号~5月号)
      • 執筆者:山崎黎門人、阜久生、吉井信夫、大世渡貢、大世渡貢
    • 3. 京城探偵趣味の会同人、連作探偵小説「三つの玉の秘密」(初出:『朝鮮公論』1934年2月号~4月号)
      • 執筆者:山岡操、太田恒弥、山崎黎門人
    • 4. コナン・ドイル作、芳野青泉訳「名馬の行方」
    • 5. コナン・ドイル作、倉持高雄訳「謎の死」(初出:『朝鮮公論』1925年9月号~12月号) - 「まだらの紐」の翻訳
    • 6. 江戸川乱歩「探偵趣味」(初出:『朝鮮及満洲』1927年1月号)

 このうち江戸川乱歩の「探偵趣味」は日本では知られていなかったものである。国会図書館でコピーしてきたが一体どういう性質のものか分からなかったため、『江戸川乱歩執筆年譜』の編者の中相作氏にうかがったところ、『ラヂオ講演集 第十輯』(日本ラヂオ協会・博文館、1926年11月)(近代デジタルライブラリー)に収録された江戸川乱歩の「探偵趣味」と内容がほぼ一致するとの返答をいただいた(文章には異同がある)。元のラジオ講演はその前年、1925年の11月9日に放送された。

 2と3は京城探偵趣味の会の同人によるリレー探偵小説である。この会は1928年ごろに京城(けいじょう、現在のソウル)で結成されたらしい。日本では江戸川乱歩らが1925年に「探偵趣味の会」を結成しているので、それに倣ったものだろうか。日本語雑誌『朝鮮公論』の1928年6月号に「探偵趣味の会宣言」が掲載されていた。以下に引用する。

  • 『朝鮮公論』1928年6月号 探偵趣味の会宣言
    • 京城探偵趣味の会は発会式などはヌキにして(そんなしち面倒くさいことはいやだからである)事実上既に京城のどこかに存在している。そして同人丈けはいろいろな顔ぶれが揃っていることも事実である。先ず新聞記者も居れば画家も居る。刑事さんも居れば警部も居るのである。未だ此の会は影のような幽霊のような(妖怪味すらそなえた)存在である。だが吾等の探偵趣味の会はそんなとこに面白味があるのかも知れない。由来探偵趣味畑には妖怪味は附きものだからである。さて此の影の存在がハッキリと姿を顕わして来るようになれば幸いである。そして朝鮮からも朝鮮の小酒井不木や江戸川乱歩が出ればいよいよ世の中は面白くなる。次ぎに紹介する一篇は第一回の推せん作である。先ずこんなところからボツボツ出発して来て軈ては本格モノにまで進めば吾等の喜びは大きくなる。(松本輝華)

 引用文中で「第一回の推せん作」とされているのは、同号に掲載されている山崎黎門人の「探偵コント 意地わる刑事」のことである。宣言文執筆者の松本輝華は『朝鮮公論』で文芸時評や映画評などを書いていた人物だが、この人物自身が書いた探偵小説は『朝鮮公論』には載っていない。


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