いつも、何度でも2


※上記の広告は60日以上更新のないWIKIに表示されています。更新することで広告が下部へ移動します。

「何を分かったっていうの?」
アスカの冷たい視線が僕の心をズタズタにしていく。
「アスカの気持ちだよ」
言い終わるか終わらないかの刹那、僕の顔のすぐ横を何かが通り過ぎた。
背後でガシャンと物凄い音がして、僕はアスカが灰皿を投げつけたことを知る。
その音で金縛りが溶けたかのように、僕のカラダは動き出す。
後ろを振り向くと、背後に立てかけてあった姿見に灰皿が当たったらしく、
鏡が粉々に砕けて飛び散っている。
アスカを見ると、顔を伏せ、肩を震わせている。
僕はとりあえず割れた鏡を片づけようと、
屈み込んで砕けた破片を拾い集めようとする。

粉々に砕け散った鏡の破片。
そこに写るいくつもの僕の姿。あるものは泣いているように、
またあるものは怒っているように、悲しんでいるように、
様々な僕の姿が映し出される。
ふいに、僕の姿が映らなくなり、
アスカが、色々なアスカがそこに映し出される。
表情はおろか、年の頃さえ違う、様々なアスカ。
粉々に砕けた鏡の中で、そのアスカたちは、
やっぱり怒ったり泣いたり悲しんだり、
そして喜んだり笑ったりしている。


悲しみはあちこちに積もっていく。
そして悲しみは、僕に決して嘘をつかない。

ふと気配を感じて振り返ると、そこにはアスカが立っていた。
表情はない。
「私だって言いたいことはたくさんあるの。」
ぽつりと、呟く。僕は、頷く。
「言いたいことは悲しいことばかり。」
「うん。」
「本当は、こんなこと、言いたくないのに。」
「うん。」

僕は、そうされるのを求めているのがわかるから、
アスカの右手に触れる。
傷跡に沿って肩口まで手を伸ばしていく。
「だから、何をわかったつもりになっているの?」
アスカはそう言うと、僕の中にゆっくりと飛び込んできた。

抱きしめる、とかいうのではない。本当に僕の中に吸収されるように、
するりと僕の中に入り込んできた。
熱い。


僕たちは溶けて混じり合い、言葉にはならない交感状態にいる。
あたりはLCLの臭いに満ちていて、それは僕にあの「壁」を思い出させた。
それと同時に、あの忌まわしい記憶も。
「人類補完計画」
あれを僕たちは今、2人で行なっているのだろうか。
「余計なことを考えないで…」
アスカの声がどこからか聞こえる。
そうだよな、これは僕と君の見ている夢だ。
現実以上に大事な夢だ。
僕は背中にガラスの破片がブツブツと刺さる感触を覚えながら、
その場に横たわった。
いや、本当に「横たわった」のかどうかも疑わしい。
けれども、そんなこと、もはや問題ではないんだ。

僕たちはそこで愛し合い、憎しみ合い、
お互い埋め損ねたパズルのピースを埋めた。
欠けているピースも、だぶっているピースもたくさんあったけど、
僕たちは、混じりっけのない、完全な1つの「もの」になっていた。
ツールボックス

下から選んでください:

新しいページを作成する
ヘルプ / FAQ もご覧ください。