子供たちの歌は終わらない14


※上記の広告は60日以上更新のないWIKIに表示されています。更新することで広告が下部へ移動します。

翌日は両隣だけでなく、周辺一帯の住宅、
近所の公園、保育園にも「聞き込み」をおこない、
結果、不審人物として警察を呼ばれる羽目になった。
ネルフの身分証を見せたら彼らは最敬礼して立ち去ったけど。
夕方には疲れと焦りから苛立ちも増して、
ついついそのへんの電信柱に八つ当たりでもしたくなる。
蹴飛ばしてやろうか、と足を上げた瞬間、
携帯が鳴った。
トウジからだった。

「すまんすまん、ちょっと10日ばかり家族で旅行しとった。
携帯家に忘れて行ってしもうてな、今留守電聴いたわ」
相変わらずの声にほっとしつつも
僕のイライラはまだ完全に解消されたわけではない。
「ねえ、訊きたいことがあるんだけど」
との僕の声に彼はすぐに
「センセェの嫁はんのことか?」
と反応してくれた。

僕は話をしながらとにかく彼の家に向かってクルマを走らせた。
冷房の効きが悪いことなんて忘れて、
アクセルを目一杯踏み込む。
型遅れの安物レンタカーが悲鳴をあげた。

トウジが詳しい話を知っているわけではなく、
彼が知っているアスカの近況は
この前聞いたものとたいして変わらなかった。
「まあ詳しい話はうちの嫁に聞いてくれ」
その言葉が終わるか終わらないかのうちに、
僕は彼の家の前に辿り着いていた。

タイヤのスキール音で気づいたのだろう、
インターホンを押す前に、トウジが出てきた。
「まあ、入りな」
言葉少なく、僕を招き入れる。
店舗の裏が住居になっていて、
彼ら4人家族はそこで慎ましやかな暮らしを送っているようだった。
リビングの向こうでは子供たちの笑い声が聞こえる。
「ミズホ君とサクラちゃんは元気?」
「ん?ああ、もうご覧の通りや。うるさいったらしゃーない。」
そういう彼の口調には微笑みが浮かんでいて、
子供のいない僕に何か嫉妬のようなものを感じさせる。

「いらっしゃい、シンジ君」
かつて委員長だったしっかり者の奥さんが
台所から声だけかけてくれた。
すぐにアイスコーヒーとクッキーを持って現れる。
「これな、うちで売ってるクッキーや。最近はパンだけでなく…」
僕はトウジの説明が耳に入らなかった。
ツールボックス

下から選んでください:

新しいページを作成する
ヘルプ / FAQ もご覧ください。